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弁護士法人 白浜法律事務所

0752233444
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白浜の思いつき
白浜の思いつき

2008/01/01

2008 春号 vol.4 白浜法律事務所報

陽春のご挨拶
うららかな季節を迎え、新しい年度の始まりに際し、事務所報第4号をお届けいたします。
今年は、当白浜法律事務所が丸太町に移って5年となりました。
これからも、皆様に親しみやすく、頼りがいのある法律事務所を目指して邁進して参ります。

 

ちりとてちん

弁護士 白浜徹朗

ちりとてちんは、落語のお題の一つで、NHKの朝ドラのタイトルです。このドラマでは、落語の一門の師弟関係が描かれていますが、弁護士の世界でも、一門と言われる師匠と弟子の関係のようなところがありまして、証人尋問技術とか、法律相談のつぼ、交渉に臨むコツや注意点など、仕事の中で厳しくたたき込まれて育てられるものなのです。
私も、勤務弁護士という弟子と対話をしながら、事件の見極めについて議論し、起案の方向性を示した上で、できあがってきた起案を添削したり、勤務弁護士の相談や電話での応対にも口をはさみながら、仕事をしています。1人でやっているときよりも、自信を持って文章を書けるので、私としても助かっています。また、勤務弁護士がじっくり事件に取り組むことで、弁護士が1人で時間に追われて仕事をしているよりも、丁寧な仕事にもなっているようにも思っています。
でも、勤務弁護士からすれば、結構大変な毎日だろうと思います。所長から、「あれはどこまで進んだのか、起案はできたか。書面をみせろ。」と厳しく催促を受けたかと思えば、自分で書面を打っている途中でも、「この法律論をどう思う。」などと聞かれたりするわけで、気を抜く暇はありません。師匠たる私としては、早めに弟子に起案をしてもらって、その起案を自分でもチェックをして、議論をして、いい書面に作り上げたいと思っているわけで、早く書面をみたくなるわけです。書面は、弁護士が職人として作り上げた作品のようなものですし、原稿が早くできると、お客様にも検討してもらう時間ができます。ですから、弁護士として早めに書面を書き上げる癖をつけるように指導することは、師匠として大切なことだと思っています。私自身がまだまだ時間ぎりぎりになることが多いので、そんな癖から弟子には脱却してもらいたいという願望もあります。勤務弁護士に色々と法律上の議論をふっかけるのは、思いこみで間違ってしまうようなことにならないように自分で考える癖をつけてもらおうというねらいもあります。師匠としては、自分の考えにミスがないか確認しながら仕事をしつつ、勤務弁護士にも常に考える癖をつけてもらうとともに、最新の法的知識を勤務弁護士から吸収するわけです。もちろん、亀の甲より年の功という言葉があるように、経験を伝えることも大事ですから、先輩弁護士としての経験談もことある毎に伝えるようにしています。
ちなみに、ちりとてちんでは、落語家が他の一門のお弟子さんに稽古をつけてもらうことがあるということが紹介されていました。弁護士の世界でも、他の弁護士と一緒に仕事をして鍛えてもらうということがあります。共同受任事件とか、集団訴訟とか弁護団事件というものです。我が白浜事務所では、これらの集団事件には、積極的に参加すべしということにしています。そうしないと、最新の弁護技術や法知識が身につかないからです。所長である私自らも参加することもありますが、このような活動を通じて、事務所全体のスキルアップを図っておりますので、ご理解下さい。
ドラマのちりとてちんでは、5人の弟子のそれぞれに個性があり、その個性をうまく伸ばしていく師弟関係が描かれていました。私も、努力はしていますが、ドラマのように人をうまく育てることはできていないかも知れません。このドラマの中で、「師匠が大事に思っていることは、お弟子さんの中でりっぱに育っていますよ。」という言葉に感じるところがありました。私も、将来、そんなことを言われるように、後輩を育ててゆきたいと思っております。
それでは、おあとがよろしいようで。

 

 

韓国に行ってきました!

