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弁護士法人 白浜法律事務所

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白浜の思いつき
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2013/04/16

弁護士の廃業が未だに増え続けているという現実とそれが意味すること

 個人的に自由と正義の退会者欄の整理を続けていますが、今年は、1月から4月号までの累計で既に88名となっていて、例年より早いペースで退会者が増えています。
 これは、弁護士になったものの、様々な理由で弁護士を廃業する人が増えているということですが、急増が開始される前は、年間でも50名程度だったものが、4月の段階で88名になるほどに増加しているということは、決して軽視できないように思います。これは、弁護士という仕事では生活が困難になった人が増えているということを意味しているからです。それだけ弁護士の職業的魅力が失われてきているということですが、これは、志望者を減らすことにつながりますので、後継者の質の確保が困難になるということをもたらします。現に、大学の法学部の志望者が減っています。弁護士と同じように司法試験合格者という人達を供給源としている裁判所や検察庁でも同様の後継者問題が生じますから、三権のうち司法の弱体化だけが進行するということになります。そのうち、弁護過誤の多発や、誤審、誤認逮捕などの司法分野に関連した様々な問題が日常的に発生するというような未来予想をしたとしても決しておかしなことではないと思います。私自身の経験としても、これまでではあり得なかったようなおかしな保全決定に対処して仮処分異議をせざるを得なかったことなどがあります。これからの弁護士の仕事として、弁護士や裁判官・検察官の責任を問うような業務も増えてくるかも知れません。当然、このような業務が生じるとすれば、国民が被害を受けていることが日常的に発生している社会が到来しているということになりますが、そんな社会を国民が望んでいたわけではないはずです。しかるに、このような司法の弱体化や国民への被害発生という実害の発生は、法曹養成という意図的な政策の結果であること、そこに関わった法科大学院関係者には、そこから経済的利益(学費や国庫支援など)を得ていた以上、単なる政策の実行者というだけではない極めて重大な責任があるということは指摘しておかねばならないように思います。
          4月号まで  年間の退会
          の退会者  者総数
  2008年   52      198
  2009年   65      202
  2010年   70      207
  2011年   67      229
  2012年   76      294
  2013年   88     ???

2013/04/01

4月3日の名古屋での学習会でお話しします

久しぶりの更新です。最近、仕事での起案などに追われて、更新できていませんでした。すみません。
表題のとおり、4月3日に、愛知県弁護士会の勉強会でお話させていただきます。
日 時 :平成25年4月3日(水)午後5時~7時30分
場 所 :愛知県弁護士会館4階
      (℡052-203-1651 名古屋市中区三の丸1-4-2)
テーマ :検討会議の審議内容について(司会・鹿倉祐一弁護士)
イ 司法修習(白浜徹朗[京都]) ロ 司法試験、予備試験(森山文昭弁護士)
私の分担は、司法修習のことになりますので、現在、法曹養成制度検討会議の議事録などをがんばって分析中です。当日は、ブログでは書きにくいようなこともお話ししたいと思っておりますので、関心のある方は、ぜひご参加いただきますようお願い申し上げます。

