2010/07/01
中国の弁護士過疎事情など
青島で、現地の弁護士とお話しする機会があったので、中国の弁護士事情について、色々と聞かせていただきました。通訳を介しての話なので、不正確なところがあるかも知れませんが、日本と比較するとおもしろいことが多かったので、紹介させていただきます。
まず、中国も弁護士が増えていて、事務所も大型化する傾向にあるようです。ただ、大きな事務所でも、新人をとるというよりは、経験を積んだ弁護士を中途採用して拡大してゆく傾向があるということでした。
弁護士は、大量に増やされているようですが、まだまだ不足しているらしく、北京や上海、青島などの沿岸部、すなわち、経済が発展している地域に集中していて、内陸部ではあまり増えていないそうです。弁護士が1人もいないような弁護士過疎地域もあるそうです。さすがに問題となっているらしく、政府が、資金援助をして、内陸部などに弁護士を誘導しようとしているらしいのですが、成果はでていないそうです。
中国と比較すると、日本は、政府の援助は、法テラス事務所の設置程度ぐらいしかありませんから、弁護士過疎問題への取組が大きく違っています。日本では、政府に頼ることなく、弁護士が自らひまわり基金を拠出して過疎地への弁護士誘導をほぼ成功させているわけですから、日本の弁護士会がやっていることは、評価されてしかるべきではないかとの思いを強くしました。
ただ、何よりも、中国では、弁護士全体への需要が大きく伸びていますから、需要がほとんど増えていない日本とは全然違います。中国でも弁護士を増やそうとしているようですが、日本のように弁護士がワーキングプアに陥ることがあるというようなことはなく、需要を考えることなく爆発的に増やしているようなことはないように思います。お話ししている中でも、中国の弁護士(律師と言います。)には、どんどん仕事を拡張してゆこうという活気を感じました。日本と中国の法曹人口に関する政策の違いを痛感したような次第です。