弁護士 遠山大輔

1月末、日弁連視察団のメンバーとして、韓国(ソウル)を訪問しました。4日間の日程で、地方裁判所、検察庁、警察署、弁護士会、保護観察所、保険会社(保釈金保証保険)を視察してきました。私にとっては初めての韓国訪問でした。食事がおいしく、キムチを毎食おかわりしました。九州出身の私としては、自分のルーツを感じずにはいられませんでした。
今回の視察の目的は、韓国で実践されている「取調べの可視化」「身柄不拘束の原則」「社会奉仕命令制度」についての調査でした。「取調べの可視化」とは、被疑者や参考人の取調べを録音・録画して、取調べの適正化を図り、かつ取調べの様子を裁判でも検証できるようにする制度です。実施状況についての詳しい説明を受け、検察・警察とも積極的に取り組んでいることが実感できました。「身柄不拘束の原則」は、可能な限り被告人の身柄を拘束しないで捜査、裁判を行おうというものです。勾留されたまま裁判を受ける被告人の数が、10年で3分の1になったと聞き、驚きました。保釈金についても、1%以下の手数料を支払えば保険会社と保証保険契約を締結できるそうです。保釈金を現実に納めないといけない日本の現状とは、雲泥の差があると感じました。「社会奉仕命令」というのは、執行猶予の条件として、老人施設や障害者施設などで作業をさせる制度です。実刑判決と執行猶予判決の中間的処分として、日本に導入しても有効だと思います。
韓国の法制は、日本のものを参考に作られながら、さらに良い方策を求めて積極的に法改正を進めていました。他の国を知ると、日本のことが再認識できます。大学生のころは、「比較法」の重要性を授業で説明されても分かりませんでしたが、今回の訪問では本当によく理解できました。まさに「他山の石」です。結局のところ、日本の刑事手続(あるいは人権感覚)は、韓国と比べると数十年置いて行かれていると感じました。「可視化」を始め、早急に改革を進める必要があると思います。
韓国では陪審裁判も試験導入されました。日本でも裁判員裁判が始まることですし、また近いうちに視察できればと思います。
この原稿を書いているのは2月ですが、3月にはシドニーに「可視化」「陪審裁判」の視察に行きます。韓国と同じように、いろんな法律家の知恵を持って帰りたいと思います。

 

 

発信者情報を開示する

弁護士 山 口智

「今日、○○小学校を爆破する。」「○○を殺す。」といった内容をインターネット上の掲示板へ書き込んで、逮捕されたといった事件を最近よく耳にすると思います。インターネット上の掲示板に返信(一般的に、「レス」と呼ばれている。)した人をどうやって特定するのかということについては意外に知られていませんので、私が得た知識をお教えします。
私人が発言者を特定しようとする場合、いくつかのハードルがあります。発言者を特定するには、まずはその掲示板の管理者に対してIPアドレス(番号のようなものですが、これは、インターネット上の住所のようなものです。)を開示させる必要があります。このIPアドレスを開示させるためには、これまでは、個人情報の関係で、裁判所の力を借りることが一般的でした。もっとも、裁判所によって、IPアドレスを開示せよといった判断が示された場合であっても、掲示板の管理者がこれに応じなければ、IPアドレスを知ることができません。
仮に、IPアドレスを開示してもらうことに成功したとします。その場合、そこから何が分かるかと言えば、経由プロバイダ名(インターネットに接続するためのサービスを提供する企業あるいは団体)が判明します。そうしたら、そのプロバイダに対してIPアドレスから、発言者の情報等を開示せよといった判断を示すように裁判所に申し立てなければなりません。この場合も、そのような判断が出たとしても、プロバイダがこれに応じなければ強制することは難しいです。さらに、ここでは、情報が消えてしまうと言う危険性も存在しております。プロバイダの種類にもよりますが、発言者の情報は、一般的に3ヶ月から半年程度で消えてしまうことが多いようです。そこで、プロバイダに対して、発言者の情報を消さないように、情報の保存を求める必要もあるのです。
このようにして、ようやく、発言者を特定することができるのです。これを警察等国家権力が行おうとすれば、令状の発付等によって、上記の過程をわずか数日のうちに行うことができるので、力の差が大きいことを実感します。いずれにしても、匿名性が売りの掲示板でも発言者は特定し得るのです。特定された場合、刑事処分や損害賠償請求等をされる可能性があります。ですから、匿名で発言していても、発言したことが突き止められることがあるわけですから、発言内容にはくれぐれもご注意下さい。

 

 

