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弁護士法人 白浜法律事務所

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白浜の思いつき
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2017/10/24

他の会に移る弁護士が増えている?

 下記の表は、近畿弁護士会連合会内の弁護士の会員数の推移につき整理したものである。これからわかることとしては、大阪弁護士会の会員数は、司法修習生が二回試験に合格して一斉に弁護士として登録してしばらくした時期にピークを迎えてその後は次第に減少し、一斉登録時期の直前頃にはボトムを迎え、次の一斉登録時期に大きく増加してしばらくしてピークを迎えると、その後は、次第に減少し、一斉登録の直前にはボトムを迎えるという現象が毎年生じているということである。同じような傾向は、兵庫と京都にもみられるようである。
 これに対し、奈良、滋賀、和歌山では、このような現象は生じておらず、この3年間は、一斉登録時期ですら弁護士が増えておらず、減りもしないという弁護士人口の固定化現象ともいえる状況になっている。
 なお、67期から69期にかけては、登録して間もなくして弁護士登録をやめるという人は統計上も減ってきているので、大阪や兵庫、京都にみられる人口の減少は、その年に弁護士として登録した人が弁護士をやめているということではなく、登録換により他の弁護士会に移る人がいるということを示していることになる。
 これらのことから推測されることとしては、一斉登録時期における就職先としては都市部が多いものの、弁護士として一定の活動をするようになってから後に次第に他の地域に移っていくというような人口流動が生じているのではないかということである。私は、近畿弁護士会連合会内の会員数の推移しか観測していないので、この移動先がどこなのかがわからない。近畿弁護士会連合会内では人口過疎地への人口移動の形跡がないということからすると、東京に移動しているとか、あるいは、地方中核都市に移動しているということかも知れないが、このような人口流動があるということは、弁護士になってからしばらくして、それまで培った人脈なども捨てて他の地域に移って新しい生活をするという大きな生活転換を図る弁護士が増えているということだけは確かであろう。若い弁護士に厳しい負担を強いる状況が今もなお続いているということの反映ではないかと危惧するところである。
近畿の弁護士の人口推移.pdf

2017/09/12

弁護士激増政策は、弁護士過疎偏在対策としても失策だったのでは?

 弁護士を増やす理由として、人口過疎地に弁護士がいないところがあるということが指摘された時期があったように思う。いわゆるゼロワン地域問題である。しかしながら、このゼロワン地域の解消は、法科大学院の卒業生が弁護士になる頃には、既にほぼ解消されていたということは、これまで何度か私が指摘してきたとおりであって、少なくとも法科大学院制度ができたことによってゼロワン地域が解消されたというような事実はないことは確かなことである。
 弁護士激増の結果として、2004年から2014年にかけては、会員数の少ない弁護士会での弁護士数の急増が顕著となったが、特に滋賀県の急増には驚くほどの勢いがあった。しかしながら、私が、最近の2年間で弁護士人口ウォッチを続けているところでは、滋賀県の弁護士人口は、ほぼ横ばいを続けている。関西地域では、和歌山も奈良も弁護士人口は増えておらず、ほぼ横ばい状態である。
 全国的にも同様な傾向が生じているのではないかと思って、日弁連の弁護士検索システムを利用して、会員数の少ない弁護士会(函館から茨城県までの33会)の9月11日現在の会員数をチェックし、私が2015年度の弁護士白書の数字から整理していた表と比較してみたところ、予想通り、会員数の増加比率は、弁護士全体の増加比率を下回っていた。つまり、全体の増加率は約10.1%増なのに対して、上記33会全体での増加率は8.2%に留まっていて、鳥取県は減少、長崎県は増減なし、青森県や秋田は1名増など完全に人口増が停止した弁護士会も出現していた。詳細は、下記の表記載のとおりとなる。
 過疎地に育った者としての感覚としては、過疎地に人がいなくなるのは、経済活動の低迷、つまりその時代の平均的な要求に見合った収入を得られる仕事が確保できないことに主因があると思っているが、そのような過疎地に弁護士を赴任させようとした場合、経済的に安定するだけの仕事があるかどうかが決定的に重要ということになろう。ところが、ゼロワン地域の解消が進んだ頃には、人口過疎地でもいわゆる過払バブルがあってひまり公設事務所でも経営は安定していたものの、この過払バブルがはじけた後は、人口過疎地での弁護士の仕事の確保はかなり厳しくなっているように私は理解している。そうなると、あえて過疎地に赴任しようとする弁護士が減っていくのは自然の流れということになる。弁護士急増政策は、市場調査なしに実施されたために、弁護士1人当たりの仕事や収入を大きく減らす結果をもたらしてしまったが、そのことは、仕事があるかどうかもよくわからない過疎地への赴任者を減らす結果につながったのではないかと私は推測している。医師の場合、公的な支援があり、過疎地に赴任している医師への経済的手当ては充実しているが、弁護士の場合、日弁連が自腹を切って支援しているだけで、自治体などからの支援があるのは京都府など一部に限られている。数さえ増やせば、過疎地に弁護士が増えるだろうというような乱暴な政策では、過疎地の法的ニーズに対応することはできなかったということではなかろうか。
会員数の少ない単位会の増員推移表.pdf

