京都で弁護士・法律相談ならお任せください。

弁護士法人 白浜法律事務所

0752233444
0752233444
白浜の思いつき
白浜の思いつき

2007/09/11

名誉毀損への救済制度を変えちゃいましょう

インターネット時代になって、名誉毀損が深刻な問題となっています。2ちゃんねるなど、匿名の名誉毀損に対しては、訴訟をするのも大変で、訴訟で判決を得ても、賠償責任が果たされないなどの問題もでています。他方で、週刊誌などで、名誉を毀損される事例も増えていますが、損害賠償がせいぜい200万円程度しか認められないために、何度敗訴しても名誉毀損的な記事発表をやめない週刊誌があったりします。他方、国家権力によってマスコミに訂正を命じるということは、言論統制につながってしまうおそれが高いので、規制をするとしても慎重な対応をする必要もあります。そこで、提案ですが、週刊誌や新聞などのマスコミで名誉毀損が行われたときは、裁判所に訴えて勝訴したら、週刊誌などの販売額の5%(この割合はそれこそ思いつきで深い意味はありません。)を賠償させることができるというような制度にしたらどうかと思います。要は、名誉毀損をして利益を得たとしてもそれを剥奪することにするわけです。名誉毀損をしたら儲けることはできずにかえって損をするということになるので、効果的に名誉毀損行為を抑制することになるのではないかと思います。また、2ちゃんねるなどのネットによる名誉毀損については、実際に削除されるまで1日当たり10万円以上の賠償を支払うことを命じるなどの間接強制制度を強化したらどうでしょうか。そして、この賠償責任にはプロバイダにも連帯責任を負わせるわけです。この制度が実現したら、名誉毀損的なスレッドなどはすぐに削除されるようになるのではないかと思います。問題は、テレビとラジオですが、広告料収入に応じた賠償とする案を考えてみたのですが、NHKとの差別が生じてしまうことが難点です。但し、NHKについては、国が支援している放送局なわけですから、国による言論統制につながらないようにして、独立した行政委員会のようなところに不服申立をすることができるというような制度にしてもいいのかも知れません。

2007/09/04

危険家屋の利用禁止をもっと強化するべきではないでしょうか

姉歯事件などで、危険建物の存在がクローズアップされましたが、実は、これは、新築物件に限った話です。建築基準法は大地震の度に改正されていますから、古い建物は建築基準法が要求する耐震基準を満たしていないことが多いのです。単に耐震基準を満たしていないということだけならいいのですが、崩れかかっていたり、姉歯物件よりも危険な建物であったとしても、その利用禁止を求めることは極めて困難というのが、現状の法律の運用状況です。その最大の原因が最高裁の判例の存在です。朽廃という法律用語がありますが(借地借家法附則第4条、第5条)、この解釈として、最高裁は、昭和30年6月1日判決で、「木造建物が、その柱、桁、屋根の小屋組などの要部に多少の腐蝕個所がみられても、これらの部分の構造に基づく自らの力で屋根を支えて独立に地上に存立し、内部への出入に危険を感じさせることもないなど認定の状況にあるときは、右建物はいまだ一七条一項但書にいう朽廃の程度に達しないものと解すべきである。」としているので、屋根に穴が開いたぐらいでも朽廃とはならないことになってしまっているのです。この判例が、危険家屋の法律上の判定基準となっている関係で、隣地などからの請求にも、裁判所が消極的な態度をとる原因になっています。しかし、私は、この解釈は、第二次大戦後の住宅事情の劣悪な時代の名残ではないかと思います。現代では、雨漏りのする家に住んでいる人すらほとんどいないはずですし、ましてや屋根に穴が開いた建物に居住している人などあり得ません。危険家屋の存在は、倒壊などに伴って、その居住者以外にも、近隣や通行人の生死に関わる重大問題が引き起こすということを考えれば、この解釈は改められて当然だと思います。また、構造計算など、建物の強度計算に関する技術も進んでいるので、構造計算の結果によって、建物としての使用を禁止するということにしても、人によって判断が異なるというような事態はほとんど生じないので、不公平な結果になることを防ぐことはできます。ですから、法律を改正して、構造計算の数値によって一定水準以下の建物の使用は禁止してしまうことにするわけです。これは、ある意味で、DNA鑑定などの技術が発達していなかった時代に制定された民法で女性の待婚期間が設定されていたりして前の夫の子どもとしてしか戸籍に掲載できないようになっていることと似た問題とも言えるように思います。時代が変化した以上法律は変えるべきであって、裁判所が建物が使用できるかどうかを判断しにくいのであれば、構造計算による耐震基準数値をベースにした朽廃に関する基準を法律で決めてしまえばいいだけの話だと思うのです。借家人や借地人の保護に欠けるという非難を受けるかも知れませんが、人の命や怪我に関わることと借地権や借家権などという財産権のどちらに重きを置くかという問題であると考えれば、上記の非難は的外れのように思います。また、隣地の居住者など建物の強度に重大な利害関係を有する人からは、危険家屋の所有者に対して取壊を求める権利を認めるべきだと思います。ご近所づきあいの関係でクレームが言いにくい人もいるということを考えると、市町村などの地方自治体に取壊を命じることができるという制度ももっと実効性のあるシステムに変更するべきだと思います。建築基準法第10条で、危険な建築物に対する措置ができるようにはなっているのですが、実際には、所有者が自治体に申し入れても、賃借人がいるというだけで発令しなかったりするなど、使用禁止命令などほとんど発令されることがないというのが現状だからです。私は、この条文が使用禁止命令の発令を自治体の権利としているのが間違いで(この条文は、命ずることができるとしているだけで、使用を禁止しなければならないとはしていません。)、命を本気で守ろうとするのなら、危険家屋の使用禁止命令は自治体の義務とするべきだと思っています。

