2007/08/29
業務上横領や名誉毀損など国民相互間の紛争に関わる問題については私的起訴を認めたらどうでしょう
業務上横領とか、背任などの経済事件については、証拠上明らかな事件でも、警察が動いてくれず、検察庁も相手にしてくれない、告訴状も受けつけてくれないというのが、現在の捜査実務の現状です。警察がなかなか動いてくれないという問題は、桶川女子大生殺人事件で問題となりましたが、実は横領や背任などの経済事件の場合は、どんなに証拠を持参して説明しても捜査機関が動いてくれないという現実があるのです。捜査側に、民事事件の道具になるというような危惧があるのかも知れませんが、弁護士として情けなくなるぐらい動いてくれないというのが、日本の警察検察の実態なのです。名誉毀損や侮辱などの事件もしかりで、インターネットで侮辱されても、かなりの場合何の対応もなく事実上放置されるというのが現実です。もっとも、名誉毀損などが簡単に刑事事件となってしまいますと、国家権力を使った言論弾圧につながりかねず、自由な言論を規制することになる懸念もでてくるということもあります。しかし、刑事事件であるにも拘わらず放置されて何ら処理されないままというのは、法治国家で許されるべきことではありませんし、被害者に泣き寝入りを強いることになりかねず、司法制度に対する不信感も生じかねません。そこで、私は、このような国民相互の紛争に関わる問題については、検察官による起訴独占主義を改めて、私的訴追を認めたらどうかと思います。要は、被害者側が弁護士を雇い入れて、弁護士が検察官の役割を果たして刑事処分を目指すと言う処理にしたらいいと思うのです。民間の紛争処理としては合理的ですし、被害を被った人からしても、費用さえかければ相手を刑事処分にかけることができるという点で、何も動いてくれないという現状よりは、よっぽど納得できるのではないかと思います。但し、起訴が安易に行われるということが問題となるかも知れませんので、故意に虚偽起訴をしたら、弁護士が資格を失うような制度にすればいいのではないかと思います。起訴陪審のような制度は関係当事者が増えて社会的にみて効率が悪いので、私的起訴には必ず弁護士が関わるようにした上で故意の虚偽起訴をした弁護士を資格剥奪にするということにすれば、虚偽起訴は簡単に抑制できると思います。検察官や警察はいやがるかも知れませんが、検察庁が起訴独占主義を維持したいのなら、国民の要望に応えるだけの適正な人員を確保して、国民側からの告訴告発についてもきちんと捜査して起訴すべきものは起訴するようにしたらいいだけの話だと思います。というわけで、経済事犯や名誉毀損などの国民相互の紛争に関わる問題については、私的訴追を認めるような法律を作ったらどうかと思います。