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弁護士法人 白浜法律事務所

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2009/04/03

時効制度の見直しについて

時効制度の問題点は、主に刑事事件で話題となっているようです。民事事件の時効は、民法に規定がありますが、刑事事件での時効ということでよく話題になっているのは、公訴時効という制度なので、刑事訴訟法に規程があります。刑法には、確定した刑の執行を免除する制度である刑の時効という規程がありますが(刑法第31条)、確定した刑の執行が行われないままになるようなことはまずないので、これが問題となることはほとんどありません。このため、マスコミなどで話題となることが多いのは、公訴時効という刑事訴訟法に規程のある制度となるわけです。
 この公訴時効の制度が設けられている趣旨は、時間の経過に伴って犯罪の社会的影響が薄れる傾向があるということに着目する考えと(実体法説)、時間の経過に伴って証拠が散逸することで審理が困難になるということに着目する考え(訴訟法説)があり、通説は、両方の側面があるとしています(折衷説)。犯人の法的地位の安定に考慮したものだという説(新訴訟法説)もでてきています。いずれにしても、結果的に利益を受けるのは犯罪を犯した人物ですから、公訴時効は社会正義に反する制度という側面を持っているわけで、犯罪の重大性に応じて時効期間が異なっているのは、このことに着目したものとも言えます。しかしながら、このような不正義を国が認めていることはおかしいということで、殺人事件などの重大犯罪については時効をなくすべきだとか、時効の期間を見直すべきだいう考えがでてきているわけです。
 元々、この法律ができたのは戦後まもなくのことですから、DNA鑑定など想像することすらできなかった時代の法律が今もなおそのままとなっているわけです。現行の刑事訴訟法が制定された頃は、刑事事件の証拠としては目撃証言などが重要なものだったということを考えると、昔のことを思い出しての証言だけで有罪無罪を決めていいのかということについて消極的な判断に至ったことにはそれなりの合理性があるように思います。しかし、科学的鑑定や防犯ビデオなどの記録機材が発達した今の時代にも同じことが言えるのかというと、そうでもないわけですし、殺人などの重大犯罪の抑制という見地からは、時効を延長することにも十分な理由があるように思います。
 それでもすんなりとは決まっていないのは、この時効制度が、警察などが捜査を打ち切るための理由づけになっていることがあるように思います。実際、新聞記事でも、見直しの慎重論の理由として、「捜査の人員の維持や資料の保管に限度を設けることを検討する必要がある」と捜査機関の負担が指摘されています。私が司法修習を受けているときも、塩漬けのようになっている長期未済事件について、時効を理由として起訴猶予とするということがあったと記憶しています。
 このため、この制度の改正は難しい問題となっているわけですが、私は、個人的には、時間だけで一律に時効が成立してしまうような制度だけを用意するのではなく、社会的な影響なども考慮して、時効の延長を個別に考慮するような制度もあっていいように思っています。要は、証拠の被害者側の心情や社会的影響などを個別に裁判所が審査して時効の延長の可否を判断するということもあっていいように思うのです。被害者側が時効延長を望まないということも延長の判断の要素として考慮することとなれば、今の時効制度の問題はかなり緩和されるように思うのです。
 なお、私は、民事事件の時効の制度も見直すべきではないかと考えているのですが、そのことは、別稿で述べるようにします。