2015/12/20
2015年の弁護士一斉登録のデータからわかってきたこと
毎年12月中旬は、司法修習生の最終試験である二回試験の発表があり、この二回試験の合格発表と同時に、弁護士の一斉登録が行われます。
昔は、ほとんどの司法修習生が二回試験に合格していたということもあって、日弁連では、合格発表前に入会の申込を受けつけて、合格発表と同時に入会を認めて弁護士として登録するという処理が行われてきました。法科大学院制度が採用された時期に大量の不合格者が生じたときでも、この流れは基本的に維持されてきましたし、今後も、この処理が変更されることはなさそうですから、二回試験の合格発表が年末に行われる限り、弁護士の一斉登録も年末となるということが続くことになります。
今年は、京都弁護士会では21名が一斉登録となり、弁護士人口は724名となりました。昨年は一斉登録が16名でしたから、少し多くなりましたが、昨年度は1月登録が多かったのが、今年は少し少ないようですから、68期の入会者は昨年度とほぼ変わらない数となりそうです。
大きな変化が生じたのは滋賀で、今年の一斉登録者はなかったようです。また、奈良は1名だけです。和歌山が5名の一斉登録があったことからすると、滋賀と奈良での弁護士の新規入会がほぼなくなったということが、関西地域の弁護士人口の増加傾向の一つの特徴的出来事となったように思います。昨年の滋賀では、一斉登録時期でも、会員数に大きな差が生じませんでしたが、それは新入会員はいたけれども退会者もいたので、前後で人数が変わらなかったということのようですから、滋賀で一斉登録者がいなかったとのは、司法試験の合格者が700名ほどになってからは初めてのことではないかと推察しています。
少し気になったので、滋賀と同様にこの10年ほどで弁護士が急増した地域である佐賀がどうなったかと思って検索してみたところ、68期の弁護士はいないということになっていました。つまり、一斉登録した弁護士は佐賀でもいないということがわかりました。ひょっとして、人口過疎地を抱える弁護士会では弁護士が増えなくなってきているのかと思って、手当たり次第に検索してみたら、秋田と、高知、鳥取、島根も68期の弁護士はいないということがわかりました。他の人口過疎地を抱える単位会でも、一斉登録は1名だけというところもいくつかあるようです。つまり、人口過疎地域を抱えるところでは、弁護士人口の急増はほぼ停止したと言ってもよいことになったようです。
このような現象がなぜ生じるようになったのか、早急に各弁護士会で調査する必要があるように思います。
PS:弁護士過疎という言葉をまだみかけることがありますが、地方裁判所や家庭裁判所があるところで弁護士が身近にいない地域はなくなっていますから、国民に誤解を与える用語であると私は考えています。京都弁護士会では、弁護士偏在委員会というものはありますが、弁護士過疎対策委員会などという委員会は存在しません。このため、私は、人口過疎地を抱える地域という言葉を使っています。