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弁護士法人 白浜法律事務所

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白浜の思いつき
白浜の思いつき

2010/01/01

2010 初春号 vol.6 白浜法律事務所報

これまで弁護士事務所は、裁判所のそばで開業し、ご相談には裁判所近くの事務所まで足を運んでいただくことが一般的でした。結果的に、弁護士は市民のみなさんから縁遠い存在となり、弁護士の過疎偏在という問題にもつながっていたように思います。
特に乙訓地区は、約15万人もの人口を抱える地域でありながら、弁護士会の相談センターもなく、弁護士への相談は、京都市内または大阪市内まで出向いていただくほかない状況が続いておりました。
私たちは、このような状況を少しでも改善し、弁護士がもっと身近な存在になればと考え、長岡京の地に支所を開設することといたしました。
これからも市民のみなさんのよき相談者として、問題解決のお手伝いをさせていただきます。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 

新しいスタートです

弁護士 白浜徹朗

昨年は、長岡京に支所を開設することができました。私は、弁護士が裁判所のそばに事務所を構えてお客様には事務所まで来てもらって仕事をするというスタイルには昔から疑問を持っておりましたので、長年の夢がようやく実現できたという感じです。長岡京事務所は、昨年12月15日に開所式をさせていただき、翌16日から執務を開始しています。乙訓地区は、人口約15万人を抱える地域ですから、この地域の皆様が弁護士という職業に対して不快感を抱かれるようなことがないよう慎重な対応が求められるとの自覚の下に、長岡京事務所では本所にも増してより丁寧な仕事をしてゆこうと考えております。
同事務所に所長である私と一緒に赴任してもらう青野理俊(まさとし)弁護士は、昨年12月18日に弁護士になったばかりの弱冠26歳の新進気鋭の弁護士です。青野弁護士は、私が育成に関わることになる9人目の弁護士ということになりました。同弁護士は、京大で居合道部の主将を務めていたということで、登録初日から仕事に取りかかるなど、職務に真剣に取り組んでもらっています。長岡京事務所同様、青野弁護士にも、暖かいご指導ご鞭撻を賜りたくお願い申し上げます。

 

ごあいさつ

弁護士 青野 理俊

初めまして。新人弁護士の青野と申します。
私は、この度、弁護士法人白浜法律事務所の長岡京事務所におきまして、弁護士としてのスタートを切ることになりました。皆様どうぞ宜しくお願い致します。
私は、神戸で生まれ育ちましたが、京都大学法学部に入学とともに京都に移り住み、ロースクールも京都大学、司法修習も京都配属でしたので、26歳となる現在、かれこれ8年間京都に住み続けております。そのため京都は第2の故郷となっておりまして、是非縁のある京都を支える弁護士になりたいと思い、京都で弁護士登録を致しました。
私の特技は、大学入学してから今も続けている居合道です。居合道とは、袴と刀を身につけて演武をする武道です。私の修練する流派「伯耆流」の始祖片山伯耆守藤原久安は、「武は矛を止めるのではなく、矛が止むのである」を武道の理念としました。これは、武道の本質は戦いに打ち勝つことにあるのではなく、戦いを知ることで戦わずに済ませることにあるという、平和への願いです。この「矛止」の精神は、紛争を解決するための知識や経験を積み重ねることで将来の紛争を未然に防止するという、弁護士の果たすべき役割に通じると考えています。
居合道から学んだ「矛止」の精神をもって、お客様のサポートに誠心誠意尽力して参りたいと思っております。もとより未熟者でありますが、宜しく御指導、御鞭撻の程、お願い申し上げます。

 

人を裁く資格とは?

