【ブログ:白浜の思いつき】京都で弁護士・法律相談ならお任せください

弁護士法人 白浜法律事務所

0752233444
0752233444
お問合せ
白浜の思いつき
白浜の思いつき

2017/12/18

2017年も弁護士の自主的廃業は大きくは減らなかった

 請求退会者、つまり、自主的に弁護士を廃業する人が増えていることについては、私のブログぐらいでしか取り上げていないようである。今年も自由と正義に掲載された請求退会者について整理してみたところ、昨年と比較すると若干の減少ということになった。つまり、自由と正義の2017年の1月号から12月号までに掲載された請求退会者の総数は358名となり、2013年の320名以来5年連続で300名を超える結果となった。ただ、昨年が367名だったことと比較すると9名の減少となり、微減とはなっている。ちなみに、現時点での請求退会者のピークは、2014年の374名ということとなる。このピーク時期は、67期の就職活動時期と重なることから、この頃の勤務弁護士の就労環境が極めて悪かったことを裏づける事実なのかも知れない。
 この統計上の数字だけをみて、弁護士の退会傾向が改善されたと言う方もおられるかも知れないが、弁護士激増政策が具体化されるまでは年間で50名にも満たない人数しか請求退会していなかったことを考えると、自主的な退会者の数は高止まりとなっているという表現の方が正確ではないかと思う。
 なお、私が行っている統計的分析は、その開始の時点で比較しやすいように、登録番号が1万に満たない人と3万以下の人、3万以上の人に分けるようにしているが、3万番以上の人が急増した結果、この分類では若干わかりにくくなってきた感がある。登録番号が1万に満たない人の死亡退会比率が増えてきている上に絶対数が減少していること、3万以下の人も死亡退会等による人数減少はあるものの増加はないということが分析をしにくくしている原因である。
 ただ、登録番号3万に満たない弁護士は、そのほとんどが急増とまでは言えない時期に弁護士になったわけであり、増加はせずに減少するだけということであるから、毎年400人にも満たない数しか弁護士にならなかった時代との比較は、この数の比較の方がわかりやすいかも知れない。そこで、登録番号3万に満たない弁護士の請求退会者(自由と正義の1月号から12月号までの掲載によるもの)を整理すると、2013年が103名、2014年が144名、2015年が98名、2016年が115名、2017年が105名と、100名を超えるような人数が自主的に廃業しているということになっているので、年間でも50名に満たない程度しか請求退会していなかった時代と比較すると、請求退会は倍増していると評価してよいと思われる。
 これに対し、登録番号が3万より大きな数字となっている弁護士は、比較的若い弁護士である確率が高いと言えるが(裁判官や検察官の退官者も含まれるため、高齢者も少なからずいるということではある。)、その請求退会者は、2013年が217名、2014年が230名、2015年が260名、2016年が252名、2017年が253名となっているので、2015年をピークとして改善の兆しはあるということになる。登録番号が3万より小さい弁護士が死亡退会により絶対数が減少している中、3万より大きな弁護士は、死亡する人の数より登録する人の数がはるかに多く、毎年毎年増えてきているために母数が大きくなっているから、同じような人数が退会しているとしても、退会者の比率は減っている、つまり、事態が若干は改善しているということが言えるためである。
 ただ、若い人が請求退会しているということは、転職しているということを意味するから、この人数が上記のとおりということは、若干の改善がみられるからといって、放置できるようなことではない。請求退会者が多いということは、弁護士の職業的な魅力がそれだけ減っているということであり、あまりに急激な数の増加によるひずみが弁護士業界に生じているということを示す統計データの一つということになるからである。

