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弁護士法人 白浜法律事務所

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白浜の思いつき
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2010/07/26

就職が困難になるスパイラル構造

弁護士の就職難は、今後も年々厳しくなるというお話。
 そもそも供給過剰は、数年前から発生していたわけですが、それでも何とか就職ができていた背景には、過払金事件が増えていたことと、リーマンショック前のミニバブルで都市部で不動産関係の事件が増えていたことがあります。ところが、過払事件は急減しつつありますし、リーマンショック後は不動産関係の仕事も急減し、日本全体が不景気になっているということもあって、企業買収案件なども減ってきています。破産処理の費用も捻出できない企業も増えているのか、企業破産事件も減少しているように思われます。つまり、弁護士という業界全体が不景気となっているわけです。このため、来期以降も、弁護士事務所による新人弁護士の雇用が増える可能性は少ないということになります。
 加えて、これまで就職できなかった人たちや即独したような人たちも求職活動を続けるとなると、更に厳しいことになります。これは単純に供給が増えたままになるということだけでなく、産休や病休、事故などによる急な雇用需要に対しては、既に資格のある人たちが対応してしまい、新人が資格を取る12月まで待つというようなことがなくなるということもあります。いわゆる中途採用の増加という現象ですが、これは、これまでの弁護士業界ではあまりみられなかったことです。
 更に、弁護士事務所に就職できなかった人がインハウスローヤーとなったり、司法試験に合格できずに最初から企業に入る人が増えたりすることで、企業の法務部部門の人材が増えることが強く予想されますが、これは、弁護士への外注を減らすことにつながります。もちろん、法務部が充実することによって、弁護士への仕事が増えることもあるかも知れませんが、基本的には外注が減るわけですから、弁護士事務所の仕事はそれだけ減る可能性の方が大きいように思います。それどころか、最終的には、インハウスの需要そのものが数年で枯渇することになる可能性が高いように思います。
 以上の次第で、弁護士事務所の不景気は更に厳しくなることになります。この結果、弁護士は単独事務所から共同事務所化して一人当たりの経費を減らそうとすることになりますが、これは単独事務所や小規模共同事務所のイソ弁にも当てはまることになり、イソ弁が独立せずにイソ弁として留まったり、共同経営者となってゆくということになります。この結果、これまでイソ弁の独立に伴って新規採用を募集していたような事務所での新規採用が減ることになります。ますますもって、弁護士事務所での新規採用は減るわけです。この結果、修習生のときに採用されなかった人が残って求職を続けるか、インハウスに転職するかということが繰り返されることになります。
 この現象が、毎年繰り返されるわけですから、弁護士事務所への就職は、毎年厳しくなっていくわけです。早めに、別の道を考える方がいいという人が増えてくるのではないかと思います。
 私は、新64期では、司法試験に合格しても修習せずに企業に就職するという人が激増するのではないかと予想しています。何事も早めの対処が重要という見地からは、おかしな進路選択ではないと思います。