私道の自動車通行について

弁護士 拝野厚志

先日、不動産鑑定士と弁護士との合同の勉強会があり、僭越ながら、私が講師として「建築基準法上の道路と通行権」について発表させていただきました。この発表を通じて、私自身も勉強させていただき、2項道路や位置指定道路の関係については相当詳しくなりました。
道路指定され、自動車が通行可能な道路幅があれば、皆さん当然に自動車で通行できると考えられることと思います。
しかし、判例を調べてみると、自動車の通行が十分可能な幅のある道路でも自動車による通行を否定しているものが、意外と多いのです。
車が十分通れる2項道路や位置指定道路であっても、これまで車が通ったことがない道路にはほぼ自動車通行は認められません。また、自動車が通行していたとしても自家用車以外の工事車両の通行となると否定的です。しかし、これでは、建築基準法上は建築可能とされているにもかかわらず、工事車両は入ることができず、実際上は建築が不可能な土地になってしまうという困った事態が生じてしまいます。従いまして、道路に接道しているからというだけで安心されることなく、道路の利用状況をよく確認してから、購入することが重要となります。  最も驚かされたのは、裁判所は、通行の自由は権利ではなく、道路指定されたことによる「反射的利益」としてとらえていることです。平たく言えば、お上が設定したことのおこぼれに預かっているにすぎないといったところとなりましょうか。
しかし、このような判例の立場は疑問です。人によって車で通行できたりできなかったりするなど社会常識に反しているだけでなく、今日、避難経路や緊急車両の通行の確保など安全な住環境の確保が強く求められているという社会的要請にも反しています。時代の後追いでなく、立法動向や時代の要請を反映させた判決こそが求められているのに、まさにこれらの判決は逆行する形となっています。そのような政策形成は立法の仕事と割り切るのもひとつの立場かとは思いますが、健全な政策形成は司法の場においても求められていると思います。また、弁護士も社会の動きを鋭敏に感じ取り、行政や一般市民の常識を裁判所に理解してもらう努力をすることも重要であると痛感しております。

 

 

破産管財という業務

事務長 田村彰吾

法律事務所の業務の中に破産管財事件というものがあります。これは、破産手続が開始した会社などの清算を請け負う業務で、その破産した会社と全く関係のない弁護士を、裁判所が指名して選任します。いわば裁判所からの受任事件と言うことになります。
破産管財人に就任しますと、その会社の全ての権限があたえられ、裁判所の監督の下、会社を解体し、整理します。具体的に言えば、売掛金の回収や預かり品の返還、従業員の解雇、税務申告、本社屋の売却又は退去、果ては事務用机や椅子まで売り払って、資産を処分し、権利関係を整理し、債権者に配当するための換価作業を行います。言うなれば、一人で会社をやっていくようなものです。しかも、事業をたたむ作業ですので、余り気持ちの良いものではありません。
裁判所は、このような業務を破産会社の規模や就任予定の弁護士の経験に応じて割り当ててくるのですが、近年、当所には比較的大きな規模の破産管財事件が回ってくるようになりました。過去の年商が数億円、従業員数で言えば100名前後ですから、世間で言うところの中小企業でしょうか。このような会社の清算をさせていただくのですが、現在、白浜が管財人に就任している会社が3社もあります。まだまだ規模の小さい当所が年商数億円もの企業3社を切り盛りしているのですから、はっきり言って資料を見るだけでも、気が遠くなるような作業です。にもかかわらず、資産を隠されていないか、不正が行われていないかなど、様々な調査もしなければなりません。時には、潰れた会社になんか代金を支払いたくないと無理を言う業者さんに、破産制度を説明し、支払いをしてもらわなければなりません。何とも頭の痛い業務です。
しかし、この業務にも救われることがあります。退職を余儀なくされた従業員さんに、給与を払うことができたときなどに喜んでいただけることがあったりするからです。倒産間際の企業は、得てして従業員さんをないがしろにしてしまいがちです。そんな状況で、当所が関与することで、正しく退職手続が行われ、未払の給料もいろいろな制度で補填されたりすることがあります。「満足」とまでは行かなくても、「なんかすっきりした」とおっしゃっていただければ、何よりの救いです。
そんな小さな誇りを感じつつ、私は今日も管財業務をサポートしています。