弁護士 遠山大輔

ついに裁判員裁判が始まりました。京都でも昨年10月に1件、12月に2件が実施されています。私も既に1件、国選弁護人として担当することが決まりました。
さて、マスメディアでは、裁判員となった市民の感想のほかに、裁判員が証人や被告人にどんな質問をしたかが詳しく報道されています。裁判員の発言の中には、質問ではなく、意見を述べたり、被告人を諭すものもあるようです。判決後に「声明」が発表されたケースもありました。このような裁判員の「発言」はどのような意味を持っているのでしょうか。
私は、人を裁く人は、裁かれる人によって「裁くことを許される」必要があると考えています。裁かれる人が「あなたに裁かれるなら本望だ」と感じなければ、その人に対する真の意味での裁きにはならないのです。裁判員の方々は、事件と被告人とを真剣に理解しようと努力された上で、意識するかどうかは別として、「裁くことを許されたい」と感じ、言葉をかけるかたちで、被告人に自分に対する理解を求めているのではないでしょうか。「声明」についても、事件と被告人とをよく理解した立場から、例えば被告人と社会とのつながりに一役買うかたちで、あるいは社会に問題提起するかたちで、事後的に「裁く資格」を確認しようとしている、私にはそう感じられます。もし、裁判員を体験されたら、是非感想をお聞かせ下さい。
裁判員裁判に関連してご報告しますが、共著「入門法廷戦略-戦略的法廷プレゼンテーションの理論と技術」を現代人文社から出版しました。刑事弁護活動一般の発展に少しでも寄与できればと願っています。

 

 

将来の備え

弁護士 拝野厚志

1.私は現在、京都弁護士会の高齢者障害者センター運営委員会のうちの財産管理部会に所属しています。同部会では高齢者の方の財産をめぐる法的問題や処理のあり方の検討等をしております。そのせいか、遺言や相続をめぐるトラブル、高齢者の方の財産管理の相談をよくお受けします。

2.遺言によって、お持ちの財産をどのように分配するかを予め明確にしておくことは後々のトラブルを防ぐことになります。また、財産管理についても、将来、財産を十分管理できなくなる場合に備えて、信頼できる方に将来の財産管理をお願いしておかれればご自身にとっても周りの方にとっても安心です。当事務所でも任意後見契約をはじめ、司法書士や税理士とも連携をとりながら、事務所全体できめ細かく財産管理のサポートをさせていただいておりますので、お気軽にご相談下さい。

3.今年は、高齢者虐待アドバイザー研修を受講することになっており、また、白浜所長とともに京都弁護士会の遺言相談センターの相談担当として登録させていただいております。今年も高齢者の方の法的サポートに力をいれていきたいと思っております。

 

弁護士の情報収集手段

弁護士 里内 友貴子(旧姓 細川)

早いもので、弁護士になって1年が経ちました。着任早々から、様々な事件を担当させていただきましたが、その中で特に思うことは、情報収集の難しさです。情報(証拠)が手元にないために不利な立場にたたされることは、本来あってはならないと思うのですが、「あの資料があればなぁ」と悔しく思うことが少なからずありました。
弁護士が証拠を集める手段のひとつに弁護士会照会制度があります。これは、弁護士会を通じた照会に対して回答を求めることで資料を収集する制度で、人権の擁護と社会正義の実現を使命とする弁護士の職務の公共的性格に鑑みて、弁護士法によって認められています。裁判所による照会である調査嘱託や検察官による捜査関係事項照会と同趣旨の制度であり、公的機関である弁護士会から照会を受けた照会先は回答義務を負っています。しかし、照会先によっては、この制度を誤解され、回答を拒絶されることがあります。私は、京都弁護士会「弁護士法による照会」委員会に所属し、回答を拒絶したところへ、京都弁護士会として抗議申入を行う活動に参加しています。この活動によって、多くのところが回答に応じてきますので、弁護士会照会制度の実効性は高いものです。今後も、この活動を通じて、私達弁護士に対する皆様の期待に応えるべく、がんばろうと思っています。
ただ、もとより、証拠等資料をお持ちであれば、法的問題の解決が一層正確かつ円滑にすすむことは言うまでもありません。大事な取引等については、念のため、関係資料一式を保管されると共に、ご相談の際には是非それら全てをお持ちいただければと存じます。

 

 

