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弁護士法人 白浜法律事務所

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白浜の思いつき
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2011/02/04

修習生の就職の現状に関する雑感(もはや、これまでの人の感覚で考えてはいけないのではなかろうか?)

春が近づくと、修習生の就職相談をよく受けるようになります。5年ほど前なら、どこの事務所が採るかも知れないというようなことをアドバイスできたのですが、もうそんなことはできない時代になりました。昔なら採ってくれそうな事務所でも採用の予定はないと明確に宣言されるところが多くなっています。
そんな中、給料なくても事務所に置いてもらったらいいとか、いきなり独立しても何とかなるというようなアドバイスを修習生にされる弁護士もおられるようですが、このアドバイスは慎重に受け取った方がいいように思います。
弁護士であり続けるためには、馬鹿高い会費を払う必要がありますので、何も売上げがなくても、コストは確実にかかります。会費を支払えない場合には、懲戒処分を受けます。他方で、弁護士会の相談などは割当のための事務処理の問題などがあって、1年目からは回ってきません。そもそも無料の法律相談で事件受任に至ることはほぼありませんし、弁護士会の相談でも事件受任に至る確率は下がってきているのが実情です。つまり、1年目から仕事が自然と回ってくるようなことはありません。国選弁護は、まじめにやれば時給単位で考えた場合には最低賃金にも満たない仕事ですし、もはや希望すれば回ってくるような時代ですらなくなっています。地方では、いきなり独立開業した人がでても仕事を回して支援したりする時代が続いていましたが、この10年ほどで倍近くになるほど弁護士人口が急増した関係で独立した人に仕事を回して支援するようなことは、地方でもあまり期待できない時代になっています。
となると、インハウスなどの確実に賃金がもらえる仕事の方がいいという判断の方が合理的なように思えてきます。弁護士の資格をもって働くことにこだわる必要もないという考えもあるようです。
他方で、この数年、即独される方がでてきましたが、数としては微増に留まっているようで、あまり増えてはいないようです。私は、即独は厳しいということが浸透してきたからではないかと推察しています。ノキ弁についても、事務所と新人弁護士との間でトラブルになっているような噂を耳にするようになってきました。そのようなこともあって、私は、ノキ弁という勤務形態は、現役の弁護士が修習生に推奨するようなものではないように思っています。
また、今のような不況が続くと、この数年で現役事務所でも、経営が困難になるなどして色々な問題が噴出してくる可能性もあります。新人弁護士がこれに巻き込まれる可能性もあるわけです。こんなことから身を守ることなんて、修習生の時代には不可能です。
要するに、就職にあたっては、既に弁護士事務所を開業している人の経験談を参考にできる時代ではなくなりつつあるのではないかと思います。酷なようですが、修習生側が、新しい時代をどう切り開くかということを考え抜いてもらうしかないとしか言いようがありません。ただ、そんな無責任なアドバイスしかできないという状況であるにも関わらず、修習生から就職に関するアドバイスを求められてしまう現状にジレンマを感じています。