白浜の思いつき

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  2013年11月

2013年11月27日

ブラック企業ビジネス

久しぶりのブログです。最近、忙しいところに怪我もしたりして書く余裕がありませんでした。

さて、標記の表題の書籍を今野晴貴という人が執筆されていて(朝日新書)、この本の中に、私のブログが引用されているということで、書籍を送っていただきました。

参考になる本だと思います。主には、現在社会問題となっているブラック企業のことが紹介されていますが、その中で、ブラック士業ということでブラック企業の手助けをするような弁護士が増えてきていることが紹介されています。つまり、「司法改革」という名の下での弁護士急増政策が失敗している、というか、社会的な問題を発生させているということが紹介されているわけです。私のブログの引用は、若手の弁護士の廃業が増えているというデータの紹介でしたが、この本に紹介されているブラック士業と評価されて当然のような弁護士は、私自身も最近よく目にするようになってきていますから、この本に書かれていることは、誇張でもなんでもなく、むしろ、この本に書かれている以上に、弁護士業界の劣化は進んでいます。これは、極めて由々しき事態です。ブラック士業と評価されるような弁護士が就職難につけ込んで更に弁護士を雇い入れたり、即独などでOJTの機会に恵まれなかった弁護士がブラックな弁護士のやり方に接してそれが当たり前かのように思ってしまうなどして、ブラック弁護士の再生産が始まりつつあるように思うからです。

しかしながら、弁護士という仕事は、正義も重んじなければなりません。依頼者の言うことが間違っていたり、違法なことがあれば正す必要もあります。言うのは簡単ですが、結構大変な仕事です。従業員の研修をすることを進言したり、問題がある従業員の言動をみつけた場合には経営者に対応を求めたりなどもせねばなりません。そのことによって、経営者から暴言を受けたりすることもあります。それでもなかなか暴走を阻止することができなかったりもします。場合によっては、顧問自体を自主的に辞退することもせねばなりません。それでも、結果的に顧問先が暴走すれば、言われのない非難を同業者から受けたりすることもあります。

このように、弁護士たるものは、貧してでも正義を守らなければならないということは、まさにOJTとして先輩弁護士から引き継がれていたわけで、それによって日本社会のモラルの維持にも貢献できていたはずなのですが、過剰な弁護士人口の増加によって、その貴重なOJTの機会が失われつつあるわけです。この本に紹介されているように、その悪影響は既に発生してきているということになります。一部のマスコミは、そのことを無視して、未だに急増政策を支持するような論調を維持していますが、修習生や若手弁護士の現状の取材ができていないように思います。

なお、この本に引用されている弁護士の自主廃業のデータですが、残念ながら、更に悪化しています。具体的に言いますと、今年の1月から11月までの自由と正義に掲載された弁護士の廃業数は309名となり、昨年1年間での数字である294名を超えています。このうち3万番を超える人の廃業数は206名ですから、若手の弁護士の廃業が増えているのは統計的に裏付けられています。但し、私の独自調査によると、実際に大きく人数が落ち込んでいるのは、60期と61期ぐらいで(私がチェックした最高数が60期が2094名で61期は2121名でしたが、現状では60期は2059名と35名の減少、61期は2084名と37名の減少に留まっています。)、若い期の弁護士数が数百名減っているということにはなっていませんので、現実には、登録してしばらくしてから退会し、また登録するということを繰り返している人がかなりの数となっているようです。弁護士としての登録には登録料も必要ですから、登録の繰り返しは生活に直結する問題だと思います。このようにして、かなり厳しい経済環境に置かれた弁護士が増えているのではないかということが危惧されます。

いい本だと思いますので、皆さん、お読みいただきたいと思います。