2017/12/05

66期と67期は厳しい就職環境を生き抜いた

 弁護士になっても、自主的に廃業する人が増えているということについて、紹介させていただいたことがある。この自主廃業には変化がみられる。端的に言うと、66期以降は、自主的に廃業する人は減少している。このことを、弁護士の就職状況が好転したことの現れと評価する方もいるかも知れないが、私の実感では、好転したとまで言い切ることはできないように感じている。
 ただ、弁護士人口の増減に関するデータからは、就職環境が一番厳しかったのは、66期と67期であって、68期以降は若干の改善はあることは確かなように思われる。まず、理論上弁護士になることができる人数と実際に弁護士となった人数の最大値を比較すると、66期は96.3%、67期は96.6%と、他の期と比較して小さくなっている。最大値に達するまでの期間も66期は401日で67期は385日と他の期と比べると短い。努力しても採用してもらえなかった人が多く、すぐにピークに達してしまい、弁護士事務所への就職ができなかった人が多く出現したということではないかと推察される。
 67期までの就職環境が厳しかった最大の原因は、二回試験合格者数が社会需要に比較しても多すぎる状態が続いたからであり、少しの改善があったのは68期以降の二回試験合格者数が大きく減ったからであることと私は推察している。200名程度の減少ですら、このような効果が生じているのだから、もっと大きく減らすことができれば、弁護士の就職環境が大きく改善することは間違いないということは言えるだろう。
 ただ、69期は、68期とあまり変わらない数の合格者であったにも関わらず、68期と比較しても、到達までの日数が大きく減ったばかりか、既に5名も減っている。従って、69期の就職事情が大きく好転したとまでは断定できないのではないかと私は思うのである。
 このような早期の退職者が出現しているのはなぜなのだろうか。私は、二つのものがあるのではないかと推察している。まず1つは、就業したものの就業環境としては劣悪だったので自主的に廃業した場合であり、この反対の見方として、雇用主側からの採用したものの期待した能力に欠けるとして退職を迫られたということもあるように思う。
 前者となるような劣悪な就業環境におかれた弁護士は残念ながら多くなってしまっている。暴言や大声による罵倒など、人権侵害にあたるようなことを平気で行う弁護士がいることは実際に見聞している。ノキ弁という名目での低賃金での労働収奪も数多くみられる。
 他方で、事務所の側としても、これで本当に司法修習を終えたのかと感じてしまうほどに法的素養に欠けた弁護士が増えているのも事実であり、とんでもない訴状を見聞することが増えてきたように実感している。
 どちらも、弁護士を利用する側からすれば、不安に感じたり、迷惑に思えることであり、好ましいことではない。適正な人数での司法修習となれば、合格者の選抜が厳しくなることで法的素養に欠けながらも司法修習を受ける人は減るし、数の減少によって就職市場が改善することで新人弁護士の就業環境が改善されればよりよいOJTの場が確保される確率も飛躍的に高まり、弁護士の仕事の質もより高くなりやすくなるのだから、まずは、合格者数の適正化を先行させることが求められているものと私は思っている。
弁護士人口増減整理表.pdf

2017/10/24

他の会に移る弁護士が増えている?

 下記の表は、近畿弁護士会連合会内の弁護士の会員数の推移につき整理したものである。これからわかることとしては、大阪弁護士会の会員数は、司法修習生が二回試験に合格して一斉に弁護士として登録してしばらくした時期にピークを迎えてその後は次第に減少し、一斉登録時期の直前頃にはボトムを迎え、次の一斉登録時期に大きく増加してしばらくしてピークを迎えると、その後は、次第に減少し、一斉登録の直前にはボトムを迎えるという現象が毎年生じているということである。同じような傾向は、兵庫と京都にもみられるようである。
 これに対し、奈良、滋賀、和歌山では、このような現象は生じておらず、この3年間は、一斉登録時期ですら弁護士が増えておらず、減りもしないという弁護士人口の固定化現象ともいえる状況になっている。
 なお、67期から69期にかけては、登録して間もなくして弁護士登録をやめるという人は統計上も減ってきているので、大阪や兵庫、京都にみられる人口の減少は、その年に弁護士として登録した人が弁護士をやめているということではなく、登録換により他の弁護士会に移る人がいるということを示していることになる。
 これらのことから推測されることとしては、一斉登録時期における就職先としては都市部が多いものの、弁護士として一定の活動をするようになってから後に次第に他の地域に移っていくというような人口流動が生じているのではないかということである。私は、近畿弁護士会連合会内の会員数の推移しか観測していないので、この移動先がどこなのかがわからない。近畿弁護士会連合会内では人口過疎地への人口移動の形跡がないということからすると、東京に移動しているとか、あるいは、地方中核都市に移動しているということかも知れないが、このような人口流動があるということは、弁護士になってからしばらくして、それまで培った人脈なども捨てて他の地域に移って新しい生活をするという大きな生活転換を図る弁護士が増えているということだけは確かであろう。若い弁護士に厳しい負担を強いる状況が今もなお続いているということの反映ではないかと危惧するところである。
近畿の弁護士の人口推移.pdf