支店の開設

事務長 田村 彰吾

このたび当所は、京都府長岡京市に一般の会社の支店にあたる従たる事務所を開設しました。法律事務所が支店というと違和感を感じられる方もおありかと思いますが、弁護士法の改正で法人化した弁護士事務所は支所を出すことが出来ることとなり、平成20年12月から法人化していた当所も、支所を開設する運びとなりました。
かねてより所長白浜は「身近な法律サービスの提供」を目指しており、また弁護士過疎偏在問題対策活動も積極的に行っていたところでしたので、今回の支所開設でまた一歩理想に近づいたものと自負しております。
支所設置にあたっては、たくさんの方のお世話になりました。中でも、支所開設で皆様にご不便をおかけすることがないよう主事務所との連携をとれるかについては、多くの方のお知恵とお力をお借りしました。もちろん、これからも改善に努めますが、現時点でも主従事務所の連携は業務に支障がないレベルまで整ったと確信しております。
当面の間は、支所に所長白浜も常駐し、地域密着の法律サービスの実現に邁進していきますが、本所では、私が事務長として、これまでのお客様と各弁護士とのスムースな橋渡しができるようにお手伝いをさせていただこうと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

2009/09/01

弁護士 山口智は事務所を移転しました。

弁護士 山口智は事務所を移転しました。

2009/01/01

2008-2009 霜寒号 vol.5 白浜法律事務所報

あちこちのツリーが目を楽しませてくれる季節になりました。この度、新しい弁護士が誕生しました。当事務所唯一の女性弁護士です。新しい視点で皆様のニーズにお応えできるものと思います。ご期待下さい。なお、本号をもって年始のご挨拶に代えさせていただきます。良いお年をお迎え下さい。

 

細川弁護士をご紹介致します

弁護士 白浜徹朗

我が事務所に新しく加わってくれた細川友貴子弁護士をご紹介致します。
細川弁護士は、大阪大学から京都大学のロースクールに入学し、本年12月に司法修習を終えたばかりの新進気鋭の弁護士です。
我々弁護士は、視点が偏ってしまうと、事件を正しく把握できなくなることがあります。この点、弁護士が男ばかりとなっていた我が事務所は、女性からの視点が欠けていたところがありましたし、女性の弁護士を求めるお客様のニーズに十分に応えることができていなかったところもございます。
細川弁護士は、この点をカバーするに余りある逸材と思っておりますし、細川弁護士の加入によって、我が事務所としても男女共同参画社会の実現に少しだけ寄与したことにもなります。
なお、細川弁護士は、誰でも話しやすい気さくな雰囲気の持ち主ですし、フットワークも軽く活動的で、短期間の司法修習の中でも色々なイベントなどに顔をだし、弁護士や裁判官の中に広い交友関係を築いたという人物です。将来我が事務所を担ってくれる人材と見込んでおりますので、ご期待いただきたく存じます。

弁護士会の法律相談事業で勉強させていただいております

「所長の近況」
〜今年はファーストコンタクトを大事にしたいと思います〜
次に、所長である私の近況についてご報告させていただきます。私は、弁護士会の中で色々な仕事をさせてもらっておりますが、今は、主に法律相談センターというところの運営に関わる業務を担当しています。
法律相談は、弁護士と市民が初めて接する機会(ファーストコンタクト)ですから、弁護士の法律相談に問題があると、弁護士という職業への不信感につながったり、弁護士に頼むことができなくて泣き寝入りのようなことになってしまうような人がでたりしてしまいます。ですから、法律相談は、弁護士にとって最も大事な仕事です。このため、弁護士会では、相談の質の向上に努力しておりまして、どんな小さなことでもいいので、相談に苦情などがあればお申し出いただくように広報しております。この関係で、この2年ほどは、ほぼ毎日のように弁護士会の1階の相談事務室を訪問して、問題が生じていないか確認して、何か問題があれば事務スタッフに対応を指示することが日課となっておりました。幸いなことに、苦情は前よりは減ってきておりますので、ほっとしているような次第です。
個人的にも、弁護士会の相談事業に関わることで、法律相談ではどんなことが問題となるのか、市民の弁護士に対するニーズはどんなところにあるのかということを痛感することもあり、大いに勉強させてもらいました。私としては、この経験で得たことを、事務所の中でも生かすようにしてゆこうと思っています。
今年からは弁護士5人体制となり、所長たる私としては今まで以上に事務所全体に目を行き届かせねばならないようになります。我が事務所でご相談いただいたことで、お客様がトラブルから立ち直るきっかけとなったり、事務所から帰られるときにほっと安心できたなと思っていただけるような事務所となるように、所員一同努力する所存ですので、今後とも、よろしくお願い申し上げます。

 

 

