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弁護士法人 白浜法律事務所

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白浜の思いつき
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2010/08/29

修習生にバイトの機会を与えたら、それでいいのでしょうか

修習生の給費制維持のことで、朝日新聞が論説を書いていますが、これを読む限り、修習生はアルバイトをしたらいいかのような理解をされているように思います。きちんと取材をされたのかがわかりませんが、少なくとも、私の知る限り、修習生にアルバイトをしなさいということは無理だと思います。
http://www.asahi.com/paper/editorial20100829.html
弁護修習では、単に相談に立ち会うだけとか、刑事の接見に立ち会うだけというときもないとは言えませんが、相談後の弁護士との協議では、法的な問題点について議論します。弁護士としても、この議論の中で、法律論を再検討することがあります。その後、弁護士の指示に基づいて、法律や判例を調査したりすることもありますし、訴状や準備書面、内容証明郵便などを起案したりします。これが結構役に立っているのです。と言うわけで、弁護修習では、実際に仕事をしているということは言えるわけです。
検察庁では、指導係の指導を受けてではありますが、取調を実際に担当したりしますから、まさに仕事そのものを担当しています。ただ、裁判所では、判決を書いたり、訴訟指揮をするわけではないので、仕事そのものをしているわけではありませんし、判決起案については朱を入れられたりすることが多いので、研修をしているという印象が一番強いところではないかとは思いますが、裁判修習の中でも判例を調べたりすることもありますし、自分の経験では修習生の判決起案を下に合議をしていただいたこともありますから、裁判修習でも、修習生は仕事をしていることにはなると思います。後期修習など、研修だけしか行われない時期はありますが、新人採用にあたって全体的な研修を行うことは、通常の企業でも公務員でも行われていますから、このような研修時期があるから、全てが研修だなどと言うのは、乱暴な議論だと思います。
以上の次第ですから、修習生が仕事をしていないという評価は誤りだと思います。となりますと、修習生には給与が支払われて当然です。修習生には、修習専念義務がありますが、これは、修習が仕事であることからの当然の帰結でもあります。逆に言えば、仕事を与えながらも給与は払わない、アルバイトも禁止ということであれば、憲法の定める経済的自由の侵害と言わざるを得ないと思います。
では、現実を考えてみた場合、修習生が実際にアルバイトをできるかというと、まず不可能だと思います。弁護修習だと、弁護士と同じような時間帯まで事務所にいることが多いはずですから、アフターファイブに仕事にゆけるような時間的余裕はありません。他の修習も、判例や法令の調査や判決起案で手一杯で、自宅でも勉強に追われているというのが実態です。ですから、修習生にアルバイトの機会さえ与えれば、給費制を廃止してもよいなどと言われるのは、現実を無視した、乱暴な議論だと思います。
やはり、修習生の給費制廃止は問題がありすぎです。