2017/08/20

与謝野のひまわり

弁護士バッジはひまわりのデザインということで、ひまわりの撮影に挑戦してみました。
与謝野町ひまわりフェスティバルというものがあるとのことらしかったので、がんばっていてきたわけです。
https://www.facebook.com/yosano.himawari
ただ、少し時機を失してしまいました。
これぐらいががんばって撮れたという感じです。美瑛のひまわり畑と比べると少しこじんまりとした感じではありましたが、立派なひまわり畑でした。
IMG_0659.JPG
IMG_0660.JPG
ただ、ほとんどのひまわりは、うなだれてしまったような感じになっていたのが残念でした。8月上旬が見頃のようです。
IMG_0662.JPG
実がついて頭が重くなっていたようでした。

2017/08/18

谷間世代の救済

 貸与制の下で司法修習を行い弁護士になった方々を谷間世代と呼ぶようになったということである。
 貸与制という制度は、研修には給与を払わなくてもよいというような極めて乱暴な考えの下に創出されたものであり、人権侵害の疑いがあると私は考えている。
 そもそも司法修習は学校の授業とは全く異なるものである。検察や裁判の修習は権力行使に関わる仕事であるし、弁護修習も、刑事の接見など権力行使に対して民間から唯一対抗できる仕事に関わるものである。司法修習ではプライバシーにも触れる機会も多く、司法修習生には守秘義務などの重大な義務が課せられているし、何よりも、他では基本的に仕事をしてはならないという修習に専念する義務も課されている。このような義務が課されていて、実際に仕事に就いていながら、報酬が与えられないということが許されるはずもない。また、司法修習は1年に短縮されてしまったものの、この間に、和光での集合修習が2度あるから、修習地の赴任も含めると3度の転居も強いられることになるが、貸与制の初期にはこの補助すら全く不十分であった。司法修習生は希望とおりのところに赴任できる人の方が圧倒的に少なく、ほとんどの人が希望していないところに配属されるのであるから、その移動の補償も十分なものにされるべきであった。
 このような貸与制の下で修習を終えた人が、就職が最も厳しい時代に修習をしたわけである。修習という制度に対して不満を抱いたり、先輩法曹に感情的な反発が生じたとしても、おかしくはない。このことによって、法曹の中に世代間の断絶が生じるようなことになるやも知れない。そうならないためにも、我々弁護士が、谷間世代の人達のために、立ち上がって、救済のための運動を続けねばならない。
 木内会長は、さらに進んで弁護士会内での救済活動に踏み込むことを提案されている。大変よいことだと思うが、一体誰がどう援助するのかということが更なる問題を生むかも知れない。本来責任を問われるべきは弁護士大増員の旗を振ってきた方々であろうが、弁護士大増員の結果については、弁護士大増員の方向への舵取りに異議を述べずに放置した弁護士にも責任がないとは言えないだろう。大増員の波の中で弁護士になってきた若い世代について考えたとしても、56期以降の方々も、弁護士大増員時代に弁護士になり、弁護士の経済事情が大きく劣化していく過程を経験された方が多いから、貸与制世代だけをの支援することには反発が生じるかも知れない。それぞれの考えに大きなずれがあることは明らかだから、大変難しい舵取りとなろう。弁護士全員がいいアイデアを持ち寄って、谷間世代の救済に努力せねばならない。65期の返済開始時期が迫っている今日、私達には時間も残されてはいない。