ご挨拶

弁護士 細川友貴子

私、細川友貴子は、この度、白浜法律事務所において弁護士としての第一歩を踏み出すことになりました。どうぞ宜しくお願い申し上げます。
私は、大阪で生まれ育ち、大阪大学法学部から京都大学法科大学院を経て2008年に大阪での実務修習を修了し、京都に着任致しました。
好きなことは、食べ歩きで、これからは、京都のおいしいものをあちこち探索していく中で、京都の町になじんでいけたらと思っています。
私は、大阪大学在学中無料法律相談活動に参加していたときに、相談者に喜ばれた体験が大変印象に残り、弁護士を一生の仕事にしたいと思うようになりました。法律相談活動は、京都大学法科大学院在学中も続けており、弁護士になりたいと思う私のモチベーションとなっておりました。無料法律相談や実務修習を通じて、色々な法的問題がいかに一人一人の人生に大きく関わる問題であるかという重みも感じました。私は、弁護士になるにあたって、このことを常に心に留め置き、一つ一つの担当事件に丁寧に向き合って、全力で取り組もうと思っています。また、弁護士として、独善に陥ることなく、あくまで事件は相談にこられる方のものであるということを忘れないようにしながら、お客様の事件の解決をサポートしていきたいと思います。
ところで、私は、当事務所では唯一の法科大学院出身者であると共に、唯一の女性弁護士ということになります。事務所内で先輩弁護士とは異なった視点を投げかけて、事務所内の議論の活性に貢献できたらと思っております。
もとより未熟ではございますが、皆様のご期待に応えることができますよう、誠実に職務に励み努力を重ねる所存です。宜しく御指導、御鞭撻の程を何卒お願い申し上げます。

 

 

サッカーが大好きです

弁護士 遠山大輔

私は、サッカーを観戦するのもプレーするのも大好きです。サッカーの魅力は、個人対個人、組織対組織、そして個人対組織という多様なせめぎ合いが同時に存在することにあると思います。個人が、あるいは組織として相手の予測を上回ったとき、素晴らしいプレーが生まれます。下手なりに、そんなプレーに関われたときには、言い様のない嬉しさを感じるものですし、一流選手のプレーは見るだけで感動します。
毎年11月、弁護士、裁判官、検察官など法曹関係者のサッカー好きが都道府県別にチームを作り、全国大会を開催しています。毎年参加チームが増えており、今年は16チームがエントリーしました。弁護士人口の増加により、若くて上手な人も増え、元Jリーガーという弁護士も参加しています。私は修習生の頃から京都チームのメンバーとして参加させてもらっています(ヤングチームではなく、ベテランチーム)が、慢性的な運動不足で年々運動量は落ち、やめられないタバコのせいですぐに息が上がるといった状況で、残された選手生命はあまりないようです。ただ、今年は8月から減量をして大会に臨みましたので、昨年よりは走ることができました。
京都チームは、キャプテンの統率力の下、チームの和を大切にするのをモットーとしており、いつも楽しくプレーさせてもらっています。法曹関係者の大会とはいえ、時には激しくぶつかる場面もある中で、声を掛け合い、励まし合いながらパスをつなぐのは、非常に心地よいものです。ベテランチームの成績は、12位と振るいませんでしたが、来年に向けてさらに減量を頑張ろうと決意しました。タバコは・・・。
当事務所も、事務局を併せれば10名を超える規模となっています。個人の能力とチームワークとを合わせて、常にベストを尽くしていきたいと思います。

 

 

遺言の問題について取り組んでいます!

