白浜の思いつき

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  2008年12月

2008年12月15日

京都市内では、建物の表示登記が減少したらしい

最近忙しかったので、更新できずにいました。久しぶりの更新です。

景観政策の影響について、ちょっとした情報を入手しましたので、紹介しておきます。

土地家屋調査士さんから得た情報によりますと、京都市内の建物の表示登記の件数が減少したとのことでした。建物を新築して登記をしようとすると、表示登記をせねばなりませんが、この表示登記の手続をするのは司法書士ではなく土地家屋調査士さんのお仕事となります。表示登記が減ったということは、建物の新築が減っているということです。これは専門家が指摘している新景観政策の影響ということになります。

全国的な不動産不況が影響している可能性も否定できないかもしれませんが、京都市内では新景観政策の影響は否めないと思います。無駄に庇を要求したり、切り妻の屋根を要求したりすることで、建築コストが高くつきますし、そもそも希望とおりの間取りの建物が建築できないということになっているため、新築をあきらめて改築程度に留まっている人が増えているということでしょう。これは、最近私自身が実際に調査してわかったことです。この政策のために建坪率等の範囲内ぎりぎりには建物は建ちません。

不動産鑑定士さんから得た情報では、堀川通、特に二条城近くの建築規制が厳しく、ビルらしきものすら建たないところがあるとのことで、建築計画が頓挫したままになっている土地もあるようで、土地価格の下落に拍車がかかっているとのことのようです。

このように建物の新築が強く抑制されていることから、不動産取引の動きもにぶることになっていることは明らかです。結果的に、京都市内では不動産不況に追い打ちがかかっているということになります。市民の資産の価値が大きく目減りしていることについて、京都市は、どう説明するのでしょうか。反対意見を無視して意図的にこのような政策を強行したことについて、誰が責任をとるのでしょうか。できるだけ早く対処しないと大変なことになるのではないかと危惧しています。

2008年12月25日

新61期の就職状況

新61期の就職に関するデータは以下のとおりです。
 まず、新61期修習の合格者数は、新聞報道によれば、1,710人ですが、過去の再受験組も新61期として扱われるので、法律上正確に言うと、1,731人が新61期の合格者となります。
 このうち、弁護士として登録できる日の初日に登録した人は、1,495人です。これは、日弁連のHPの会員専用ページを利用して検索した結果によるものです。日弁連の会員データでは、新修習と現行修習の区別はなく、両者を同じ期とみなす処理がされているのですが、新61期の登録日直前の61期の数が555人でした。登録日の翌朝の確認では、2,050人に増えていましたから、初期登録人数は、2,050-555=1,495人となるわけです。
 次に、新61期から採用された検察官は、新聞報道によれば、73人です。
 最後に、新61期から採用された裁判官の数は、新聞報道によれば、75人です。
 この結果、1,731-1,495-73-75=88人が法曹にはならなかったということとなります。残念ながら、この数字は、私がチェックを始めてから、最高の数字になってしまいました。
 新60期については、上記データチェックができていなかったので、正確な数字がわかりませんが(昨年は、このチェックの方法を思いつきませんでした。このようなデータチェックを私しかやっていないことからすると、昨年のデータがないということには、少し責任を感じています。)、法曹にならなかった人に関する59期以降のデータは下記のとおりとなります。このように比較してみると、修習生が法曹にならない比率は5%程度に落ち着いてきたということが言えそうです。しかし、来年は、大企業で赤字に転落するところが続出し、リストラが吹き荒れている中、企業法務を中心としている大手の法律事務所が新人の採用に慎重になる可能性もあるなどの懸念材料もありますから、さらに厳しい状況となることは必至でしょう。採用してもらえたものの、厳しい労働条件となっている事務所もあることも懸念されます。日弁連は、若手弁護士の労働条件の調査を丁寧に行うべきでしょう。
 なお、これは、初期登録の数ですから、二回試験合格後に弁護士となる人もいるということは注意する必要がありますが、初期登録ができなかったということは、修習中に就職先がみつからなかったということを示していますので、修習生の就職状況を示す数値としては、かなりの意味があることになります。

   59期 27人    2.33%(合格者数1,158人)
現行60期 69人 4.94%(合格者数1,397人)
現行61期 33人 5.42%(合格者数609人)
新61期  88人 5.08%(合格者数1,731人)

2008年12月27日

修習生の就職状況に関する補足

前回のエントリーに対して、いくつかのご連絡をいただきましたので、新60期に関する情報を埋めることができるようになりました。
まず、新60期で初期登録した弁護士数についてですが、直前の60期の登録数が1255人だったものが、直後に2096人となっているとのことでしたから、841人となります。
新60期の二回試験の合格者が979人、66人が判事補、42人が検事となっているとの新聞報道がありましたから、弁護士の一斉登録日の段階における法曹にならなかった合格者の数は、979-841-66-42=30人となります。これは、合格者との比率から言うと、3.06%となります。
この結果から、新60期と新61期を比較すると、数では30が88と58人の増加、比率では3.06が5.08と2%の増加と就職状況の悪化は明らかです。
なお、以下に示すデータからは、裁判官の採用抑制の傾向も顕著なものとなっていることがわかります。

       二回試験合格者 弁護士 裁判官 検察官 その他 裁判官比率
平成17年  1158       911  124  96   27    10.7%
平成18年  1386      1144  115  87   40     8.3%
平成19年  2376      2045  118 114   99     5.0%
平成20年  2340      2027   99  93  157     4.2%

上記のデータは、平成19年以降については、現行組と新組を合わせた数字となっていますが、平成20年は、平成19年よりも、法曹資格者の数の増加という点では減少に転じていることもわかりました。弁護士数については、二回試験合格後に就職が決まる人もいますから、減少に転じていると断定することはできませんが、少なくとも初期登録の数では減少しています。裁判官は、平成17年がピークで減少傾向にあると言ってもおかしくないほど増えていません。検察官とあまり変わらない数しか採用されておらず、比率は明らかに減少傾向にあることを示しています。これが裁判官として採用するに足りる人材が確保できていないためなのか、それとも、就職状況の厳しさゆえに、修習生側が早期に就職先を決める傾向に裁判所が対応できていないためなのかは、よくわかりません。いずれにしても、合格者が増加している中、裁判官の採用を抑制している理由について、裁判所は国民に開示するべきではないかと思います。