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弁護士法人 白浜法律事務所

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白浜の思いつき
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2014/06/05

地方に法科大学院を維持することになぜ固執するのでしょうか

日弁連は、「法科大学院公的支援見直し加算プログラムに関し地方・夜間法科大学院に対する配慮を求める会長声明」なるものを公表しています。
その中で、「地方法科大学院の存在は、地方における法曹志望者の経済的負担を大きく軽減させるだけでなく、司法過疎の解消、地域司法の充実、発展に貢献し、さらには、地方自治、地方分権を支える人材を育成するためにも重要な役割を担っている。」と断定していますが、私には理解できません。
地方を支える人材を育成する必要があることは間違いありませんが、そのために、地方に法科大学院が必要であるということにはなりません。
私も、佐賀県杵島郡という地方の出身ですが、法律の学習は、京都でやりました。佐賀県に法学部がないことには何らの不満もありませんでした。佐賀県に法学部がないから、他の都道府県の法学部のある大学に通うとすれば、当然、当該地域に転居することになるわけであって、交通費の負担としても、年に数回帰省する際の交通費が多少変わるというだけの違いですから、地方に法科大学院があれば経済的負担が大きく軽減されることにはなりません。負担が軽減されるのは、その法科大学院のそばに居住している一握りの学生だけということになりますが、そのようなことが平等原則に合致するのかは甚だ疑問です。
また、法科大学院は、いわゆる司法過疎の解消にはほとんど関わっていません。ゼロワン地域の解消は、法科大学院出身者が弁護士になる前にほぼ完了しつつありましたし、実際に、いわゆるゼロワン地域などの弁護士過疎地域に赴任した方々は、弁護士過疎地出身者の方ばかりということではなく、当該地域とは全く縁もゆかりもない方がかなり多く、過疎地の法科大学院出身者ではない人の方が圧倒的に多いはずです。また、弁護士過疎地域に法科大学院を設置しても、当該地域だけでは雇用できないという問題が生じますし、弁護士だけでなく、裁判官や検察官などの実務家教員の確保も困難となりますから、実務教育の質の確保ができるのかという問題もあります。
弁護士過疎地域には、法科大学院を設置するよりも、エクスターンシップなどで、実際に弁護士事務所での職務体験を積む経験をする機会を増やすことと、そのような地域でのエクスターンシップへの経済的援助を強化することがより効果的だと思います。極端な話をすれば、たとえ法科大学院がなくなったとしても、過疎地域での実務修習を可能にするなどすれば、それで足りるはずです。
以上のことは、以前の私のブログでも指摘させていただいたことです。
http://www.shirahama-lo.jp/blog/2012/07/post-156.html
夜間の法科大学院に対する支援については、法科大学院制度がある限りは必要でしょうが、そもそも法科大学院制度が経済的な負担として大きすぎることが社会人の参入の障壁になっていることが見過ごされているように思います。また、資格をとるために予備校に通いながら勉強することは、何らおかしなことではないと思いますが、そのような努力をされている人の生き方も、日弁連は尊重するべきであって、法科大学院を絶対視して予備校を敵視するようなことは強制加入団体としてとるべき態度ではないと思います。