白浜の思いつき

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  2011年8月

2011年08月24日

二回試験の不合格者が増えているということ

今年8月の合格発表によりますと、二回試験の不合格率が過去最悪になったということです。具体的には、受験者185人のうち、24人が不合格で約13%に達したということです。なお、今回の受験者の多くは旧試験の合格者ですが、過去の二回試験で不合格となった再受験者が83名含まれていて、そのうち14名が不合格だったということですから、不合格者の中には、法科大学院出身者もかなり含まれているということになります。しかも、不合格率は、再受験者の方が高いということになっているわけです。

この成績には、司法修習に関わる者として、深く憂慮しています。二回試験の合格ということは、法曹として仕事をする人を社会に送り出すということですから、そこで不合格者が増えているということは、司法修習を終えた後でも法曹として仕事をさせることができないという人が増えているということになるからです。

ただ、我々弁護士として関わることができるのは、実務修習中の2か月程度のことですから、この2か月の中でどれだけの指導ができるのかという限界があるようにも思います。2年修習の時代であれば、4か月の実務修習と前後期の集合修習がありましたから、修習期間中に実務家としての能力を研鑽する機会には恵まれていました。しかも、2年修習時代は、弁護実務を担当する弁護士はいずれも10年以上の経験を経たベテランでした。しかし、今は、2年修習時代の4倍の修習生が実務庁に送り込まれていますから、対応する指導担当弁護士の確保すら困難で、弁護士経験は5年以上であればよいという基準になっています。その上、今の修習では、前期修習という司法研修所での体系的な学習の機会も与えられていませんから、修習生は、いきなり実務庁に送り込まれることになっています。修習生としても、また、指導する実務庁の側としても、戸惑うことが多くなっているわけです。

このような現状からすれば、不合格者が増えるのは制度的な問題からの帰結という考えもあるかも知れません。ただ、修習生を預かる側としては、やはり国民に対して修習生の品質保証をして社会に送り出す責務がありますから、集合修習を増やしたり、土曜日に勉強会を開催するなど、不合格者がでないようにするためのできる限りの努力はしています。

しかし、ひるがえって考えてみると、このような修習期間の短縮や、前期修習の廃止という制度変更は、法科大学院において、最低でも2年、未修習者に対しては3年という期間で教育が行われていることが前提となっていることです。となりますと、法科大学院で丁寧な教育をしていただき、法科大学院を卒業すれば、法曹として立派にやってゆけるような状態にして、送り出していただくことが求められていると思います(なお、今回の試験は、主には法科大学院出身ではない人が対象でしたが、前述したように、法科大学院出身で過去不合格となった人も多数受験し、不合格者も発生しているということですから、旧試験合格者の問題だと片付けていいものではありませんし、今後は、旧試験合格者は出てこないわけですから、法科大学院の責任は更に重いものとなることは間違いありません。)。

法科大学院関係者には、法曹養成の社会的責務を自覚していただき、二回試験不合格者が増加してきているという結果について、どのような分析をし、入試などの選抜方法の見直しや入学後の教育の内容などの変更など、今後どのような対策を講じるのかということを、公表していただきたいと思います。

2011年08月31日

司法試験を受験されている方へ

今、司法試験を受験されている方というと、予備試験を受けておられる方を除けば、制度上はロースクールの卒業生に限られることになります。ということで、主に、ロースクールの卒業生の方々で、弁護士を志望されている方に向けて、老婆心ながら、以下のことをお勧めしたいと思います。

まず、最初に言っておきますが、弁護士という仕事は、大変やりがいのある仕事です。人の人生に大きく関わる仕事ができますし、仕事の結果いかんによっては社会に大きな影響を与えることができることもあります。ただ、残念ながら、現状では、弁護士になること自体が厳しい状況にあります。修習を終える頃になって、こんなはずではなかったと思う人とか、弁護士にはなってけれども生活が成り立たなくて何のために弁護士になったのだろうというような人がでてこないように、このような文章を書いています。そんなことをせざるを得ないという現状には腹立たしさを覚えつつも、私のように就職難への警鐘を鳴らしていた者が言っておかなければならないだろうと思って書いているということをご理解いただければと思います。では、本題に移ります。

