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弁護士法人 白浜法律事務所

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白浜の思いつき
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2022/01/20

弁護士人口の増加率の現状

新年のご挨拶を申し上げます。今年もよろしくお願い申し上げます。

さて、昨年は、弁護士白書に示された弁護士総数の推移と司法試験の受験者や合格者を整理して、ブログに掲載しましたが、2021年3月末の弁護士人口が明確ではありませんでした。

新しい弁護士白書(2021年版)が発行されたので、不足していたデータ、つまり、2021年3月末の弁護士人口を入力してみました。同時点での弁護士総数は43,206名で、弁護士の増加数は1042名となり、前年の1046名と比較すると4名減に留まり、増加率は2.4%と前年とほぼ同じということになりました。司法試験の合格者数が、1450名から1421名と29名減少したことは、弁護士人口の増加傾向にはストレートな影響は与えなかったように思われます。

このデータからしますと、弁護士人口の増加率だけを捉えれば、現状は、2000年つまり合格者1000名時代とほぼ同じ状況になっていることになります。これは、総数が増えたことからの帰結ではありますが、このままの状態が続くと、合格者700人時代とほぼ同じ状況に近づくことになり、合格したけれども就職先がないというような時代の再来はなさそうです。

ちなみに、現時点、つまり、2022年1月20日時点で日弁連HPから弁護士検索をすると、弁護士総数は42,968名となり、2021年3月末と比較すると、238名減少していることになります。これは、第74期修習生の一斉登録時期が4月になったことの影響ですが、逆に言えば、一斉登録がなければこれだけの減少があるのだなということは、押さえておく必要があるように思いました。

今年の弁護士白書は、請求退会者などのデータも充実しているようです。このデータからは若い期の請求退会者の数が減少してきていることが示されているので、このことからも、就職難は解消されていることが示されているように思われます。

来年の弁護士白書は、第74期の一斉登録時期を反映しないと統計上はおかしなことになりそうです。例年同様に3月末の弁護士総数を比較対象とすると、弁護士総数は減少に転じたという数値が示されることになってしまいます。この年度だけは、弁護士総数の比較を少なくとも5月末にしないと一斉登録を反映できないことになってしまうことになるように思います。

司法試験受験者数と弁護士人口増加率の推移2022

2021/12/14

請求退会者の減少傾向は昨年だけのことだった

自由と正義に掲載された請求退会者の人数は、今年1月号から12月号に掲載された方としては、全体で346名となりました。内訳として、登録番号4万以上の方が191名、2万以上4万未満が79名、2万未満が64名となりました。昨年が全体で250名と極端に少なかったことからすると、急増したように思われるかも知れませんが、一昨年が339名、その前の年が382名だったことを考えると、昨年に減少したことが異常だったように思います。なぜ昨年だけ減少したのか、その理由は私には全くわかりません。

2021/09/24

弁護士人口のシミュレーションと現実とはどう違っているのだろうか

Back to the Future Part IIは、1989年発表の映画で、この映画では2015年の未来にタイムトラベルしていたのですが、我々は、既に2021年を過ごしているわけで、映画が予想していた未来を通り越してしまっていることになります。1989年の時点で予想された未来は、今の我々が住んでいる世界とはかなり異なっていましたね。未来予想は難しいことなんだなと思います。

ところで、私が「司法試験に合格しても弁護士になれるとは限らない」とブログに書き込んだのが、2005年のことなのですが、このときに指摘していた就職難は、私の予想をはるかに超えて厳しいものとなりました。ただ、2018年頃より、司法試験合格者の就職難は大きく改善され、現在では、弁護士人口が増えない県が発生するという新たなゼロワン問題が生じるようになっているなど、弁護士人口をめぐる問題は我々の予想できないような変化を始めているように思えます。

結局のところ、貸与制の最後のあたりの66期ぐらいの方々が一番大変だったように思います。この方々が弁護士として頑張ったことが、結果的に新しい期の方々の就職難の解消につながっているのかも知れません。いわゆる谷間世代への支援は、この観点からも重要なことと思います。この苦難の時代から、今の就職状況にどのような経過で変化していったのかということは、色眼鏡をかけずに、冷静に分析する必要があるように思います。

別添のPDFは、弁護士白書に掲載された弁護士人口に関するシミュレーションを整理したものです。合格者が3000人となることが前提となっていたり、新規法曹が2000人ということが前提となっていたりするなど、その当時問題となっていたことが反映されているわけですが、シミュレーションよりは実際の弁護士人口の増員は少なくなっているようには感じます。なお、2011年から2014年までは新規法曹が2000人であったり1500人であったりした場合のシミュレーションも掲載されていますが、比較の意味では実際に近かったものだけを取り上げています。また、弁護士人口はいずれも3月31日現在のものが弁護士白書では示されています。2021年の3月31日現在の弁護士総数は私には確認できていませんので、現時点(9月24日)の日弁連HPからの検索結果が43,084人だったので、これを便宜上入力しています。

ただ、いずれにしても、我々弁護士は実験用動物ではないので、実験のような人口政策に踊らされる理由はありません。そうならないためには、実態、この問題については、就職難の現状とか、弁護士人口の増加がない弁護士会と増えている弁護士会との比較などのデータを整理して、立法事実として示すことが求められています。少なくとも、5年以上前の感覚で意見を述べるということでは立法事実とは乖離した主張となることに注意が必要です。かかる意味でも、過去のシミュレーションがどうだったのかということを振り返ってみることにも意味があるかなと思って整理した次第です。

弁護士増加シミュレーションと実際の乖離

2021/09/18

裁判官や検察官は増えなくなっている?

先日、弁護士の人口増加率はかなり鈍化していることを指摘しましたが、裁判官や検察官にいたっては、現時点で、既に増えなくなってしまっているように思われます。添付するPDFファイルは、弁護士白書から抜き出したデータから増加率を検討したものです。裁判官は、なぜか2016年に人口が大きく減少しています。その後は、あまり増えていません。検察官は、2019年からあまり増えていません。弁護士が増えているのに、裁判官や検察官の数が増えないのはけしからんと言われる方も多いとは思いますが、私は、官僚全体で縮小が言われている中、裁判官や検察官の数がこれまで増えてきたことは評価してもいいように私は思います。司法予算が増額されず、施設とか備品、特にPCなどの整備もあまり自由にできていないように思われる中でも、人は増やしているという姿勢は評価していいと思うのです。なお、なぜか、弁護士白書では、1991年より古いデータは掲載されていませんので、データは1991年からとなっています。

 

では、最近になって、なぜ裁判官や検察官が増えなくなってきているのか、その原因はよくわかりません。採用活動で、苦戦しているような話を聞いたことはありますが、修習生から漏れ伝わってくる話に過ぎないので、どこまで信用できるかはわかりません。

 

ただ、仮に上記の噂が本当だとした場合、合格者数が減ると、裁判官や検察官の確保が難しかった500人合格時代に戻ってしまう可能性はでてきているように思います。これをどう考えるかは難しいところです。

司法試験受験者数と裁判官検察官人口増加率の推移