弁護士 山口智

先日、私は、京都市の法律相談の受付担当者の方に対しまして遺言の講義を行いました。私自身も、そのような機会を利用して遺言についての勉強をさせてもらいましたが、その過程で、遺言の作成について思うに至ったことを述べようと思います。
遺言の種類には色々ありますが、弁護士としてよく扱うのが公正証書遺言と呼ばれる遺言です。どの遺言についてもその作成方法が法律上厳格に定められておりまして、これに反した場合、原則としてその遺言は無効となりますが、公正証書遺言の場合、公証人という法律の専門家の前で作成するものなので、通常、遺言が無効となることはありません。その点で、確実に遺言を残そうと思う方は公正証書遺言を作成することが多いようです。
一般の方の意見を聞きますと、公正証書遺言の作成に関しては、弁護士は関与できず、相談しても無駄だとお考えの方が案外多いようですが、そのようなことはありません。むしろ、弁護士に相談すれば、信託銀行等ではあまり考えられていない、今後発生する可能性のある紛争を予防するための遺言作成のアドバイスも行えますし、遺言作成の場にも立ち会うこともできます。また、遺言を作成しても、法律上、遺言の内容通りに財産を受け渡すことができない場合もあります(遺留減殺請求等)ので、弁護士による内容のチェックが必要です。
弁護士会では、遺言の相談を簡単にできるようにする改革が進められています(刑事事件の当番弁護士のような制度)。私は、その委員会にも所属しておりまして、今後も遺言作成への弁護士の関与の拡充を図る弁護士会内の体制作りが進むものと思われますが、以上述べました観点から考えましても、公正証書遺言を含め、遺言の作成に弁護士が関与していくことの必要性を私自身も感じております。

 

 

裁判員裁判に向けて準備しています

弁護士 拝野厚志

1.裁判員裁判のカウントダウン
平成21年5月21日から裁判員裁判が始まります。いよいよ待ったなしとなって、各弁護士は本番さながらの模擬裁判や様々な研修に参加するなど、準備に余念が ないところです。私も京都弁護士会主催の研修を受講してきました。

2.書面から話言葉へ
裁判員裁判の一番のポイントは、主張すなわち弁護士として言うべきことを、口頭すなわちしゃべり言葉で裁判員に伝えなければならないということです。これまでの日本の裁判は書面により法律の専門家である裁判官に向かって正確に主張を伝えるものでした。しかし、裁判員裁判では法律の素人である裁判員に法廷で話言葉で弁護士の言い分を伝えなければなりません。このため、研修では、紙を読み上げることは禁止され、何も見ずにやるようにとの指導を受けました。ただし、外国の法廷ものの映画に出てくる弁護士のようにあまりにおおげさに話すのも時としてウソっぽく聞こえるというおそれもあるようです。結局は各弁護士の人となりが反映するといったところでしょうか。

3.裁判員裁判に向けて
若かりし頃、「評決」のポール・ニューマン演じる弁護士にあこがれたものです。私が、ポール・ニューマンのような弁護士を演じることができるかどうかは別として、裁判員裁判が国民の期待に応えるものになるかどうかは、弁護士を含めた法曹三者の今後の運営にかかっています。それぞれに意見はあるにせよ、せっかく導入された制度ですから、よいところを活かすような運用を創意工夫して、積極的に提言していこうと思っています。

 

時間を作る仕事

事務長 田村 彰吾

弁護士事務所の事務局という仕事は、世間一般にはあまり知られていない職業だと思います。弁護士の仕事は、映画や小説又はニュースなどで目にされる機会も多いと思うのですが、事務局は?と言われますと、なかなかイメージしにくいというのがほとんどの方ではないかなと思います。
はっきり言いますと、事務局はただ弁護士の補助を行うだけなのです。その弁護士はと言うと、実に様々なことに時間を割いています。本来、弁護士はお客様と綿密に打合せをし、聞き取った内容を書面にしたり、相手方と交渉したりすることが仕事なのですが、弁護士会の会務など公的活動に加え、普段作業に使っているパソコンの設定や営業に来られる業者さんの応対、果ては事務員の個人的な悩み相談にまで時間を割いているというのが実態です。事務局はこういった「弁護士の時間」のうち可能な部分を肩代わりしているのです。つまり表題とおり、「弁護士の時間を作る」ことが事務局の仕事なのです。
もちろん事務局も勤務と研鑽を重ねれば、裁判事務に詳しくなり、実務的な内容を裁判所や執行官と打ち合わせたりする機会も出てきますし、時には「こういう方針の方が良いのではないですか」などと提案することもありますが、基本は補助業務なわけです。
船頭多くして船山に上る、などと言いますが、弁護士に相談して、船が山に上るようではいけません。お客様のためより効率的に目的地へ向かう必要があるのです。ですから事務局は影の存在でなければなりません。そのため、私たち事務局の仕事は世間一般にはあまり知られない職業となっているのかも知れませんが、私たちは、事務局として、弁護士を支えることで、お客様へのお手伝いができればと思って、日々研鑽に務めております。