2017/09/12

弁護士激増政策は、弁護士過疎偏在対策としても失策だったのでは?

 弁護士を増やす理由として、人口過疎地に弁護士がいないところがあるということが指摘された時期があったように思う。いわゆるゼロワン地域問題である。しかしながら、このゼロワン地域の解消は、法科大学院の卒業生が弁護士になる頃には、既にほぼ解消されていたということは、これまで何度か私が指摘してきたとおりであって、少なくとも法科大学院制度ができたことによってゼロワン地域が解消されたというような事実はないことは確かなことである。
 弁護士激増の結果として、2004年から2014年にかけては、会員数の少ない弁護士会での弁護士数の急増が顕著となったが、特に滋賀県の急増には驚くほどの勢いがあった。しかしながら、私が、最近の2年間で弁護士人口ウォッチを続けているところでは、滋賀県の弁護士人口は、ほぼ横ばいを続けている。関西地域では、和歌山も奈良も弁護士人口は増えておらず、ほぼ横ばい状態である。
 全国的にも同様な傾向が生じているのではないかと思って、日弁連の弁護士検索システムを利用して、会員数の少ない弁護士会(函館から茨城県までの33会)の9月11日現在の会員数をチェックし、私が2015年度の弁護士白書の数字から整理していた表と比較してみたところ、予想通り、会員数の増加比率は、弁護士全体の増加比率を下回っていた。つまり、全体の増加率は約10.1%増なのに対して、上記33会全体での増加率は8.2%に留まっていて、鳥取県は減少、長崎県は増減なし、青森県や秋田は1名増など完全に人口増が停止した弁護士会も出現していた。詳細は、下記の表記載のとおりとなる。
 過疎地に育った者としての感覚としては、過疎地に人がいなくなるのは、経済活動の低迷、つまりその時代の平均的な要求に見合った収入を得られる仕事が確保できないことに主因があると思っているが、そのような過疎地に弁護士を赴任させようとした場合、経済的に安定するだけの仕事があるかどうかが決定的に重要ということになろう。ところが、ゼロワン地域の解消が進んだ頃には、人口過疎地でもいわゆる過払バブルがあってひまり公設事務所でも経営は安定していたものの、この過払バブルがはじけた後は、人口過疎地での弁護士の仕事の確保はかなり厳しくなっているように私は理解している。そうなると、あえて過疎地に赴任しようとする弁護士が減っていくのは自然の流れということになる。弁護士急増政策は、市場調査なしに実施されたために、弁護士1人当たりの仕事や収入を大きく減らす結果をもたらしてしまったが、そのことは、仕事があるかどうかもよくわからない過疎地への赴任者を減らす結果につながったのではないかと私は推測している。医師の場合、公的な支援があり、過疎地に赴任している医師への経済的手当ては充実しているが、弁護士の場合、日弁連が自腹を切って支援しているだけで、自治体などからの支援があるのは京都府など一部に限られている。数さえ増やせば、過疎地に弁護士が増えるだろうというような乱暴な政策では、過疎地の法的ニーズに対応することはできなかったということではなかろうか。
会員数の少ない単位会の増員推移表.pdf