2010/03/15
修習生の給費制廃止に思う
今までの司法修習生は、国から給料をもらって研修しているわけですが、これがおかしいのではないかとの議論があり、来年度からは貸与制になるということが既定路線となっています。
しかしながら、このままでは法曹としてのスタートの時点で、多額の借金を抱えているという人が増えそうです。
本日配布されてきた日弁連ニュースによれば、62期修習生からのアンケートによると、52名の回答ということではありますが、そのうち55.8%が借金を抱えていて、平均値は400万円を上回るということです。負債額の最大値は、1262万円です。
合格者500人時代の頃も合格するまでには長期間の受験生活が必要だったので、昔の修習生も借金を抱えていなかったかとは言えないでしょうが、1千万円を超える借金を抱えている人がいたような話は聞いたことがありません。
ロースクール制度が採用されたこともあり、合格までにかかるコストは格段に大きくなっている上、貸与制が採用されるということになれば、新人法曹が更に厳しい経済環境に置かれることは間違いありません。加えて、就職難もあるわけですから、借金を返済しようにも就職後の給与水準が大きく低下する可能性が極めて高いので、返済に回せる資金的余裕も小さくなる可能性が高いということもあります。弁護士の給与水準が低下すれば、裁判官・検察官の初任給にも影響するのは必至でしょう。
このことが今後の司法制度にどう影響するのかということは、慎重に考える必要があるように思います。
このことからしても、需要予測を考えないままに法曹人口を急増させたことについて、真剣に再検討する必要がでてきているように思います。何度も言いますが、その負担は、新人法曹に大きくのしかかっているのです。
これから法曹になる人が利益だけを追い求めなければならないような世界にならないことを願います。