2008/01/01

2008 春号 vol.4 白浜法律事務所報

陽春のご挨拶
うららかな季節を迎え、新しい年度の始まりに際し、事務所報第4号をお届けいたします。
今年は、当白浜法律事務所が丸太町に移って5年となりました。
これからも、皆様に親しみやすく、頼りがいのある法律事務所を目指して邁進して参ります。

 

ちりとてちん

弁護士 白浜徹朗

ちりとてちんは、落語のお題の一つで、NHKの朝ドラのタイトルです。このドラマでは、落語の一門の師弟関係が描かれていますが、弁護士の世界でも、一門と言われる師匠と弟子の関係のようなところがありまして、証人尋問技術とか、法律相談のつぼ、交渉に臨むコツや注意点など、仕事の中で厳しくたたき込まれて育てられるものなのです。
私も、勤務弁護士という弟子と対話をしながら、事件の見極めについて議論し、起案の方向性を示した上で、できあがってきた起案を添削したり、勤務弁護士の相談や電話での応対にも口をはさみながら、仕事をしています。1人でやっているときよりも、自信を持って文章を書けるので、私としても助かっています。また、勤務弁護士がじっくり事件に取り組むことで、弁護士が1人で時間に追われて仕事をしているよりも、丁寧な仕事にもなっているようにも思っています。
でも、勤務弁護士からすれば、結構大変な毎日だろうと思います。所長から、「あれはどこまで進んだのか、起案はできたか。書面をみせろ。」と厳しく催促を受けたかと思えば、自分で書面を打っている途中でも、「この法律論をどう思う。」などと聞かれたりするわけで、気を抜く暇はありません。師匠たる私としては、早めに弟子に起案をしてもらって、その起案を自分でもチェックをして、議論をして、いい書面に作り上げたいと思っているわけで、早く書面をみたくなるわけです。書面は、弁護士が職人として作り上げた作品のようなものですし、原稿が早くできると、お客様にも検討してもらう時間ができます。ですから、弁護士として早めに書面を書き上げる癖をつけるように指導することは、師匠として大切なことだと思っています。私自身がまだまだ時間ぎりぎりになることが多いので、そんな癖から弟子には脱却してもらいたいという願望もあります。勤務弁護士に色々と法律上の議論をふっかけるのは、思いこみで間違ってしまうようなことにならないように自分で考える癖をつけてもらおうというねらいもあります。師匠としては、自分の考えにミスがないか確認しながら仕事をしつつ、勤務弁護士にも常に考える癖をつけてもらうとともに、最新の法的知識を勤務弁護士から吸収するわけです。もちろん、亀の甲より年の功という言葉があるように、経験を伝えることも大事ですから、先輩弁護士としての経験談もことある毎に伝えるようにしています。
ちなみに、ちりとてちんでは、落語家が他の一門のお弟子さんに稽古をつけてもらうことがあるということが紹介されていました。弁護士の世界でも、他の弁護士と一緒に仕事をして鍛えてもらうということがあります。共同受任事件とか、集団訴訟とか弁護団事件というものです。我が白浜事務所では、これらの集団事件には、積極的に参加すべしということにしています。そうしないと、最新の弁護技術や法知識が身につかないからです。所長である私自らも参加することもありますが、このような活動を通じて、事務所全体のスキルアップを図っておりますので、ご理解下さい。
ドラマのちりとてちんでは、5人の弟子のそれぞれに個性があり、その個性をうまく伸ばしていく師弟関係が描かれていました。私も、努力はしていますが、ドラマのように人をうまく育てることはできていないかも知れません。このドラマの中で、「師匠が大事に思っていることは、お弟子さんの中でりっぱに育っていますよ。」という言葉に感じるところがありました。私も、将来、そんなことを言われるように、後輩を育ててゆきたいと思っております。
それでは、おあとがよろしいようで。

 

 

韓国に行ってきました!

