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弁護士法人 白浜法律事務所

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白浜の思いつき
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2008/09/15

道路予算の削減の方向性って?(ひび割れ道路の出現をどう考えるのか)

道路予算については、もっと削減するべきだということがよく言われています。私も、無駄な道路を造るということには反対です。しかし、日常的に使用されている道路の整備・改修の予算まで削られるのでは、私たちの安全が脅かされてしまいます。このことに反対される方はほとんどいないと思いますが、現実には、道路の維持・改修のための工事は、昔と比べるとかなり減少しています。昔は、3月となるとあちこちで道路工事があったような記憶がありますが、最近では、道路のアスファルトの張替の工事に出くわすことはほとんどありません。それほど道路の維持・改修のための工事は減少しています。直接に関係するデータを探すことはできなかったのですが、路上工事が減少したということについては、国土交通省からも積極的な宣伝が行われています。
  http://www.mlit.go.jp/road/sisaku/rojokoji/index.html
 この結果、下記の写真のようなひび割れ道路があちこちで出現しています。これは、アスファルトの張替をあまり行わなくなったことが原因です。下記の写真は、河原町丸太町というVIPもよく通る京都のメインストリートを写したものですから、通行量の少ない道路だともっと深刻な状況になっていてもおかしくありません。デコボコ道でバランスを崩して交通事故というような事態が生じないとも限りません。こういう予算を削るということは、国民は望んでいないのではないかと思います。
P1000672_R.jpgP1000673_R.jpg

2008/09/12

裁判所だけが新規採用情報公表を遅らせていいものでしょうか

現行61期修習生からの裁判官採用については、下級裁判所裁判官諮問委員会第33回議事録によれば、9月5日に諮問委員会が開かれていて、採用者が決まっていたはずですが、10日まで報道されませんでした。
  http://www.courts.go.jp/saikosai/about/iinkai/kakyusaibansyo/
  pdf/iinkai_33th.pdf
 これは、検察庁が、新規採用者に関する情報を5日に発表していることと対照的な対応です。
  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080905-00000082-mai-soci
 私は、これだけ法曹養成問題に対する国民の関心が集まっている中、裁判所だけが、国民への情報提供を遅滞するということは社会的にみて許されないことだと思います。
 私が修習生の頃から、検察官の採用発表は、修習生が修習生の身分を有している時期に行われていましたが、裁判官については、修習生が修習生ではなくなった時期に行われるのが慣例となっていました。これは、任官拒否者が出現したときに同期の修習生を中心とした非難の声が巻き上がるのを避けようとしたからではないかと言われていた時期があります。しかし、今や毎年のように判事補として採用されない修習生が複数出現する時代となっていますから、発表を遅らせることには採用拒否への社会的非難を避ける意味はもはやありません。別の意図を持って遅らせているのか、早期の報道が大事だという意識が欠如しているのかのいずれかと言わざるを得ません。この点、現行司法試験合格者数から比較すると、裁判官への任官者の比率は、下記のとおり、10%近い数字から4%以下に減っているなど、裁判所は、合格者の増員の割に採用数を増やそうとしない傾向が顕著ですから、この点への非難を避けようとして、発表を遅らせているのではないかと疑う気持ちがどうしてもでてきてしまいます。また、たとえ数日であっても、身分が不安定な時期を意図的に出現させるということは、裁判官の身分保障について、就職の初っぱなに不安感を植えつけることになり、最高裁による裁判官の心理的統制の第一歩となっているようにも思えてなりません。新任判事補の採用発表は、修習生の身分を保持した段階で行われてしかるべきではないかと思います。少なくとも5日の諮問委員会の内容報告が10日に報道発表されるということには、何らの合理的理由もないように思います。

       二回試験合格者数  裁判官採用者数   割合
平成17年    1158           124  10.7%
平成18年    1386           115   8.3%
平成19年    1397            52   3.7%
平成20年     609            24   3.9%

