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2014/10/14

予備試験受験生への差別は違法の疑いがあるように思う

 10月11日のシンポには全国から沢山の方がお集まりいただきました。特に、26名もの国会議員の方からメッセージが届いたということで、これからの運動に希望を持つことができました。ありがたいことだと思います。このシンポで考えたことの中から予備試験受験生の差別には違法の疑いがあるという問題をまずは指摘しておきたいと思います。
 司法試験は、資格試験ということですから、当然ながら、司法試験法という法律に基づいて運用されています。そして、司法試験の予備試験は、司法試験の受験資格に関わる試験ですから、この司法試験法の中で明確に規定されています。すなわち、司法試験法第5条1項は、予備試験が「司法試験を受けようとする者が前条第一項第一号に掲げる者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的」とするものであることを明らかにしています。つまり、予備試験は、理念上は、予備試験合格者に法科大学院卒業生と同等の資質があるかどうかを判定する試験ということになります。逆に言うと、予備試験に合格した人は、法科大学院修了生と同等の資質があると判定されたことになりますから、法科大学院修了生と平等に扱うことは資格試験として当たり前のことになります。
 この趣旨は、平成18年3月31日の閣議決定において、「法曹を目指す者の選択肢を狭めないよう、司法試験の本試験は、法科大学院修了者であるか予備試験合格者であるかを問わず、同一の基準により合否を判定する。また、本試験において公平な競争となるようにするため、予備試験合格者数について毎年不断の見直しを行う。以上により、予備試験を通じて法曹を目指す者が法科大学院修了者と比べて不利益に扱われないようにする。」として確認されていますし、平成19年12月28日の閣議決定でも、「本試験において公平な競争となるようにするため、予備試験合格者数について、事後的には、資格試験としての予備試験のあるべき運用にも配意しながら、予備試験合格者に占める本試験合格者の割合と法科大学院修了者に占める本試験合格者の割合とを均衡させるとともに、予備試験合格者数が絞られることで実質的に予備試験受験者が法科大学院を修了する者と比べて、本試験受験の機会において不利に扱われることのないようにする等の総合的考慮を行うべきである。」とされています。要するに、国民の代表たる国会が定めた司法試験法に従って、行政のトップである内閣も、予備試験合格者を不公平に扱ってはならないとしているわけです。
 ところが、現実には、予備試験合格者は極めて不利に扱われています。これは、そもそも試験を受けることができるのかという入口における差別です。すなわち、下記のデータからも明らかなように、予備試験は極めて狭き門となっています。
  年 度   出願者数   受験者数  合格者数  合格率
 2011年  8,971    6,477    116    1.8%
 2012年  9,118    7,183    219    3.0%
 2013年 11,255    9,224    351    3.8%
 2014年 12,622   10,347    392    3.8%
 最初の合格率については、この試験を受けて合格した人が司法試験でどのような成績となるのかがわからないわけですから、1.8%という狭い合格率となったことを非難することはできないかも知れません。しかしながら、問題は、予備試験に合格した人の司法試験での成績がどうだったかということです。この点、予備試験合格者の司法試験合格率と法科大学院の卒業生との合格率の差は、以下のとおり、予備試験合格者が圧倒的に優位に立つことが続いています。なお、2011年度に予備試験に合格した人が翌年の司法試験を受けることができるということになりますので、1年のずれが生じることに注意が必要です。
  年 度   予備試験か         法科大学院
       らの受験者 合格者 合格率  修了受験者  合格者  合格率
 2012年度   85  58  68.2%  8,302  2,044  24.6%
 2013年度  167 167  71.9%  7,486  1,929  25.8%
 2014年度  244 163  66.8%  7,771  1,647  21.2%
 以上のように、予備試験合格者は司法試験に70%ほど合格するのに対して、法科大学院修了生は25%程度しか合格できていないわけですから、予備試験合格者は試験を受けることができるかどうかという入口において、極めて不公平に扱われていて、法科大学院修了生と「同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有」している人の中から特に優秀な人だけ受験させるという取扱にしていることになります。要するに、予備試験受験生の中には最終的な合格レベルに達していても司法試験を受験できない人が沢山いたということですから、予備試験の合格判定において予備試験受験生への露骨な差別が行われていることになります。これでは、国会が定めた司法試験法や行政のトップである内閣の定めた運用指針を無視した極めて非民主的な運用が行われていると非難を受けてもおかしくないと思います。予備試験の合格者が増えることが法科大学院制度にとって脅威であるということはわかりますが、司法試験は「裁判官、検察官又は弁護士となろうとする者に必要な学識及びその応用能力を備えているかどうかを適確に評価する」ことを求められているわけですし(司法試験法第3条4項)、法科大学院修了生を優先して受験させるというような規定を置いておらず、むしろ、上記のように平等の取扱を求めている以上、予備試験合格者だけは特に優秀な人だけ司法試験を受験させるという現在の運用には大いに問題があると言わざるを得ないと思います。
 このような違法の疑いがある運用が行われている中、予備試験にさらに制限を加えようとする動きがあるようです。しかしながら、実際には、予備試験受験生がいることによって、ようやく法曹志望者の減少に歯止めがかかっていると言わざるを得ない状態になっていますから、予備試験の制限など絶対にやってはいけないことだと私は思います。