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弁護士法人 白浜法律事務所

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白浜の思いつき
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2012/10/22

11月10日(土)の集会で報告します

11月10日(土)に日比谷図書文化会館で行われる「誰のため、何のための法曹か(法科大学院と法曹養成制度をいま、問い直す)」と題する研究集会で、「司法修習(特に弁護実務修習)の現状と問題点」というテーマで報告を行う予定です。司法修習がどう変化してきたかという簡単なまとめと、現状の問題について報告させていただきます。報告後は、コラムで報告文をアップする予定です。
未だに法曹人口増員の必要があるなどと言われている方々は、現場を知らないのではないかということをよく感じることがあります。まずは、司法修習の現状がどうなっているのかということを理解してもらうことから始める必要があると思い、報告担当をお請けさせていただきました。集会の詳細は、下記のHPの記事を参考にしてください。
日本民主法律家協会■集会・イベントページ(http://www.jdla.jp/event/event_index.html)
※2012年11月の情報を表示させてください。
日時■2012年11月10日(土)
     午後1時~5時(受付:12時30分より)
会場■日比谷図書文化会館 日比谷コンベンションホール
参加費■資料代1000円(学生・修習生500円)

2012/10/08

新65期の就職の現状

仙台の坂野智憲先生のブログは、私も共感するところの多いブログですが、最新のものでは、仙台の修習生の就職事情がかなりよろしくないということが書かれています。その内容は、遠く離れた東北の地ながら、修習生が京都とほぼ同じような状況に置かれていることがよくわかるものとなっていて、やはりこの問題は、国としての政策の失敗の問題なのだなということを痛感しました。
http://jsakano1009.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-9177.html
Schulzeさんの10月6日のブログでも、昨年と同じ状況というのが本当なのかということが取り上げられています。私の実感するところでも、就職状況は昨年よりかなり厳しいと思っておりますので、このような疑問を持たれるのは、当然のことと思います。
http://blog.livedoor.jp/schulze/
ただ、日弁連の調査では、昨年と同じような状況となっているのは、確かなことのようですが、正確なところはわからないというのが実態だと思います。これは、昨年と比較すると、修習生が日弁連のアンケートに極めて非協力的となっているということから、有為な統計データが集まらない状態になっているためです。日弁連としては、データの公表は、やりたくてもできないでしょうし、むしろ、このような不正確なデータに基づく公表はするべきではないだろうと私は思います。修習生がアンケートに協力しないことについて、彼らを非難することはできません。このアンケートに協力しても、日弁連に何ができるかというと、実のところ、できることはほとんどないというのは、修習生が一番よくわかっているということではないかと思います。各地の弁護士会では、企業からの就職説明会とか、修習生との懇談会とかを開いて、修習生の就職支援活動としてできる限りのことはしているわけですが、一括登録時の就職未定者の激増や初任給の激減などの数字に顕著に表れているとおり、これが人的な需給のアンバランスの問題である以上、今の修習生の数を前提とする限り、抜本的な解決を導けるような活動とはなり得ないところが悲しいところなのです。
新65期の就職状況がどうなっているかということを最も正確に把握しようとすれば、既に受付が始まっている12月の一斉登録の申請状況を整理すればよくわかるものと思いますが、これは、これまで統計データとしては、採用されていませんから、何期からの数字があるのかが不明です。ただ、この数字が日弁連として把握できる時点では、既に一括登録時点までに登録ができない人がほぼ確定してしまっているわけですから、これを公表しても、時期的に遅すぎて、あまり意味がないかも知れません。
いずれにしましても、私の実感では、新65期の就職状況は昨年と同じ状況ということではなく、更に悪くなっていて、62期ぐらいまでには多数を占めていた正常な雇用形態による勤務弁護士の採用は急減し、初任給の激減傾向が顕著となっているだけでなく、いわゆるノキ弁のような不正常な雇用関係が激増しているというのが、新65期の現状ではないかと思います。
先日も就職に関する相談を受けましたが、個人的なボランティアではどうすることもできない問題だということを痛感しました。仮に自分が数年前に弁護士になっていたら、果たして独立してやっていけると思うだろうかということを考えるほど、この業界の新規参入者は、厳しい状況に置かれているように思いました。それほどまでに若い世代の育成が難しくなってきているということは、日弁連の上層部にぜひ理解していただきたいと思います。