2007/12/17

弁護士 豊福誠二は事務所を移転しました。

弁護士 豊福誠二は事務所を移転しました。

2007/09/01

2007 秋号 vol.3 白浜法律事務所報

暑さの盛りも越え、事務所報第3号をお届けします。この秋は、昨年まで当事務所の事務局スタッフとして在職し、弁護士としての研修を終えた拝野弁護士を増員し、弁護士5人体制となりました。事務局スタッフもさらに増員して7名となり、総勢12名で皆様のご依頼に応えていきます。これまで以上に、きめ細やかな法的サービスを目指してゆきますので、どうぞご期待下さい。

 

拝野弁護士にご期待下さい

弁護士 白浜徹朗

平成3年の事務所開設以来、事務局の重鎮として我が事務所を支えてくれていた拝野厚志君が、司法修習を無事終えて、弁護士として帰ってきてくれました。
拝野弁護士は、長年、事務局の立場からお客様に接してきた経験を生かしてくれるものと思います。また、私達の事務所の仕事の流れや方針が身についているだけでなく、実務を体で覚えてくれていますので、即戦力として、皆様の期待に応えてくれるものと確信しております。彼の持ち味は、安心感と話しやすさです。私には言いにくいことも、お客様から聞き出してくれたことが何回もありました。本音で相談しやすい弁護士になってくれるのではないかなと思います。また、実務修習地は、京都ではなく和歌山でしたので、京都とは違った観点から事件をみてくれるのではないかということも期待しております。今後とも皆様の暖かいご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。
人権擁護委員を退任しました。
さて、私はというと、今年、長年務めていた法務省の人権擁護委員を退任致しました。平成4年からということですから、拝野弁護士が事務所に入所してまもなくから人権擁護委員を続けていたことになります。この間、子どもの人権専門委員や京都協議会の役職なども拝命し、京都市に関わった仕事にも参加させていただくなど、貴重な体験をさせてもらいました。
私として思い出深いのは、スーパーマリオの人権カレンダーです。このカレンダーは、毎年、人権週間前に、京都市内の小学校に通う児童全員に配布されるのが慣例となっているのですが、これは、私が無理を言って任天堂さんにお願いしてスーパーマリオの使用を快諾してもらったということから始まったもので、全国的にもユニークな試みです。
私は、元々京都で生まれ育った人間ではありませんので、地域との接点は少なかったのですが、この人権擁護委員の活動を通じて、地域社会というものを実感することができたように思います。京都地方法務局を初めとして、人権擁護委員の皆様や関係者の長年のご厚情に深く感謝する次第です。
今後は、本業の弁護士活動を通じて、地域社会に貢献してゆきたいと考えておりますので、拝野弁護士共々、よろしくお願い申し上げます。

 

ただいま戻りました そして よろしくお願いします

弁護士 拝野厚志

1. ただいま戻りました
1年4ケ月の司法修習を無事終了し、事務員として長年勤めておりました白浜法律事務所に弁護士として戻っていまいりました。これからは弁護士として皆様のご期待にこたえられるよう頑張ります。よろしくお願いいたします。

2. プロフィール
地元の高校卒業と同時に京都へ参りました。大学時代に裁判傍聴する機会があり、世の中の困っている人達の力になれないかと思い弁護士を目指すことにしました。その後、何年かかけて大学を卒業した後(司法試験受験のために留年していたためで遊びすぎて卒業できなかったのではありませんので念のため)、所長である白浜先生のもとで事務員をしながら勉強し、平成17年にようやく司法試験に合格しました。事務員時代には多くの方から励ましてもらったり、また、仕事を通じて様々なことを学ばせていただきました。これらが合格の大きな原動力になりました。お世話になった方々に改めてこの場を借りてお礼を申し上げます。合格までに積ませていただいた経験をこれからの仕事に生かしていくことが一番のご恩返しであると思っております。
これまで多くの紆余曲折を経たせいか、様々な分野に多くの友人におり、これが私の一番の宝となっております。

3. これからの抱負
一日も早く皆様に信頼して相談していただけるようになることが一番の目標です。
ご相談に回答させていただくにあたっては、メリットだけでなくデメリットも示させていただいた上で、なぜその選択肢が解決にふさわしいのかということを分かりやすく説明させていただきたいと思っております。
また、事務員時代には、依頼者の方から、弁護士には聞きにくいことや話にくいことをお話いただくこともよくありました。その経験を生かして依頼者の方にきめ細かな対応をさせていただきたいと思っております。