2008/09/11

現行61期の就職状況

司法試験に合格しても、弁護士として就職できるかどうかわからないという現象が生じていることを最初に公表したのは、私の事務所のHPでした。その後は、二回試験という司法修習生の卒業試験の発表と裁判官や検察官への採用数の発表がある度に、弁護士の中で情報を流すようにしてきました。ただ、最近になって、これは、弁護士にだけ公表しても意味がなく、受験生やそもそも弁護士を目指そうかどうか迷っている人にも正確な情報を入手しておいてもらった方がいいのではないかと思うようになりました。ブログの更新の話題も、守秘義務の問題もあって、なかなかみつけにくいということもありますから、就職状況に関するデータチェックも、この際、このブログで公表することとしました。
 現行61期の就職に関するデータは以下のとおりです。
 まず、現行61期の合格者数は、下記の新聞発表によれば、609人です。正確には、この609人の中には、新60期や現行60期で不合格となった人も含まれているのですが、これらの人たちも、この二回試験を受験するに先立ち、現行61期として採用されて司法修習生の資格を得てから試験に臨んでいますから、法的には全て現行61期として取り扱われることになります。従いまして、現行61期の合格者数は609人で間違いないということになります。
 このうち、弁護士として登録できる日の初日に登録した人は、532人です。これは、日弁連のHPの会員専用ページを利用して検索した結果によるものです。
 次に、現行61期から採用された検察官は、下記の新聞報道によれば、20人です。
  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080905-00000082-mai-soci
 最後に、現行61期から採用された裁判官の数は、下記の新聞報道によれば、24人です。
  http://www.jiji.co.jp/jc/c?g=soc_30&k=2008091000609
 この結果、609-532-20-24=33名の人が法曹にはならなかったということとなります。前年度の数字については、下記の私のコラムでデータを示しておきましたが、69人が法曹にならなかったわけです。このときの合格者数は1397人ですから、法曹にならなかった人の割合は、4.94%だったわけですが、今回は、5.42%となり、割合が増えています。ちなみに、平成17年の合格者1158人のときの法曹とならなかった人が27人ですから、このときよりも実数が多いわけです。法曹にならない人は明らかに増えていると言えます。
  http://www.shirahama-lo.jp/column/asahi04.html
 この後に控えている新61期、つまりロースクールからの合格者は、現行61期よりも更に厳しい状況となっていると思います。これは、下記のとおり、日弁連でも認めざるを得なくなっています。なお、ここで60期のほとんどが就職できたと分析していることについては、私は、疑問を持っています。日弁連が就職しなかった人たちの個別調査を行ったということを聞いたことがないからです。私は、元修習生ということで修習終了直後に就職活動をしている人からの就職の相談を受けたことがありますが、この人の就職活動はものすごく大変だったと聞いています。また、愛知県では就職できたけれども1年以内に事務所を変わったという人がかなりの数になったとか、弁護士登録そのものをやめた人もでたということを確認していますが、これは別に愛知県だけに限ったことではなく、他の地域でもあるはずのことですから、就職といっても潜在的失業状態と評価できるような劣悪な労働条件で弁護士をしている人もでてきていることは間違いないのです。
  http://www.nichibenren.or.jp/ja/committee/list/data/
kyujin_enquete_taisaku.pdf
 私は、下記コラムで、以下のことを述べました。この思いは、今でも変わっていません。実際、私が会った修習生の中で就職が難しかった人のほとんどは、転職された方とか、長期間受験されていた方が多かったので、他の職業に就くことは難しいだろうと思います。最近では、若い修習生でも就職がないという人も増えています。せっかく修習も終えたのに転職を考えねばならないということでは、何のための修習だろうと思います。
  http://www.shirahama-lo.jp/column/syukatsu.html
 机の上だけで法曹人口論を唱える人たちは、この問題が若者の人生に深く関わる問題であるということを考えてみてほしいと思う。とにかく沢山合格させればいいというわけではないはずである。何年もかかって合格して喜んで研修を積んだものの、実際には就職ができない若者が大量に出現するようなことが果たしていいことなのだろうか。そのときには、他の就職の道は閉ざされているかも知れないのである。

2008/08/29

京都市の景観政策は、京都市内の建築業者に打撃を与えているというデータ

京都市の景観政策は、建築基準法改正に伴う国土交通省の失策によって建築申請が全国的に滞ってしまったことやサブプライムローン問題に伴う不動産投資の冷え込みに隠れて、その政策の影響が見えにくいのですが、日本銀行京都支店が発表している統計データによると、京都の新設住宅着工戸数が他の地域と比較して激減していることが明らかになっています。残念ながら、京都市内に限った統計データはないのですが、京都府内の新設住宅着工戸数は、下記のとおり、平成19年9月に新景観政策が実施される前の同年4~6月のそれがが全国平均を上回っていたものが、同年7~9月からは、最新の統計データである2008年4~6月まで全て全国平均を大きく下回っています。京都府に占める京都市の経済力を考えると、この数値は、京都市の政策が影響しているとしか考えられないと思います。また、日銀京都支店の統計データは、滋賀県のデータも示してくれているので参考になるのですが、この滋賀県のデータは、全国平均を上回っているときがかなりあります。滋賀県のうち人口が集中している地域が京都市に近接した地域であり、経済的には京都市に強く結びついていることを考えると、滋賀県のデータは、京都市内の住宅着工戸数に異常なデータがでていることを強く推定させるものと思われます。当然ながら、京都市は、建築確認を管理しているわけですから、京都市内の住宅着工戸数を正確に把握しているはずあので、住宅着工がどのような数字で推移しているのか、市民に開示する義務があるものと思います。
 ちなみに、このデータの出所である日銀京都支店のHPは、  http://www3.boj.or.jp/kyoto/data/data.htmです。
 実際、府宅地建物取引業協会の緊急アンケートでも860業者(京都市内729)が回答し、京都市内の業者の75%が新景観政策の影響が出ていると答えているそうです。
http://mainichi.jp/area/kyoto/archive/news/2008/08/02/
20080802ddlk26040636000c.html
 建築業者の倒産が増えているという話も聞きます。地元の業者が一番の被害者となっています。建築業者だけでなく、建築に伴う大幅なコスト増は市民生活に直接に打撃を与えています。
 不動産価格の落ち込みにも厳しいものがあるようです。この統計データはまだ登場してきませんが、これは、年に2回しかデータが公表されないことによるものです。しかし、下落のデータが出てくる頃に対策を講じても、遅いのです。デフレからの脱却に、市民や企業がどれだけの苦労をしてきたのかということを思うと、京都市の無責任な政策には怒りを覚えざるを得ません。
※ 知り合いの不動産鑑定士の話によると、京都市中心部の不動産価格の急上昇については、路線価等に反映されないまま、下落に転じてしまったことになるようです。
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