2012/09/14

弁護士の廃業の増加傾向のこと

弁護士になってから廃業する人が増えているということに関する統計的な分析をしているのは、私だけのようですから、その統計分析からわかったことを指摘しておきます。
自由と正義の2012年の1月号から9月号に掲載された請求退会者の合計は、登録番号が3万番以上の人が139名、1万番から3万番未満の人が83名、1万番未満の人が10名、合計で232名となりました。これは、昨年2011年の1月号から12月号に同じように掲載された人の合計である229名を既に上回る数字となりました。ちなみに、昨年同月比では、登録番号が3万番以上の人が88名、1万番から3万番未満の人が81名、1万番未満の人が13名、合計で182名でしたから、登録番号が3万番以上の人の増加が目立っています。今年は全体で300名を上回ることになってもおかしくない状況のように思います。
この数字からも、弁護士になってからしばらくして廃業する人が増えているということは裏づけられていると思います。
日弁連の上層部の方々の中には、若い会員の現状把握にもっと努力してほしいと思います。会員には冷たく、法科大学院という制度には暖かくということでは、何のための日弁連なのかと思う人が増えてしまい、弁護士会の求心力が弱くなってしまいそうな気がします。

2012/09/12

2012年の司法試験の合格者と今後の就職戦線について

2012年度の司法試験の合格者は、2100人を超えてしまいました。総務省は、国費が有効に使われているかという観点から、合格者数が多すぎるということを指摘していたわけですが、その勧告が無視されたということになるように思います。貸与制が採用されたとはいえ、司法修習には国費が投入され、指導担当の弁護士や裁判官、検察官など多数の人達が関わって支えているということは決して軽視されるべきではないと思います。
司法修習は、弁護士や裁判官、検察官を養成するために行われるものですから、弁護士や裁判官、検察官にどれだけの人がなれたのかということが厳しく問われるべきことは、当然だと私は思うのです。ところが、2011年の年末における新64期の修習生の弁護士未登録者は400名を超えています。1年ぐらいすればかなりの人が弁護士として登録しているなどというような話がでたこともありますが、60期以降は、既に弁護士を廃業する人が次第に増えてきていることや、新64期については、一括登録後の弁護士登録もあまり芳しくないということは、先日のブログで述べたとおりです。
65期の就職については、個人的に履歴書の作成や面接に関する指導などもするなどして、小さな支援活動をしてきたわけですが、全体とすればかなり厳しいものになることは間違いありません。おそらく、一斉登録時点における65期の弁護士登録は、新64期よりも厳しいものになる可能性が高いのではないでしょうか。他方で、初任給などの就労環境が1年毎に急激に悪化していることも、既に指摘させていただいたとおりです。
このような中、2012年度の合格者、つまり66期修習可能者が2100名を超えることになったということは、66期の就職環境が更に悪化することを意味しています。
ただ、どれだけの人が実際に修習するのかはわかりません。今現在修習生が置かれている就職状況を踏まえれば、企業に就職される方や公務員などの方向に進まれる方も増えて当然のことだと思います。
その上で、修習の方向を目指すのであれば、既に就職戦線は前哨戦ではなく、中盤に差し掛かっていると思って、活動を開始された方がいいと思います。
ちなみに、私の事務所のサマークラークでは、ほとんどの人が合格されたので、ほっとしています(残念ながら、1名不合格ということのようですが、捲土重来を図ってもらいたいと思います。)。驚いたのは、残念ながらお断りさせていただいた方もほとんど合格されていたことです。早期に就職活動をされている方は合格率も高いのだろうと推察しています。
とりあえずは、10月6日に大阪弁護士会館で開催される「第66期司法試験合格者等対象「ひまわり・スタッフ・独立開業支援 採用情報説明会~弁護士のあり方を地域から考える~」大阪会場が、66期就職戦線の初戦となるものと思います。ただ、数年前の弁護士過疎地域ほど弁護士人口の急増が顕著なので、この催しでは、数年前のように沢山のブースが置かれることにはならないと思います。修習予定者が100名以上集まっても、指で数えることができるぐらいのブースしかないということになる可能性が高いでしょう(その意味するところは西日本全体で数えるほどしか募集がないということです。)。ここで、就職状況の厳しさを知ったとして、そこでめげていては、弁護士になる道は厳しいということになります。
http://www.nichibenren.or.jp/event/year/2012/121006.html
本当に厳しい時代になってしまいました。7年前から警告を発してきた者としては、内心忸怩たるものがあります。私自身が、司法試験合格者の保護者の方々と同年代になってしまいました。子どもと同年代の方が合格者の方々に増えてきたのです。親の立場として考えてみた場合、保護者の方々のご心配はよくわかります。合格された方には、何とかがんばって夢を実現させてほしいと願うばかりですが、弁護士になったとしても厳しい経済環境が待っているということは覚悟された上で、保護者の方々ともよくご相談された上で、進路は選択された方がいいと思います(皆さん成人でしょうから、保護者と相談ということでもないのかも知れませんが。)。