4. よろしくお願いします。
一日でも早く皆様の信頼を得られるように研鑽と精進に励んでいく所存であります。ご指導とご鞭撻のほどをよろしくお願い申し上げます。

 

光市母子殺害事件をめぐる報道

弁護士 遠山大輔

事件それ自体、裁判の経過、そして関係者の発言等と様々な面で世間の注目を集めている表題の事件ですが、今回は、マスメディアの問題について触れたいと思います。
私は、刑事弁護人の端くれですので、依頼者の皆さんから話題の事件について聞かれても、「記録を見ない限りは事件は分からない。」と答えます。刑事弁護人としての経験上、事件記録をみないと、軽々なことは言えないことが多いからです。表題の事件についても、同様にしていたつもりです。それでも、多くの報道に触れる中で、私の脳裏に片寄った事件のイメージが作られていたことを知りました。
このことを実感したのは、とある研究会で弁護団の説明を直接に聞いたときです。加害少年の父がDV傾向にあり、少年の母と少年に暴力を振るっていたこと、その母は少年が12歳の時に自殺したこと、家庭裁判所の調査では、少年は精神発達面では4、5歳程度という報告がなされていることなど、これまで報道されてこなかった沢山の事実があることを知りました。
もちろん、だからといって、2人の命を奪うという少年の犯行の重大性が変わるわけではありません。ご遺族が慰謝されるわけでもありません。 ですが、私には報道の中立性について大きな疑問が残りました。「悪いやつなんだからどんなに悪く報道してもいいんだ」という意識が報道側の責任者にないことを祈ります。

 

 

芸は身を助ける(?)

弁護士 豊福誠二

私は、節電器被害対策弁護団に在籍しております。
この事件は、取り付ければたちまち電気代が下がるという「節電器」を、顧客にクレジット契約等を結ばせて高値で売りつけた行為が詐欺等にあたるとして、契約の取消を求めている事件であり、全国に多数の被害者がおられ、弁護団が組まれている事件です。私はこの弁護団において、電気に詳しいという理由で、「検証」を担当しています。
先日、京都地裁で、その検証期日が実施されました。法廷に「節電器」の本体、スライダック、オシロスコープ等を持ち込み、京大工学部の院生2人を助手に、この「節電器」なるものの正体がただの単巻トランスであることや、電圧を下げれば節電になるというわけではなく、家電製品は定格の電圧付近で使用するのが最も効率が良いこと等を、裁判官にわかるように、実演して行きました。最近、理科の実験をしてみせるショーがありますが、あんな感じです。裁判官は当然電気の専門家ではありませんので、どのような方にもわかってもらえるように、やさしく表現するのに苦心しました(それにしても裁判所のブレーカーを飛ばさなくて良かった)。
この検証が功を奏したのか、被告のうちいくつかのクレジット会社とは、ほぼ原告の希望に沿った和解が進んできております。私は工学部出身という、いわば門外漢の弁護士ですが、芸が身を助けたと言える例かもしれません。

 

 

支部事件について

弁護士 山口智

裁判所には支部というものがあります。本庁は、全て都道府県庁の所在都市にあります。支部の裁判所というのは、それ以外の地方裁判所のことです。私は仕事の関係で、そのような支部の裁判所に行くことが多いのですが、支部の裁判所に行った際、必ず感じることは、その裁判所の裁判官と相手方代理人弁護士との親しさです。先日、ある支部の裁判所に行った際、期日が終わり、次回期日の日程調整をしている際、裁判官から相手方の先生に対して「ところで例のあの事件は調査は終わりましたか?」「そうですねー。結構難航してるんですよ。」などという会話がなされており、私は全く蚊帳の外という感じになってしまいました。
支部の裁判所に事件がかかる時は、大抵、相手方代理人の弁護士がその支部裁判所の近くに事務所を構えておりますし、また、支部の裁判所には裁判官は通常1人しかおりませんので、その裁判所の裁判官と親しくなるのは当然かも知れませんが、当該裁判以外のことが相手方のいないところで気軽に話されていることをみると、多少不安になることがあります。
どの裁判所に裁判を起こすかは事件の性質によって異なりますが、できるだけ、こちらのホームグランド(京都地方裁判所)で裁判を起こした方が良いのかなと思うと共に、京都地方裁判所で信頼してもらえる弁護士にならないといけないなということを肝に銘じるようにしております。

