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弁護士法人 白浜法律事務所

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白浜の思いつき
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2008/10/10

高さ規制による圧迫感のある町並の形成の事例

景観保護=高さ規制という考えは、偏っているというのが、私の持論です。
私は、京都市のいわゆる新景観政策に対するパブコメの中で、以下の指摘をさせていただきました。
「容積率が変化しないことをもって、規制がそれほどのものではないかのごとく、京都市は主張しているようであるが、高さが規制される以上、地下の利用ぐらいしか考えられないところ、採光の関係で、建築できる地下空間には建築基準法上の限界がある上、そもそも地下は居住空間としてはあまり好ましいものではないし、コストの点から考えても建築者に著しい負担を強いることとなるから、地下空間の利用が大きく増えることなどあり得ない。結果的に、高さ規制に応じた中低層の住宅しか建築できず、容積率いっぱいの建物は事実上建築できなくなることは明らかである。
 そして、都市部への人口集中の需要が現状のままで土地価格も高くはならないとすると、都市部における中低層のマンションの需要は高まるため、低層建物が建っている地域で広い土地を確保して、中低層マンションを建築する動きが強まり、結果的に、現存している京町家を含めて低層建物がほとんどなくなり、空間の余裕が失われ、居住空間としては環境が低下する危険性が高い。」
以上の指摘は、いわば予言です。つまり、高さが規制される結果、横に目一杯の建物が建築されることを誘導することになるから、結果的に、路上にいる人の目線からみると、空間の余裕がないと感じてしまうということになってくるわけです。
この点、下記の読売新聞の記事によれば、西宮市では、高さ規制の結果、横長マンションが増えて、圧迫感があるなどの不満の声がでてきて、横長マンションも規制するということになりつつあるようです。阪神大震災の結果、新しい建物が沢山建築されたということがもたらした変化なのですが、京都市にも次第に同様な傾向が生じてくる可能性があるということが実証されたように思います。
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20081009-OYO1T00228.htm
上記の記事によると、規制だけが行われそうな雰囲気ですが、私は、西宮市が単なる規制強化だけに終わらずに、好ましい景観形成が誘導できるようなメリハリのある規制を考えられることに期待しています。規制強化だけだと、その規制の範囲内でどうするかということだけに関心が集中してしまいますから、好ましい景観の誘導にはつながりませんし、不動産の資産価値も下がって、地元の建築関係者にも大きな打撃を与えるなど、市民生活にも影響がでてしまいます。京都市のような乱暴な手法は採用されない方がよろしいかと思います。

2008/10/09

ロースクールを淘汰すればそれでいいのでしょうか

ロースクールを淘汰する必要性について、新聞各社で社説がでています。
読売新聞の社説では、ローの乱立解消は避けて通れないとの標題で、最後は、3000人は堅持する必要があるとして、「合格者が増えないままでは、有能な人材が法曹界に進むのを敬遠するようになる。そうなれば、学生の質の維持は一層、困難になる。」としています。しかし、今の新司法試験の最大の問題は、合格したからといって就職ができるとは限らない状態にあることをあえて無視しているように思います。司法試験を受けるということは、仕事として法曹の道を歩むという進路選択をするわけですから、合格しても職がないような資格を得るだけでは、学生は進路選択として司法試験は受験しないと思います。合格さえさせればいいのだということであれば、一部のロースクールの経営者の味方をしているだけで、極めて無責任だと思います。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20081005-OYT1T00668.htm
これに対し、日経新聞は、そこまで意図的な無視はしていないようですが、「法曹増員のペースダウンを主張する日本弁護士連合会は、その理由のひとつに新司法試験合格者の「質」を挙げている。しかし法科大学院が本来の姿を取り戻せば優秀な人材が集まりやすくなり「質」と「量」の両立も可能になるだろう。」として、これも、ロースクールの乱立さえなくなれば未来があるかのごとき主張になっています。しかし、最大の問題は、需給のアンバランスです。合格者数に見合うだけの社会的需要がついてきていない現状を前提としない限り、合格したけれども職があるとは限らないという状態が続くことになります。そうなると、有能な人材が、法曹界に参入しようとしなくなってしまいます。医学界では、医師国家試験に合格したけれども医師の職にはありつけないという事態は生じていないと思いますが、弁護士は単なる資格試験でいいから就職がなくても構わないということでいいのでしょうか。私は、経験上、弁護士はオンザジョブトレーニングが大事で、先輩の指導を受けながら仕事をしないと、利用者に迷惑をかけることが多くなると思っています。それが不要かのごとき机上の政策論で法曹人口論を語ることはやめていただきたいと思います。
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20081004AS1
K0300603102008.html