まず、今の司法修習生の就職に関する現状を、司法修習生の友人や若い弁護士に尋ねて、自分の出身大学やロースクールと置き換えた上で、自分が就職戦線で最後まで勝ち残るためには、どれだけの成績で合格する必要があるのかということを確認した方がいいと思います。なぜなら、残念ながら、今の就職事情の厳しさは、実際に経験した人でないとわかりませんし、5年以上前に弁護士になったような人でもわからないほど、司法修習生の就職戦線は急激に厳しくなっていて、ベテラン弁護士ですら今の状況をわかっているとは限らないからです。ましてや、大学の教授などからは正確な情報は得られません。重大な人生選択に関することですから、正確な情報に基づいて、進路を選択することが大事だと思います。

次に、司法試験の合格に自信があるかどうかは別として、一般企業への就職活動もしておかれた方がいいと思います。もはや司法修習を終えたとしても、就職ができるとは限りませんし、むしろ就職に関する状況が毎年厳しくなっている中、その影響を受けて、企業の法務部関係への就職も更に厳しくなる可能性が高くなることも十分予想できるからです。要するに、合格前なら就職できたのに、修習をしたばかりに1年遅れて就職できないということがないとは限らないということです。また、就職活動を通じて、一般企業の給与水準を理解することができますが、その経験が、修習中での就職活動の中でも、弁護士事務所で就職するか、一般企業に法務部員として就職するかということを判断する大きな材料となると思われるからです。新規登録弁護士の給与水準の低下はそれほど急激です。

それから、弁護士事務所への訪問は、合格前から積極的に行われた方がいいでしょう。なぜなら、修習生は、修習先を決めることができませんから、自分が就職したいと思っているところではない修習地に配属されたり、弁護士事務所が多い東京や大阪から離れた地域に配属されたときには、就職活動を行うに際して、かなり厳しいハンデを背負うことになってしまうからです。特に、給費制が廃止されたとしたら、そのハンデは更に厳しいものとなります。それでも、合格前から弁護士との接点を持っていれば、持っていない人よりは情報などの入手の点で若干有利になると思います(あくまでも若干有利ということに過ぎませんが。)。また、合格前の段階での訪問の際の事務所側の反応によって、自分が就職に際して有利な地位にいるのか、それとも厳しい位置にいるのかということもわかりますから、進路選択を早期に決めることができるようにもなると思うからです。ただし、日弁連は、修習開始前の内定については自粛を求めていますから、事務所訪問に応じてくれる事務所がどれだけあるのかはわかりませんので、ご注意願います。

最後になりますが、合格しても修習しないという選択肢もあるので、合格したら修習するという固定的考えに固執する必要はないと思います。昔は、東大法学部を優秀な成績で卒業したような人の中に、国家公務員になるんだけれどもついでに司法試験も合格しておいたという人がいましたが、せいぜい1年に数名という程度だったと思います。しかし、昨年度(2010年冬入所)は、かなりの数が修習しないという選択をしています。給費制が廃止されるということになっていたこともあるかも知れませんが、私は、今の就職事情をよく理解した上での人生選択だったのではないかと推察しています。一般企業での就職も厳しい社会情勢の中、司法試験にも合格していますよということを一般企業や公務員などへの就職の際のアピールポイントにするという選択肢もあるということです。

以上、厳しいことを言っているようですが、悲しいかな、そんなことを言わなければならないぐらい修習生の就職状況は厳しいのが今の現実です。市場の規模に見合わない数を合格させ続けた結果、司法試験の合格ということは、それだけではあまり価値がないということになってしまったわけです。そのような中、他から抜きんでるためには、いい成績で合格することが第一です。しかも、成績だけでなく、他の人よりもアピールできるポイントも磨きながら、積極的な就職活動をできるだけ早い時期から粘り強く行うしかないのです。それが現実です。