2007/09/01

2007 秋号 vol.3 白浜法律事務所報

暑さの盛りも越え、事務所報第3号をお届けします。この秋は、昨年まで当事務所の事務局スタッフとして在職し、弁護士としての研修を終えた拝野弁護士を増員し、弁護士5人体制となりました。事務局スタッフもさらに増員して7名となり、総勢12名で皆様のご依頼に応えていきます。これまで以上に、きめ細やかな法的サービスを目指してゆきますので、どうぞご期待下さい。

 

拝野弁護士にご期待下さい

弁護士 白浜徹朗

平成3年の事務所開設以来、事務局の重鎮として我が事務所を支えてくれていた拝野厚志君が、司法修習を無事終えて、弁護士として帰ってきてくれました。
拝野弁護士は、長年、事務局の立場からお客様に接してきた経験を生かしてくれるものと思います。また、私達の事務所の仕事の流れや方針が身についているだけでなく、実務を体で覚えてくれていますので、即戦力として、皆様の期待に応えてくれるものと確信しております。彼の持ち味は、安心感と話しやすさです。私には言いにくいことも、お客様から聞き出してくれたことが何回もありました。本音で相談しやすい弁護士になってくれるのではないかなと思います。また、実務修習地は、京都ではなく和歌山でしたので、京都とは違った観点から事件をみてくれるのではないかということも期待しております。今後とも皆様の暖かいご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。
人権擁護委員を退任しました。
さて、私はというと、今年、長年務めていた法務省の人権擁護委員を退任致しました。平成4年からということですから、拝野弁護士が事務所に入所してまもなくから人権擁護委員を続けていたことになります。この間、子どもの人権専門委員や京都協議会の役職なども拝命し、京都市に関わった仕事にも参加させていただくなど、貴重な体験をさせてもらいました。
私として思い出深いのは、スーパーマリオの人権カレンダーです。このカレンダーは、毎年、人権週間前に、京都市内の小学校に通う児童全員に配布されるのが慣例となっているのですが、これは、私が無理を言って任天堂さんにお願いしてスーパーマリオの使用を快諾してもらったということから始まったもので、全国的にもユニークな試みです。
私は、元々京都で生まれ育った人間ではありませんので、地域との接点は少なかったのですが、この人権擁護委員の活動を通じて、地域社会というものを実感することができたように思います。京都地方法務局を初めとして、人権擁護委員の皆様や関係者の長年のご厚情に深く感謝する次第です。
今後は、本業の弁護士活動を通じて、地域社会に貢献してゆきたいと考えておりますので、拝野弁護士共々、よろしくお願い申し上げます。

 

ただいま戻りました そして よろしくお願いします

弁護士 拝野厚志

1. ただいま戻りました
1年4ケ月の司法修習を無事終了し、事務員として長年勤めておりました白浜法律事務所に弁護士として戻っていまいりました。これからは弁護士として皆様のご期待にこたえられるよう頑張ります。よろしくお願いいたします。

2. プロフィール
地元の高校卒業と同時に京都へ参りました。大学時代に裁判傍聴する機会があり、世の中の困っている人達の力になれないかと思い弁護士を目指すことにしました。その後、何年かかけて大学を卒業した後(司法試験受験のために留年していたためで遊びすぎて卒業できなかったのではありませんので念のため)、所長である白浜先生のもとで事務員をしながら勉強し、平成17年にようやく司法試験に合格しました。事務員時代には多くの方から励ましてもらったり、また、仕事を通じて様々なことを学ばせていただきました。これらが合格の大きな原動力になりました。お世話になった方々に改めてこの場を借りてお礼を申し上げます。合格までに積ませていただいた経験をこれからの仕事に生かしていくことが一番のご恩返しであると思っております。
これまで多くの紆余曲折を経たせいか、様々な分野に多くの友人におり、これが私の一番の宝となっております。