弁護士 遠山大輔

1月末、日弁連視察団のメンバーとして、韓国(ソウル)を訪問しました。4日間の日程で、地方裁判所、検察庁、警察署、弁護士会、保護観察所、保険会社(保釈金保証保険)を視察してきました。私にとっては初めての韓国訪問でした。食事がおいしく、キムチを毎食おかわりしました。九州出身の私としては、自分のルーツを感じずにはいられませんでした。
今回の視察の目的は、韓国で実践されている「取調べの可視化」「身柄不拘束の原則」「社会奉仕命令制度」についての調査でした。「取調べの可視化」とは、被疑者や参考人の取調べを録音・録画して、取調べの適正化を図り、かつ取調べの様子を裁判でも検証できるようにする制度です。実施状況についての詳しい説明を受け、検察・警察とも積極的に取り組んでいることが実感できました。「身柄不拘束の原則」は、可能な限り被告人の身柄を拘束しないで捜査、裁判を行おうというものです。勾留されたまま裁判を受ける被告人の数が、10年で3分の1になったと聞き、驚きました。保釈金についても、1%以下の手数料を支払えば保険会社と保証保険契約を締結できるそうです。保釈金を現実に納めないといけない日本の現状とは、雲泥の差があると感じました。「社会奉仕命令」というのは、執行猶予の条件として、老人施設や障害者施設などで作業をさせる制度です。実刑判決と執行猶予判決の中間的処分として、日本に導入しても有効だと思います。
韓国の法制は、日本のものを参考に作られながら、さらに良い方策を求めて積極的に法改正を進めていました。他の国を知ると、日本のことが再認識できます。大学生のころは、「比較法」の重要性を授業で説明されても分かりませんでしたが、今回の訪問では本当によく理解できました。まさに「他山の石」です。結局のところ、日本の刑事手続(あるいは人権感覚)は、韓国と比べると数十年置いて行かれていると感じました。「可視化」を始め、早急に改革を進める必要があると思います。
韓国では陪審裁判も試験導入されました。日本でも裁判員裁判が始まることですし、また近いうちに視察できればと思います。
この原稿を書いているのは2月ですが、3月にはシドニーに「可視化」「陪審裁判」の視察に行きます。韓国と同じように、いろんな法律家の知恵を持って帰りたいと思います。

 

 

発信者情報を開示する

弁護士 山 口智

「今日、○○小学校を爆破する。」「○○を殺す。」といった内容をインターネット上の掲示板へ書き込んで、逮捕されたといった事件を最近よく耳にすると思います。インターネット上の掲示板に返信(一般的に、「レス」と呼ばれている。)した人をどうやって特定するのかということについては意外に知られていませんので、私が得た知識をお教えします。
私人が発言者を特定しようとする場合、いくつかのハードルがあります。発言者を特定するには、まずはその掲示板の管理者に対してIPアドレス(番号のようなものですが、これは、インターネット上の住所のようなものです。)を開示させる必要があります。このIPアドレスを開示させるためには、これまでは、個人情報の関係で、裁判所の力を借りることが一般的でした。もっとも、裁判所によって、IPアドレスを開示せよといった判断が示された場合であっても、掲示板の管理者がこれに応じなければ、IPアドレスを知ることができません。
仮に、IPアドレスを開示してもらうことに成功したとします。その場合、そこから何が分かるかと言えば、経由プロバイダ名(インターネットに接続するためのサービスを提供する企業あるいは団体)が判明します。そうしたら、そのプロバイダに対してIPアドレスから、発言者の情報等を開示せよといった判断を示すように裁判所に申し立てなければなりません。この場合も、そのような判断が出たとしても、プロバイダがこれに応じなければ強制することは難しいです。さらに、ここでは、情報が消えてしまうと言う危険性も存在しております。プロバイダの種類にもよりますが、発言者の情報は、一般的に3ヶ月から半年程度で消えてしまうことが多いようです。そこで、プロバイダに対して、発言者の情報を消さないように、情報の保存を求める必要もあるのです。
このようにして、ようやく、発言者を特定することができるのです。これを警察等国家権力が行おうとすれば、令状の発付等によって、上記の過程をわずか数日のうちに行うことができるので、力の差が大きいことを実感します。いずれにしても、匿名性が売りの掲示板でも発言者は特定し得るのです。特定された場合、刑事処分や損害賠償請求等をされる可能性があります。ですから、匿名で発言していても、発言したことが突き止められることがあるわけですから、発言内容にはくれぐれもご注意下さい。

 

 

