【ブログ:白浜の思いつき】京都で弁護士・法律相談ならお任せください

弁護士法人 白浜法律事務所

0752233444
0752233444
白浜の思いつき
白浜の思いつき

2010/07/05

弁護士になっても廃業する人が増えているという現実

司法試験に合格しても弁護士になれるかどうかはわからないという時代は、既に到来してしまったが、更に進んで、弁護士になっても、しばらくして廃業してしまう人が増えてきているようである。
昔は、高齢になっても、弁護士登録だけは続けているという方が多かったように思うが、最近は、高齢になったら弁護士登録は抹消するという人が増えている実感がある。特に、裁判官や検察官を退官された後に弁護士になられた方にその傾向があるように思う。
最近では、若い人たちに弁護士を廃業する人が増えているのではないかとの指摘もあったので、自由と正義を調べてみた。自由と正義は、日弁連が発行している雑誌であり、その中の登録取消のうち請求による取消数をチェックすれば、自主的に弁護士をやめた人の数がわかるのである。
2008年は198名、2009年は202名が自主的に弁護士をやめていることになる。そのうち、登録番号が3万番代の人は、2008年が66名、2009年が72名である。弁護士の登録番号は登録順のため、この中には裁判官や検察官を退官した後に弁護士登録した人も含まれているが少数に留まるため、登録番号が大きな弁護士は経験年数の少ない弁護士ということができる。ちなみに、3万番の人は55期であるから、3万番代の人は55期よりも若い期の人ということになる。どうも6月号には廃業する人が掲載される数が多いようだが、6月号の記載は、3月までに廃業した人を記載しているので、年度末で廃業して、別の仕事に移った人が多いということなのかも知れない。
2010年は、既に116名が廃業していて、3万番代の人は50名に達している。やはり、若い人が多数廃業しているということは数字からも裏付けられたように思う。
厳しい就職戦線を終えて、運良く就職できたとしても、いい職場に恵まれなくて、廃業に追い込まれている若い弁護士がかなりの数になってきているということについて、日弁連はもっと真剣に対策を考えないといけないのではなかろうか。

登録取消請求者数の推移表.pdf

2010/07/03

大阪弁護士会主催の就職説明会を見学して

7月3日午後1時より大阪弁護士会館にて、新63期と現行64期修習生向の就職説明会が開かれました。修習委員として、現状を正確に把握しておく必要があると考えて、部外者ですが、無理にお願いして、見学させていただきました。
 新63期を採用する予定のある事務所が9つ参加されていましたが(そのうち一つは、企業によるインハウスローヤーの募集でした。)、集まった新63期修習生は80名程でした。なお、現行64期だけを募集しているところもありましたが、参加者は少なかったようです。全国でも100名ぐらいしかいないわけですから、現行64期の就職戦線は、新63期よりは、かなりいい状況にあるようです。
 新63期は、上記のとおり、極めて厳しい状況ですが、我々のような地方都市の弁護士からすれば、今の就職難の中、これだけの数を集めることができるということについては、さすがは大阪弁護士会という印象を受けました。このように就職情報を提供する場を作ることは、地道なことですが、修習生の窮状を考えれば、人道的で大事な活動だと思います。
 ただ、実務修習第4クールの中盤という状況で(つまり、もうすぐ実務修習は終わり、来月には司法研修所での研修が始まるのです。)、京都同様、大阪の新63期の修習生も半数弱しか就職先が決まっていないということのようでしたから、残念ながら、新63期では、弁護士事務所に就職できなくなる人がかなりの数になることは必至だと思います。
 京都でも、就職問題WTを設置して、修習生の就職問題に取り組んでいますが、弁護士会としてできることは極めて限られているというのが現実です。ただ、やれるだけのことはやらねばなりませんので、本日の就職説明会のことも情報提供して、WTの活動の参考にしてもらおうと思います。
 追伸:先日、新64期修習予定の方と話をする機会がありましたが、厳しい状況を説明せねばなりませんでした。ただ、現実を知ってもらうことは、大事なことだと思います。少なくともロースクールに進学するかどうかを考えるにあたっては、現在の就職難の現状は知っておいた方がいいと思います。その意味では、既に2年間を勉強に費やしているロースクール卒業生の方に、上記のような話をするのは、心情的につらいところがありました。

2010/07/01

中国の弁護士過疎事情など

青島で、現地の弁護士とお話しする機会があったので、中国の弁護士事情について、色々と聞かせていただきました。通訳を介しての話なので、不正確なところがあるかも知れませんが、日本と比較するとおもしろいことが多かったので、紹介させていただきます。
 まず、中国も弁護士が増えていて、事務所も大型化する傾向にあるようです。ただ、大きな事務所でも、新人をとるというよりは、経験を積んだ弁護士を中途採用して拡大してゆく傾向があるということでした。
 弁護士は、大量に増やされているようですが、まだまだ不足しているらしく、北京や上海、青島などの沿岸部、すなわち、経済が発展している地域に集中していて、内陸部ではあまり増えていないそうです。弁護士が1人もいないような弁護士過疎地域もあるそうです。さすがに問題となっているらしく、政府が、資金援助をして、内陸部などに弁護士を誘導しようとしているらしいのですが、成果はでていないそうです。
 中国と比較すると、日本は、政府の援助は、法テラス事務所の設置程度ぐらいしかありませんから、弁護士過疎問題への取組が大きく違っています。日本では、政府に頼ることなく、弁護士が自らひまわり基金を拠出して過疎地への弁護士誘導をほぼ成功させているわけですから、日本の弁護士会がやっていることは、評価されてしかるべきではないかとの思いを強くしました。
 ただ、何よりも、中国では、弁護士全体への需要が大きく伸びていますから、需要がほとんど増えていない日本とは全然違います。中国でも弁護士を増やそうとしているようですが、日本のように弁護士がワーキングプアに陥ることがあるというようなことはなく、需要を考えることなく爆発的に増やしているようなことはないように思います。お話ししている中でも、中国の弁護士(律師と言います。)には、どんどん仕事を拡張してゆこうという活気を感じました。日本と中国の法曹人口に関する政策の違いを痛感したような次第です。