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弁護士法人 白浜法律事務所

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白浜の思いつき
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2010/04/06

ロースクールに考えてほしいこと

ロースクールは、法律実務家を養成することに特化した学校ということだと私は理解しています。ですから、法律実務家を輩出することが、学生を迎え入れた側としての責任ということになるように思います。
 ところが、どうも、ロースクール関係者の中には司法試験合格者増に固執される方が多い傾向があるようですが、司法試験に合格して修習を終えても就職がないということとなれば、あまり意味のない主張のように思えますし、むしろ、合格させれば、自分の役割を果たしていると理解しているかのようで、無責任と言われてもおかしくないように思います。
 むしろ、この制度が発足して卒業生を輩出してまだ数年という段階で、就職難が生じている現在、もはや制度設計に根本的問題があったことは実証されてしまったように思います。となれば、今後行われるべきことは、抜本的大改革ということであって、最近、よく言われている定員の見直しなどでは、問題の解決にはならないと思います。入り口であるロースクールの定員を操作したところで、出口である就職先が確保できなければ、実務家養成のための学校としては、存在意義がなくなってしまうように思えるからです。現状では、合格者を増やすどころか、司法試験の合格者数を現状の需要に合わせた適正なものにすることが求められているように思えるほどです。
 この点、ロースクール制度の改革としては、司法試験の受験資格を変更することがあるというのは、先日のブログで提案したことです。なぜ、卒業が受験資格になっているかというと、元々の制度発足の理念は、ロースクールで徹底した教育を実施し、実務の即戦力まで育てる、その勉強についてゆけない人は卒業もさせないというものではなかったかと思います。しかし、途中で落第するような人はほとんどいないが、他方で卒業生をみても司法試験の合格率が低迷しているという実情では、ロースクールの卒業生に司法試験の受験資格を限る必要はなくなっているように思います。私が、入学を受験資格にして、卒業を修習開始資格にしたらどうかと提言しているのは、このためです。但し、この改革のためには、法改正が必要ですから、国民的な議論が必要ということになります。
 また、先日のブログで指摘したように、上記の受験資格の問題は、転職をしやすくするということにつながりますが、司法試験以外にも転職の道を広げることも、ロースクールの生き残りの道だと思います。その意味では、欧米では弁護士がやっている仕事である司法書士とか税理士、行政書士、不動産鑑定士などについても、ロースクールの入学とか卒業を受験資格にするとか、弁護士の補助職であるパラリーガルについても、ロースクールの卒業生に資格を与えるとかも一つのアイデアだと思います。行政職の受験資格についても、再考する余地があるかも知れません。弁護士だけの急増が進行している中、隣接の専門業が圧迫されることも必至ですから、これらの専門職についても、参入規制を再考する必要が生じてくるのは自然の流れのように思いますので、これらの問題について、ロースクール側が早期に検討し、具体的な政策提言を行うことが、学生を迎え入れた側としての責任ではないかと私は思います。