京都で弁護士・法律相談ならお任せください。

弁護士法人 白浜法律事務所

0752233444
0752233444
白浜の思いつき
白浜の思いつき

2008/10/01

景観について考えてみる

景観問題で、赤と白の壁面でデザインされた楳図かずお氏の自宅をめぐる訴訟が話題となっている。赤白の色調は、日本で古くから存在する色調と思うのだが、景観を害していると主張する人もいるらしい。表現の自由と景観の調和という難しい問題だが、実物の写真をネットでみた限り、割と簡単に決着がつくのではないかと思う。
この点、京都では、景観問題と言うと、イコール高さ規制、という極めて偏った議論が続いている。個人的には、高さを規制するよりも、道路幅を広げたり、公開空地を広げたりして、水平面の視野を広げた方が開放感のある町並みになると私は思っているのであるが、そんな縦か横かという問題よりも、朽ち果てたような家屋があちこちに放置されているということの方が景観上も問題である。実際、建築規制の厳しい京都御所の近辺では、あちこちに危険な木造家屋を発見することができる。この放置の方が景観保護という観点からは、問題である。もちろん、景観保護以前の問題として、危険であるということは言うまでもない。
老朽化した危険な家屋が放置される原因の一つに「朽廃」という法律解釈の問題があるということは、私が何度も指摘していることであり、その解釈論の変更を裁判所に頼っていては遅すぎるということも、何度か指摘させてもらっていることである。
経済政策的にも、このような危険家屋の建替を促進することは内需拡大に役立つし、高齢化社会の到来に備えて住宅のバリアフリー化を推進することにも役立つと思うのだが、いかがであろう。

2008/09/29

共立工機が注目されています

和議債権を完全履行したおそらく最後の企業となるであろうということで、私の事務所のホームページで紹介している共立工機が、日本一明るい経済新聞で取り上げられたそうです。
http://www.seiwabs.co.jp/akaruibn/keizai/sb_865.html
同社のすごいところは、然したるスポンサーもなく、誠意と熱意で再建に成功しているところです。なぜ、このことがすごいかがわかりにくいかも知れませんので、少し説明させてもらいます。通常の企業は、自己資金だけで資金繰が完全にできるところは少なくて、資金繰のためには金融機関から融資を得たりしながら経営しているわけですが、和議、今で言う民事再生をした場合には、金融機関からの融資が得られないため、資金繰を自社の売上管理だけで行わなければならなくなります。企業というものは、予想もしない資金需要が生じたりすることがありますし、ましてや再建中の企業の場合、色々な問題が生じやすいので、再建途中で資金ショートすることはよくあります。このため、スポンサーなしの再建は本当に難しいのです。私としては、そのようなスポンサーなしで再建に成功した共立工機はすごい企業だと思うわけです。
弁護士は、民事再生など、企業再建のための法的手続を支援しますが、いかに弁護士が法的な手続を提供したとしても、その企業自身が再建しようと努力しない限り、企業再生は困難です。共立工機についても、私は、和議という手続をしただけのことで、再建は、共立工機という企業体、つまり、社長を中心とした従業員の皆様の努力や取引先、債権者の皆様方のご協力があったからこそ、実現することができたわけです。このことも私が共立工機をすごい企業だと思う理由の一つです。
なお、経理等が不透明な企業が多い中、共立工機は、裁判所が関与して経理面が債権者等にオープンにされて、再建途中でも金融機関に全てを開示しながらやってきた企業ですから、金融機関からの信頼感は以前にも増して高まっています。和議の後、落ちた信用を回復するべく、地道に再建に努力した結果がようやく実を結んできたわけで、その結果を上記のように取り上げていただいていることは、本当に喜ばしいことだと思います。
私としても、共立工機の再建のような奇跡に携わることができたことは、本当にうれしいことだと思います。今後も、そんなお手伝いができたらと思って、民事再生などの企業再建の手続について、知識と経験を深めるべく、がんばっています。

2008/09/27

非弁問題の本質は消費者問題

先日、非弁事件の刑事公判を傍聴してきて、感じるところがありました。
この事件は、過払金回収の非弁事件です。過払金回収は、既にマニュアル化しているところがありますから、非弁がやりやすい案件でしょう。ところが、そんな事件で、非弁は、4割の報酬を取ったりしています。本来、弁護士に依頼すれば、弁護士が法廷で対応することができるはずなのに、それができないばかりか、直接に裁判官や相手方からの問い合わせに応じなければなりません。正当な主張も可能なものができなかったりするわけですから、実質的な被害を被るのは非弁の依頼者です。知識のない人が被害に遭うという意味では非弁問題は本質的には消費者問題だと思います。弁護士という法的なトレーニングを受けた職業人によって、法的主張が戦わされる中で、新たな判例が生まれたり、その判例から新たな法律が生まれたりするわけですから、法廷代理について、弁護士に独占させている社会的意義には重いものがあります。
この点、裁判所からの問い合わせや相手方からの攻撃に裁判所や法廷で直接に対応を強いられるという点では、司法書士が書面を作成した場合でも同じですから、地裁事件を司法書士が処理するのは、まさに非弁であると私はとらえています。
上記の刑事事件では、被害弁償すら行われないまま、次回は判決ということになってしまいました。非弁がなぜいけないのか、被告人の口からも、具体的な反省の弁は聞かれませんでした。弁護人ですら、どこまで考えて弁護されていたのか、疑問なところがありました。
非弁の横行で被害を被るのは、裁判の利用者たる国民であるということは、決して軽視されるべきではないと思います。裁判所は、地裁事件で、司法書士事務所を訴訟書類の送達場所とするような申出についても、不利益を被ることを自ら認めているわけであるからと、これを黙認する姿勢を採っているところが多いようですが、本当にそれでいいのだろうかと思います。

2008/09/17

何でも不正競争防止法でいいのでしょうか

今世間を震撼させている擬装米問題の刑事処理は、詐欺と不正競争防止法によることになりそうです。ブランド品の偽物事件なども不正競争防止法、従業員による企業情報流失なども不正競争防止法で刑事処理が行われます。このため、今話題となっている事件は、何でも不正競争防止法違反というような感じです。
 ブランド品の偽物販売などは、犯罪類型が明確になっているわけですから、本来、そのことに即応した刑事処理を法律が用意するべきだと思います。利益の剥奪などについても、犯罪類型に応じたメニューを用意することが可能だし、その方が、刑事政策的にも犯罪抑止がより効果的になると思います。
 ましてや、健康被害が問題となるような商品の流通については、その被害が人命に関わるだけでなく、知らないうちに加工商品を作ってしまったような企業までが製品回収に追われるなど経済的な被害も甚大なものとなるわけですから、それを不正競争防止法で処理せざるを得ないという状況は、明らかに立法の怠慢であると思います。これは、薬害被害にもつながる問題です。
 私は、健康被害を生じさせる商品(健康食品だけでなく薬も含めるべきでしょう。)を流通させた者に対しては、法人も含めて、厳しい刑事処分を科することとするべきだと思います。少なくとも最高刑としては無期懲役に処することができるようにすべきだと思いますし、故意犯については少なくとも懲役10年以上の処分しかできないぐらいに重い処罰が科されるようにするべきだと思います。当然ながら、高額な罰金や利益追徴、法人については法人資格剥奪なども併科できるようにすべきだと思います。また、過失による商品流通についても、禁固刑などの重い処罰が可能とした上で、上記のような高額な罰金、利益追徴等が可能なように、新しい法律を作るようにするべきではないかと思います。故意ではなかったというような言い逃れを防ぐためには、過失犯についても重い処罰が可能とすることが必要だと思うからです。