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弁護士法人 白浜法律事務所

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白浜の思いつき
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2012/12/21

65期の就職状況

 二回試験に合格して、司法修習を終えても、法曹三者にならない未登録者が増えてきているということを最初に指摘したのは我が事務所のHPでのコラムですが、最近では、私が集計しなくても、日弁連でマスコミに公表してくれるほどのことになってしまいました。NHKの記事によると、今年は、およそ540名が登録しないということで、4人に1人という割合になっているようです。新63期は214名で比率が約11%、新64期は404名で比率は約20%、今年が約25%ということであれば、統計上も、需給バランスが破綻していることは明らかということになります。
 このように統計上の数字からも、もはや現状の法曹養成制度が政策として失敗していることは明らかです。しかも、この法曹養成制度の「改革」にあたっては、需給予測すら行われていなかったどころか、主要な柱とされた法科大学院制度の輸入元であるアメリカにおけるこの制度の問題点についてもまともな研究が行われていなかったということもわかってきています。更に馬鹿げたことに、日本の法科大学院なるものは、法律家になるための学校なのに、法学部以外からの入学希望者には法律のことは入学試験では問わないまま入学させるとか、司法試験に合格しないと法律家になれないのに試験の指導はしてはいけないなどのおかしな制度にもなっていたわけですが、こんな大学院を、三権の一翼を担う人の養成制度に組み込むということをなぜ許容したのかということが、私には、理解できないところがあります。
 司法修習には膨大な国費がかかっていますし、指導担当の弁護士や裁判官・検察官、弁護士事務所の事務局、裁判所や検察庁の書記官や事務官など、沢山の実務家が関与しています。他方で、この司法修習に費やす国家予算を上回るような補助が法科大学院に費やされています。国の財政事情が厳しい中、このような国費や人的資源の無駄遣いは、早急に改められるべきでしょう。
 なお、修習生の就職難は、統計の問題ではなく、個々の若者の人生に関わる問題です。今年も、細々と履歴書指導などの就職指導をしていますが、個人的な就職支援ではどうすることもできないほど、就職環境が悪化しているのが実情です。法曹養成制度の再検討にあたっては、机上の空論のような議論をするのではなく、個々の若者の顔を思い浮かべた政策議論をしてほしいと思います。また、法科大学院関係者は、国費を受領している団体側の人間であるということを踏まえた取扱をしていただきたいと思います。