白浜の思いつき

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  2009年8月

2009年08月12日

民事時効について思うこと

刑事事件の時効の問題については、これが捜査機関や裁判所が事件処理を終わらせるための口実にもなっているということは、以前のブログで書いたところです。

民事事件についても同じことが言えます。民事でも消滅時効制度というものがあり、10年で債権が時効消滅することとなっています。これを民法の教科書では、「権利の上に眠れる者は保護に値しない」などと説明しています。要するに、権利も行使しないでいると、時効だよということで、権利を持っていても裁判所が保護をしてくれないということです。つまり、時効制度は、裁判所の仕事を効率的にするための制度という側面があるわけです。

民法では10年となっていますが、商法では5年です。その他にも不法行為が3年など、短期の消滅時効制度が沢山あります。この短期時効制度は、国民にとって非常にわかりにくい制度です。権利の上に眠っていたらいけないと言われても、権利を行使しない理由は、人によって様々です。毎月請求書を送っていたとしても、法律の定める手続をしていないと時効消滅することにもなっています。その上、時効消滅したからと言って、税務署が損金として処理してくれるかというと必ずしもそうはなっていません。時効消滅した側は、債務免除の利益を得ても、黙っていたら、税務署にはわかりません。

短期の時効制度が定められているのは、早期に自分で解決することを促進するという側面もありますが、そんなことは、かなり法律に詳しくないとわかりませんから、自分ではどうすることもできなくなって裁判をしようとしたら、裁判所は手助けしてくれなかったということにもなりかねません。

そもそも支払うべきものをずっと支払わないでいた人が裁判で勝つなんてことは、不条理でもあります。道徳的にもよろしくないところがあるように思います。ましてや、不法行為をした人が3年で時効だとして、賠償責任を免れるなんておかしいのではないかと思います。こんな制度は、コピー機もないような時代に作られた時代遅れの法律と言ってもおかしくないかも知れません。医療事故裁判などは、不法行為であると構成して訴訟をすることが多いのですが、事故から3年で訴訟まで提起しろと言われるのは厳しすぎます。商取引上の債権などは、債務者側も債務として会計帳簿に記載されているのが普通ですが、それが5年で時効消滅するなどという利益を支払を怠っている側に与えていいのか、私としては疑問です。

だいたい、債権の存否なんて、それ程難しい裁判でもありませんし、時効を理由にして裁判所が権利者を敗訴させるということは、国民へのサービスとしていかがなものかとも思います。ましてや、法曹の数は急増させようとしているわけですから、裁判官を増やして、国民サービスも強化するのが筋であって、民事でも時効期間を短縮して裁判所が保護に動かない範囲を増やすなんて許されるはずがないと思います。

ですから、国民にとってわかりやすいように、少なくとも短期時効の制度は廃止した方がいいように思います。全部10年とするか、むしろ時効期間を延ばす、しかも、時効の停止のために簡単な制度を用意し、時効で消滅したら、税務上も損金として処理でき、債務者側も利益として計上せねばならないというように、税法とも整合性を持つようにするということでいいのではないかと思います。