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弁護士法人 白浜法律事務所

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2008/11/06

ロースクールの実務研修が充実していないと困るわけ

ロースクールでは、実務に関する研修も行われているはずですが、実際には、実務に関する知識があまりないような修習生もいるなどと言われることが多いようです。しかし、司法修習の現状は、ロースクールでの研修が充実していてくれないと大変困る状態となっています。
 昔は、司法修習は2年間となっていました。その間に実務修習だけでも16か月あり、弁護、検察、民事裁判、刑事裁判が各4か月の研修となっていました。しかも、修習生の数が500人でしたから、3人の裁判官がいる部屋に4名ぐらいが4か月いるということで、かなり充実した研修を受けることができていました。弁護修習では、捜査弁護から判決まで担当することもありましたし、相談から訴状提出、事件によっては証人調まで担当するということもあり得ました。今回の「司法改革」では司法試験合格者の数を大幅に増やしたわけですから、修習開始のハードルが下がったという見方も成り立つわけで、そうであれば、ハードル通過後の修習を充実したものにしないといけないと思うのが自然だと思います。しかし、司法修習が大幅に希薄化しているということが意外に知られていません。
 つまり、新司法試験合格者の場合、前期修習もなく、いきなり実務に配属され、修習期間も1年ということですから、弁護修習などは2か月で終わりです。この修習期間中も、全体で研修を受ける機会に集められることもあるわけですから、弁護の実務修習と言っても飛び飛びで事件をみることが多く、まさに弁護士の生活を側面でみるだけと言ってもおかしくないものになっているように思います。2年修習時代は、弁護修習中に自分の担当ではないほかの弁護士の話を聞いたりする機会もあり、弁護士は修習の最後の頃になると、ほぼ全員の顔と名前が一致するぐらいの濃い関係があったように思いますが、今の修習生の顔と名前を何人も覚えているような弁護士はほぼいないと思えるほど、修習生の数が増えすぎて、弁護士と修習生の間隔が希薄になってしまっています。
 私は、実際にみていないので想像するしかないのですが、裁判修習とか検察修習などは、大量の修習生を部屋で抱えていることになっているので、実務そのものに影響がでてきていないのか心配になります。裁判所と比較すれば、検察修習では、修習指導担当が限定されていたはずですから、特定の検察官だけが苦労することになっているのだろうと思いますが、裁判官の場合、ほぼ全員が修習生と会話したりして指導を事実上分担しているはずですし、その指導に必要な人材が増員されているわけではありませんから、指導に要する実務家裁判官の負担には相当なものがあるはずです。本来の職務である裁判実務のほかにこのような修習指導を押しつけられているわけですから、今の修習制度というものは、現場の裁判官の犠牲の上に成り立っているのではないかとすら私には思えます。
 また、修習生の側も、昔と違って就職活動に振り回されています。就職が早く決まった修習生は修習に専念できますが、就職が決まらないと就職活動に時間がとられることになりますから、2年修習の時代と比べると、時間的余裕は大幅に削られていると言ってもおかしくないと思います。結果的に、就職先が決まっているかどうかによって修習生の中に大きな格差が生じてしまっていることになります。特に年齢が高い修習生は厳しい状況に置かれていることが多いように思います。転職して新司法試験に合格されたような方は比較的年齢が高い方が多いわけですから、転職された方は本当に厳しい就職環境に置かれていることが多いのです。この現状をみる限り、多種多様な人材を法曹界に集めるということとは全く逆の方向に法曹界は突き進んでいるように思えてなりません。
 以上のような状況ですから、司法修習で実務を学ぶということに期待されては困ります。ロースクールで充実した研修を積んで司法修習に臨まれるということが必要ですし、それが、ロースクールの社会的責務であると私は思います。