私道の自動車通行について

弁護士 拝野厚志

先日、不動産鑑定士と弁護士との合同の勉強会があり、僭越ながら、私が講師として「建築基準法上の道路と通行権」について発表させていただきました。この発表を通じて、私自身も勉強させていただき、2項道路や位置指定道路の関係については相当詳しくなりました。
道路指定され、自動車が通行可能な道路幅があれば、皆さん当然に自動車で通行できると考えられることと思います。
しかし、判例を調べてみると、自動車の通行が十分可能な幅のある道路でも自動車による通行を否定しているものが、意外と多いのです。
車が十分通れる2項道路や位置指定道路であっても、これまで車が通ったことがない道路にはほぼ自動車通行は認められません。また、自動車が通行していたとしても自家用車以外の工事車両の通行となると否定的です。しかし、これでは、建築基準法上は建築可能とされているにもかかわらず、工事車両は入ることができず、実際上は建築が不可能な土地になってしまうという困った事態が生じてしまいます。従いまして、道路に接道しているからというだけで安心されることなく、道路の利用状況をよく確認してから、購入することが重要となります。  最も驚かされたのは、裁判所は、通行の自由は権利ではなく、道路指定されたことによる「反射的利益」としてとらえていることです。平たく言えば、お上が設定したことのおこぼれに預かっているにすぎないといったところとなりましょうか。
しかし、このような判例の立場は疑問です。人によって車で通行できたりできなかったりするなど社会常識に反しているだけでなく、今日、避難経路や緊急車両の通行の確保など安全な住環境の確保が強く求められているという社会的要請にも反しています。時代の後追いでなく、立法動向や時代の要請を反映させた判決こそが求められているのに、まさにこれらの判決は逆行する形となっています。そのような政策形成は立法の仕事と割り切るのもひとつの立場かとは思いますが、健全な政策形成は司法の場においても求められていると思います。また、弁護士も社会の動きを鋭敏に感じ取り、行政や一般市民の常識を裁判所に理解してもらう努力をすることも重要であると痛感しております。

 

 

破産管財という業務

事務長 田村彰吾

法律事務所の業務の中に破産管財事件というものがあります。これは、破産手続が開始した会社などの清算を請け負う業務で、その破産した会社と全く関係のない弁護士を、裁判所が指名して選任します。いわば裁判所からの受任事件と言うことになります。
破産管財人に就任しますと、その会社の全ての権限があたえられ、裁判所の監督の下、会社を解体し、整理します。具体的に言えば、売掛金の回収や預かり品の返還、従業員の解雇、税務申告、本社屋の売却又は退去、果ては事務用机や椅子まで売り払って、資産を処分し、権利関係を整理し、債権者に配当するための換価作業を行います。言うなれば、一人で会社をやっていくようなものです。しかも、事業をたたむ作業ですので、余り気持ちの良いものではありません。
裁判所は、このような業務を破産会社の規模や就任予定の弁護士の経験に応じて割り当ててくるのですが、近年、当所には比較的大きな規模の破産管財事件が回ってくるようになりました。過去の年商が数億円、従業員数で言えば100名前後ですから、世間で言うところの中小企業でしょうか。このような会社の清算をさせていただくのですが、現在、白浜が管財人に就任している会社が3社もあります。まだまだ規模の小さい当所が年商数億円もの企業3社を切り盛りしているのですから、はっきり言って資料を見るだけでも、気が遠くなるような作業です。にもかかわらず、資産を隠されていないか、不正が行われていないかなど、様々な調査もしなければなりません。時には、潰れた会社になんか代金を支払いたくないと無理を言う業者さんに、破産制度を説明し、支払いをしてもらわなければなりません。何とも頭の痛い業務です。
しかし、この業務にも救われることがあります。退職を余儀なくされた従業員さんに、給与を払うことができたときなどに喜んでいただけることがあったりするからです。倒産間際の企業は、得てして従業員さんをないがしろにしてしまいがちです。そんな状況で、当所が関与することで、正しく退職手続が行われ、未払の給料もいろいろな制度で補填されたりすることがあります。「満足」とまでは行かなくても、「なんかすっきりした」とおっしゃっていただければ、何よりの救いです。
そんな小さな誇りを感じつつ、私は今日も管財業務をサポートしています。