3. これからの抱負
一日も早く皆様に信頼して相談していただけるようになることが一番の目標です。
ご相談に回答させていただくにあたっては、メリットだけでなくデメリットも示させていただいた上で、なぜその選択肢が解決にふさわしいのかということを分かりやすく説明させていただきたいと思っております。
また、事務員時代には、依頼者の方から、弁護士には聞きにくいことや話にくいことをお話いただくこともよくありました。その経験を生かして依頼者の方にきめ細かな対応をさせていただきたいと思っております。

4. よろしくお願いします。
一日でも早く皆様の信頼を得られるように研鑽と精進に励んでいく所存であります。ご指導とご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。

 

光市母子殺害事件をめぐる報道

弁護士 遠山大輔

事件それ自体、裁判の経過、そして関係者の発言等と様々な面で世間の注目を集めている表題の事件ですが、今回は、マスメディアの問題について触れたいと思います。
私は、刑事弁護人の端くれですので、依頼者の皆さんから話題の事件について聞かれても、「記録を見ない限りは事件は分からない。」と答えます。刑事弁護人としての経験上、事件記録をみないと、軽々なことは言えないことが多いからです。表題の事件についても、同様にしていたつもりです。それでも、多くの報道に触れる中で、私の脳裏に片寄った事件のイメージが作られていたことを知りました。
このことを実感したのは、とある研究会で弁護団の説明を直接に聞いたときです。加害少年の父がDV傾向にあり、少年の母と少年に暴力を振るっていたこと、その母は少年が12歳の時に自殺したこと、家庭裁判所の調査では、少年は精神発達面では4、5歳程度という報告がなされていることなど、これまで報道されてこなかった沢山の事実があることを知りました。
もちろん、だからといって、2人の命を奪うという少年の犯行の重大性が変わるわけではありません。ご遺族が慰謝されるわけでもありません。 ですが、私には報道の中立性について大きな疑問が残りました。「悪いやつなんだからどんなに悪く報道してもいいんだ」という意識が報道側の責任者にないことを祈ります。

 

 

芸は身を助ける(?)

弁護士 豊福誠二

私は、節電器被害対策弁護団に在籍しております。
この事件は、取り付ければたちまち電気代が下がるという「節電器」を、顧客にクレジット契約等を結ばせて高値で売りつけた行為が詐欺等にあたるとして、契約の取消を求めている事件であり、全国に多数の被害者がおられ、弁護団が組まれている事件です。私はこの弁護団において、電気に詳しいという理由で、「検証」を担当しています。
先日、京都地裁で、その検証期日が実施されました。法廷に「節電器」の本体、スライダック、オシロスコープ等を持ち込み、京大工学部の院生2人を助手に、この「節電器」なるものの正体がただの単巻トランスであることや、電圧を下げれば節電になるというわけではなく、家電製品は定格の電圧付近で使用するのが最も効率が良いこと等を、裁判官にわかるように、実演して行きました。最近、理科の実験をしてみせるショーがありますが、あんな感じです。裁判官は当然電気の専門家ではありませんので、どのような方にもわかってもらえるように、やさしく表現するのに苦心しました(それにしても裁判所のブレーカーを飛ばさなくて良かった)。
この検証が功を奏したのか、被告のうちいくつかのクレジット会社とは、ほぼ原告の希望に沿った和解が進んできております。私は工学部出身という、いわば門外漢の弁護士ですが、芸が身を助けたと言える例かもしれません。

 

 

支部事件について

弁護士 山口智

裁判所には支部というものがあります。本庁は、全て都道府県庁の所在都市にあります。支部の裁判所というのは、それ以外の地方裁判所のことです。私は仕事の関係で、そのような支部の裁判所に行くことが多いのですが、支部の裁判所に行った際、必ず感じることは、その裁判所の裁判官と相手方代理人弁護士との親しさです。先日、ある支部の裁判所に行った際、期日が終わり、次回期日の日程調整をしている際、裁判官から相手方の先生に対して「ところで例のあの事件は調査は終わりましたか?」「そうですねー。結構難航してるんですよ。」などという会話がなされており、私は全く蚊帳の外という感じになってしまいました。
支部の裁判所に事件がかかる時は、大抵、相手方代理人の弁護士がその支部裁判所の近くに事務所を構えておりますし、また、支部の裁判所には裁判官は通常1人しかおりませんので、その裁判所の裁判官と親しくなるのは当然かも知れませんが、当該裁判以外のことが相手方のいないところで気軽に話されていることをみると、多少不安になることがあります。
どの裁判所に裁判を起こすかは事件の性質によって異なりますが、できるだけ、こちらのホームグランド(京都地方裁判所)で裁判を起こした方が良いのかなと思うと共に、京都地方裁判所で信頼してもらえる弁護士にならないといけないなということを肝に銘じるようにしております。