2007/01/01

2007 新春号 vol.2 白浜法律事務所報

新年を迎えるにあたり、事務所報第2号をお届けします。スタッフの増員、充実は当事務所の課題の一つでしたが、先日ご報告しましたとおり、昨年10月から当事務所に山口智弁護士を迎え、弁護士4人体制で日々業務を行っております。事務局スタッフも6名となり、総勢10名で各案件への対応にあたる毎日です。本年夏には5人目の弁護士を迎え、当事務所のさらなる発展への第1歩の年にしたいと考えております。本年もどうぞよろしくお願いします。

 

弁護士生活20年の節目にあたって

弁護士 白浜徹朗

なぜかしら、まだまだ若造と言われることの多い私ですが、今年で弁護士になって20年ということとなりました。弁護士になるためには司法試験に合格した上で、司法研修を受けねばなりませんが、私は、その司法研修所の第39期生です。今年、当事務所に入所した山口弁護士が第59期生ですから、20年前の自分をみているような気がします。この20年で、弁護士を取り巻く環境は大きく変わりましたが、特に、この数年の変化には激しいものがあります。まず、弁護士になる人数が4倍ほどに増えました。弁護士になるための事務所訪問は、シューカツと呼ばれるようになるなど、様変わりしているようです。次に、弁護士の法人も認められるようになり、大きな事務所も増えてきました。破産や再建の手続が大きく変わり、大型倒産やM&Aなど、弁護士の業務も大きく変化し、企業活動に近いものとなりつつあります。その一方で、司法書士さんにも簡易裁判所の代理権が与えられるなど、弁護士と実質的に競合する職種が増えました。この他にも、弁護士をめぐる変化には数え切れないほどのものがあります。20年前には、こんな変化は考えられませんでしたが、当事務所が、何とか今に至っているのは、ひとえに依頼者の方々のご厚情の賜と思います。また、これまで私を支えてくれたスタッフの努力にも感謝せねばなりません。当事務所は、今後も、時代の変化に対応した変革を続けたいと考えております。今回、この改革の一環として、事務所報第2号を作りました。ご笑覧いただければ幸いです。今後とも、よろしくご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

 

 

「貯蓄から投資」にご注意

弁護士 遠山大輔

「貯蓄から投資へ」という言葉がマスメディアで繰り返し取り上げられ、世の中に定着してきそうな状況です。資産運用のあり方として、投資をお考えの方もおられると思います。大量の労働者が定年退職する「2007年問題」も間近ですし、老後のためにと退職金の運用を検討しておられる方も少なくないのではないでしょうか。そこで、ちょっと気をつけていただきたいことがあります。一口に投資といっても、商品(サービス)には様々なものがあります。株式にも現物取引、信用取引がありますし、国債、社債、商品ファンド、商品先物取引、抵当証券、金取引、デリバティブと枚挙にいとまがありません。これらに加えて、巷には、最近流行の未公開株式や、元本保証で高利回りを謳うものなど、正体不明の商品が溢れています。横文字商品の委託販売を装って、実体としてはネズミ講、マルチという場合も少なくありません。商品を選ぶ時点で、すでにだまされている場合もあるのです。私は、全国先物取引被害研究会に参加していることもあり、様々な金融商品の被害実態に触れる機会がありますが、まずは商品自体を疑うことが大切です。商品自体は違法なものではないとしても、リスク判断についての危険もあります。取引を勧誘する営業マンは、商品を勧めると同時に、リスクについてもある程度は説明してくれるでしょう(なかには全くリスクを説明しない場合もあるかもしれませんが。)。ですが、簡単にはリスクについて分かった気にならないでください。真っ暗な井戸をのぞき込んで、井戸の深さが分かるでしょうか。その営業マンは、井戸の奥の方を照らして説明してくれるでしょうか。一般的にそのようなことは期待できません。あとになって、「こんな話は聞いていない。」と思っても、取り返しがつかないかもしれないのです。汗と涙の結晶である退職金を失うことになりかねません。訴訟でお金が返ってくればまだ幸いですが、それでも時間とコストはかかります。もしお悩みがあれば、お気軽にご相談下さい。転ばぬ先の杖になれると思います。

 

 

