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弁護士法人 白浜法律事務所

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2010/07/08

ロースクールと司法研修所の違いから考えてみたこと

私は、ロースクール制度が直面している最大の困難は、修習生の就職難ではないかと思います。就職ができるかどうかもわからないような資格を得るために、高い学費を支払って2年間学ぼうとする人はいないはずですから、就職難が応募者の減少をもたらしていて、それがロースクールにとって厳しい経営環境をもたらしているということになるように思うのです。
 どうもロースクールには、司法試験の合格者数を増やすことが死活的な問題であるかのごとく考えている方が多いように感じることがありますが、試験に合格させればそれで自分の仕事は終わりだというような考えに立っていると、そのうち、期待権侵害などを理由にして卒業生から訴えられるロースクールがでてくるのではないかと心配です。市場のニーズに合わせた合格者にした上で、司法試験合格後も、就職先をフォローしてやるだけでなく、司法試験以外の道も確保するなどして、卒業生全員が仕事に就けるようにするよう努力を惜しまないロースクールこそが、実務家養成のための学校として、学生の支持を受けるのではないかと思います。ちなみに、この観点からすると、在学中に試験を受けることができるようにして卒業と同時に司法修習にゆけるようにせよという提言をどのロースクールが最初に行うかということにも注目する必要があるように思います。
 ただ、司法試験の合格者が少なくなると、ロースクールは、学生数を確保できるところとできないところに別れることになり、少数の学生しか確保できないようなロースクールは経営が成り立たなくなることになるのではないかと思います。ロースクールでは、実務家教員なども確保せねばならない上に、実務家養成のためには個別指導を重視する必要があるために、大学の法学部教育のようにマスプロ教育で効率的に教えることはそもそも不可能ということがあるからです。医学部のように、高額な入学金や授業料が必要とされるロースクールが出現することは必至のようにも思います。
 そう考えると、今までの司法研修所システムがいかにボランティアに支えられた制度であったかということがわかります。裁判所も検察庁も弁護士会も、現役バリバリの実務家に、本来の仕事ではない修習生の指導をさせているわけで、そこでは文章の添削指導までも丁寧に行われているにも関わらず、そのための手当を渡すわけでもなく、ボランティアを当然のように強いているわけです。教育施設でありながら教員をただで雇っているに等しいわけですし、必要な施設としては集合研修のための司法研修所だけでよく、各地の裁判所や検察庁、弁護士事務所を使っての実務修習が研修のほとんどを担っているわけですから、採算の考慮はほとんど不要ということになります。逆に言えば、教員に適正な報酬を払い、施設も新たに作るというロースクールが、司法修習と同じような指導を行って採算ベースに乗ることは極めて困難ということは自明ということになります。
 このように考えると、ロースクールという制度を考えた人たちは、果たして採算ということを本当に考慮していたのだろうかということが疑問になりますし、逆に、採算のことだけを考えて合格者数を考えていたのではないだろうかという疑念も生じてくるようにも思えてきます。3千人というような合格者を出現させることで、就職問題が生じないかということなど、ほとんど考慮されなかったのではないかという気がしてくるのです。2千人時代ですら、既に就職問題は破綻してしまっているわけですから、3千人の合格者なんて荒唐無稽な数字なのです。仮にそうだとすれば、そんな話に踊らされた人たちはかわいそうですし、同じような年代の子どもを持つ者としては、親御さん達の心配を考えると同情を禁じ得ないのです。