2013/02/26

弁護士としての登録時期のことなど

 久しぶりのブログです。最近忙しくて、余裕がありませんでした。申し訳ありません。
 さて、最近の弁護士ブログでは、法科大学院への進学をしないように呼びかけるものが増えているように感じていますが、身近に修習生をみている限り、同感せざるを得ないのが、今の弁護士業界の実情のように思います。これに対し、法科大学院の経営側の利益を代弁するジュリナビというところでは、就職難が事実ではないかのごとき、論陣を張っています。どちらが正しいかということは、今の修習生が一番よくわかっていることだと思いますが、実際に司法試験に合格してから現実を思い知るようなことでは、それまで費やした時間やお金を考えると、かわいそうだと思います。ジュリナビを作成している人は、それなりの給与ももらって安定した生活をされているのかも知れませんが、若い人が人生選択を誤るような無責任な説明をすることは人としてやってはいけないことではないかと思います。
 ジュリナビが問題としているのは、一括登録時点での弁護士の登録数よりも、1月になってからの登録数が増えているということのようです。しかし、これは、12月の登録が月末付近となって、その間の弁護士会費などの負担を考えると、1月登録した方がコスト的に有利ということから12月登録が減っているというだけのことです。言い換えると、すぐにでも登録して働いてほしいというような要求よりも、年末に1週間程度働くような人に1月分の弁護士会費を払うというコストの方が重視されているということですから、それだけ、弁護士業界がしょぼくなっているということの現れでもあります。いずれにしても、年末の12月20日頃に就職させるというようなことは、日本社会の常識からすれば、ナンセンスなシステムです。一般就職も視野に入れた場合、4月初旬に就職できるようにすることがいいに決まっています。今や、弁護士資格の価値が暴落している上、二回試験合格者は年齢も高いわけですから、中途採用しかも年末就職を強いられるということは、一般的な新卒者と比較すると、かなり不利と言うことになってしまっています。これは、司法試験の受験資格を法科大学院卒業としたために、卒業後にようやく試験の受験申込ができて、秋口にようやく合否が発表されるという条件の下で、無職者の立場から早く解放して、司法修習生という資格だけは与えるというためにそうなっているわけで、受験生や採用する側のことは無視されていることになります。できるだけ早く無職者から解放するという点では研修所の方が少しは合格者に優しいと言えるかも知れないようなところでしたが、貸与制が導入されたことで、修習生は、有職者ですらなくなってしまい、更に困窮化が加速されてしまっています。法科大学院卒業を司法試験の受験資格としていることは、このような観点からも改めて、少なくとも二回試験合格者が4月就職できるようにする必要があります。
 ところで、ジュリナビが言うように、弁護士になる人は、一括登録時点だけでなく、少し時間をおいてみた場合には、徐々に増えるということは、この数年でも裏づけられてはいます。しかし、1年ほどしてからは、登録者は、徐々に減っていくということもまた事実です。私が調査した限り、60期の弁護士(現行と新を合わせた数字)は、2012年5月21日(これは、私が初めてチェックした日です。)には2,094名いたのに、今(2013年2月26日現在)では2,068名となっています。61期は、同じ日に2,121名いたのに、今では、2,106名となっています。62期は、2012年3月30日に2,108名いたのに、今では2,092名となっています。63期は、2012年4月30日に1,925名いたのに、今では1,912名となっています。64期は、2012年8月25日に1,904名となってから減ったり増えたりを繰り返し、今年2月になってからようやく1,924名となっています。以上のことについては、私の2012年9月4日のブログも参考にしていただければと思います。上記の数字の中では特に63期の数からも明らかなように、弁護士になることができるようになってから1年ぐらいを過ぎると、ピークを過ぎて、弁護士をやめる人がでてきているということです。これは、実際に弁護士になってから、他の道への転職をしている人もいるということでしょうし、企業に就職してから弁護士登録が意味がないということで登録を取り消した人もいるのかも知れません。しかし、働き始めてからの転職ということは、かなりの負担だと思います。このことを軽く考えることは、学生から授業料などをもらっている法科大学院側には許されないことではないかと思います。ジュリナビには、法科大学院を目指そうとしている人が人生選択を誤ることのないよう、より正確な情報を提供するようにされることを望みます。

2013/01/24

司法崩壊の足音が聞こえる

 標記のテーマで、1月27日の日曜日の午後1時30分から京都弁護士会館で市民集会が開催されます。メインテーマは、司法修習生の貸与制の問題点と市民生活への影響です。詳しくは、弁護士会のHPをご覧ください。
 貸与制を経験した初めての修習生である新65期の修習を経験した弁護士からの生の声が聞ける集会となる予定です。
 表題は、私がつけたわけではありませんが、残念ながら、この表題のとおり、もはや司法崩壊は始まっていると言わざるを得ない状況だと思います。無計画な弁護士人口の急増がこのような事態をもたらした最大の原因ですが、貸与制の導入がこれにとどめを刺すことになっているように思います。市場(私がいつも指摘している弁護士の労働市場ではなく、株価に示された企業人気に近いような一般的な世論という意味での市場です)の反応は、もはや明らかで、法学部の志望者の減少ということで、無責任な発言を繰り返していた法科大学院関係者に跳ね返ってきているようですが、問題は、大学だけの問題に留まらず、日本の社会構造の根幹を揺るがしかねない事態になりつつあります。
 ぜひ、ご参加いただければと思います。
 https://www.kyotoben.or.jp/event.cfm#673