タクシー

弁護士 豊福誠二

机の前にずらっと並んでいる事件ファイルを眺めてみると、どれをとっても深刻な紛争ばかりで、他愛もない話というのは一つもありません。深刻だからこそ一所懸命考えようという気になるのですが、その反動からか、他愛のない話は大好きです。タクシーに乗る楽しみは、もちろん、運転手さんとの会話です。他愛もない話ですいません。いろんな方がおられましたが、今でも覚えているのはMタクシーのFさん。運転席の付近に、いわくありげなお守り札や、魔よけの記号(だと思う)のシールが、耳なし芳一のようにべたべたと貼ってありました。変わっているので、「これはなんですか」と聞いたところ、待っていたとばかり霊界の話が始まりました。「私は霊感がすごく強いんです。私、五条のトンネルを通るときには、いっつもふーっと右にハンドル取られるんです。あそこ通るときには、かならずハンドル強くにぎって、呪文いうて…」話が止まらなくなりました。家の前に着いても話は終わらず、結局40分ほど霊界と死者の話を聞かせてもらいました。もちろんメーターは倒して。「ぜんぜんかまへんのです」とおっしゃってましたが、あの方、ちゃんと儲かっておられるんだろうか、今でも心配です。ある中型タクシーに乗ったとき、中型の運転手は、車両が黒いため、結婚式や葬式にも呼ばれる場合があり、粗相をしないように、特別の訓練をせねばいかんのだというお話をうかがいました。地域によっては、結婚式に向かうタクシーが通ってはいけない橋、お葬式のときに通ってはいけない道や言ってはいけない言葉などがあるそうです。狭い道で離合するときも、結婚式のタクシーは絶対にバックしてはだめで、お金を渡して対向車にバックしてもらうのだとか。これは勉強になりました。事務所でこの話を白浜先生にしたところ、「結婚式に『一条戻り橋』なんかもってのほかやろな」。なるほど、そのとおり。笑福亭笑瓶の無名時代を知っているという運転手さんの車に乗り合わせたおかげで、彼の無名時代のエピソードを知ることができましたが、人に話してもあんまりうらやましがられませんでした。ちょっと残念。

 

 

1ヶ月目にして思うこと

弁護士 山口智

弁護士になって約1ヶ月が経ちます。弁護士になって感動することは、書面など、自分の名前において作成出来るという点です。修習生時代も、訴状等の作成をしていましたが、それはあくまでも指導担当の先生の名前で作成されるものであって、自分は補助でしかありませんでした。自分の名前で書面等を作成するということは、一方において、自分が全ての責任を負わなければならないということでして、そのことは常に念頭に置いておきたいです。この1ヶ月間で、感じることは、依頼者の方に納得していただくということは難しいという点です。先日、米国の訴訟におけるディスカバリー手続きに関わる機会がありました。守秘義務があるため、訴訟の内容については書くことができませんが、ディスカバリー手続きとは、簡単に言えば、証拠開示制度のことです。米国の訴訟では、原則として、手持ちの証拠は全て相手に開示しなければなりません。開示対象は、正式な文書のファイルだけに限定されず、訴訟と関連性のあるEメールや会議の非公式なメモなどにまで及ぶことになります。日本でもこのディスカバリー手続きのような制度の採用が議論されることがありますが、仮に、日本でこの制度が採用された場合、この制度によれば事実が明らかになるので、依頼者の方に納得して頂くことが多少は容易になるような気がします。とはいえ、人というのは複雑で、事実をそのまま伝えても納得されない方もいます。そのような依頼者の方に対して事実を正確に伝え、かつ、それを納得して頂けることこそ弁護士の力量だと思います。事実を単に明らかにし、伝えるだけでは弁護士の役割を完全に果たしたことにはならないでしょう。先日、受任していた刑事事件の依頼者の方に対して、事件の内容についてどのように事実を話せばよいのか分からず、困惑してしまったことがあります。客観的事実をそのまま伝えても納得していただけないと思ったからです。こちら側に不利な事実であってもその事実を依頼者の方に納得していただける弁護士が依頼者の方から信頼される弁護士だと思います。修習中には色々な弁護士の先生と接してきましたが、仮に不利な事実であっても、依頼者の方に対し不利であることを伝え、納得していただく弁護士の先生は信頼感がありました。事実を依頼者の方に納得いくように伝え、信頼される弁護士になりたいと思います。