2008/10/07

ひび割れ道路のことの補足

弁護士は、守秘義務というものに縛られているので、何でもブログに書いて良いということにはなりません。守秘義務があるからこそ、お客さんは信頼して秘密にしているようなことを話してくれるわけですし、お客さんから何でも話してもらうようになっていなければ、訴訟などで思わぬ反撃を受けたりすることもありますから、守秘義務を守るということは、弁護士にとって、最も重要なことなのです。
ところで、今回のブログの標題のひび割れ道路のことは、最近、当事務所で自己破産申立を受任した三原組がなぜ倒産に至ったのかということを調べていく中で知ったことです。この会社は、舗装道路の工事を主な業務としている会社だったのですが、この道路の舗装のための工事が減って、倒産に至ったわけです。一部の新聞記事では、建築基準法改正が原因となったような紹介をされていましたが、不正確な報道だと思います。
もし、この会社が民事再生をしていたら、私はひび割れ道路のことは、ブログには書かなかったと思います。今後も、この会社が営業を続けてゆくにあたっての主な顧客である自治体に対する不服を漏らしているような話になるからです。破産ということで、事業を継続しないということと、同社の主な破産原因が同社内部ではなく外部要因にあることを示すものであること、あまり世間に知られていないが、交通の安全が危機にさらされているという点で公表の必要性がかなり高いと考えたことから、あえてブログで取り上げたような次第です。
従って、上記のひび割れ道路のことは、弁護士としての経験からもの申しているわけですが、実際幹線道路でない生活道路については、ガス管とか水道管などの工事の跡だらけで、デコボコ道が多くなってきているように感じます。問題が深刻なのは、主要な幹線道路ですら、ひび割れがでてきているということです。ひび割れは道路下への雨水の不均等な浸透をもたらしますが、それが道路の陥没などにつながらないとも限らないように思います。急激な陥没でもあれば、重大な事故が発生する危険性もあるわけですから、道路のことについては、地道な補修作業の予算についても少し考え直す必要があるように思います。

2008/10/06

電子内容証明郵便は、欠陥商品?

電子内容証明郵便というシステムは、わざわざ郵便局にいかなくても内容証明郵便が発送できるので、便利です。このため、我々弁護士もよく使っています。しかし、この渋滞が頻繁に生じていることは意外と知られていません。実は、使用する時間によっては、28時間待ちとか、40時間待ちになってしまう事態が頻繁に生じています。
このため、私の事務所では、内容証明郵便については、急ぐ事件では電子内容証明郵便は使わないようにし、電子内容証明郵便を使うのは少し遅くなっても構わない事件に限ることにした上で、電子内容証明郵便を使うとしても必ず待ち時間を確認することを徹底するようにしています。「急がないようなら電子でもいいですか。」、「今、※※時間待ちですけど、郵便局走りますか。」というのは、うちの事務所の合い言葉になりつつあります。遅れる原因については公表されていないのでわかりませんが、郵政民営化となってもこのようなことでいいのかと思ってしまいます。他の企業が渋滞のない電子内容証明郵便を市場に送り出してくれたら、利用者が増えるのではないかと思います。
なお、このことを知らない弁護士も大勢いるのだろうと思います。事務的なことは、事務員さん任せにしてほったらかしという弁護士の方が多いというのが、この業界の実情だからです。でも、時効などが問題となる事例の場合、この郵便を使ってアウトということになってしまったら、完全な弁護過誤になると思います。この点は、年末年始など、郵便事情が悪いときの郵便物発送でも同じことなので、気をつけねばなりません。